治療が長引くと色々な要素が加わります。
抜歯後も痛い

日付、時間:Tue Jun 29 21:27:20 Japan 1999    氏名: 所沢市   
所在都道府県:埼玉   職 業:会社員   年 齢:36歳      性別: male  

質問:
  河田先生、こんにちは。私は昨年、10月ごろに先生に メールを出して返事をいただいた者です。その時は、自分の受けている根管治療の経過が 思わしくなく、どうすべきか迷ってメールを出させていただきました。先生には安易に歯を抜かないよ うアドバイスをいただきました。
その後、同じ歯の根管治療を2回試みまし た(計4回)が、どうしても痛みがとれず、抜歯を決意し、 5月29日に 抜歯を行いました。その後、予想に反して痛みが抜けきれず、これから自分はどうなる のかと非常に不安になっています。
 河田先生への質問は、文章の最後に3件記載しています。下記に治療経過をまとめました。 ご多忙のところ大変恐縮ですが、先生に 御一読いただき、何らかの御意見をいただければ幸いです。 (私自身、および医院名は匿名とさせてください) 

「左上6」関連治療経過(平成10年4月〜平成11年6月)男性36才
H10. 4月

最初に「左上6」に「ズキッ」という激痛を感じるようになった。 また、熱い飲み物も 「ズキッ」と激しくしみるようになった。 K歯科に診療依頼した。最初の診療日に被せものを外し、神経を取ったところ、痛みはその 時点で消えた。
H10 .5月

「左上5」と「左上7」について虫歯が進行しているとのことであり、この2本の治療を 受けることになった。この間、「左上6」はゴムでふさいでいた。
H10 .6月

「左上5」と、「左上7」の治療の継続。
H10. 7月

「左上6」に根充し、金属を被せたところ、「ズキッ」という痛みが治療直後から再発した。
H10. 8月

「左上6」の痛みを訴えたが、すぐには再治療をしてもらえず、B医大に検査に行く ように言われた。B医大で、消炎剤と、抗生物質による経過観察を行い、「左上6」の再治療をするように 申し送りされた。以後、K歯科に戻る。
H10. 9月

K歯科にて、「左上6」の根管治療を再開することになり、金属および根充物質を外 すと、痛みの程度はかなり和らいだ。再治療開始後、2回目で痛みが消えた。(3週間ほどこのまま様子 を見る。)
H10.10月

3週間程痛みが現われなかったので、「左上6」に根充したところ、「ズキッ」という 痛みが直後から発生した。消炎剤(ボルタレン)と、抗生物質(エリナーゼ)を一週間程飲み続けると、 いったん痛みが消えた。このまま1ヶ月間様子を見る。 (この頃、河田先生にメールを出し、 安易に抜くなとアドバイスをいただきました。)
H10.11月

痛みが消えたまま約1ヶ月が経過したため、「左上6」に金属を被せたところ、 翌日から「ズキッ」という痛みが感じられるようになった。消炎剤と、抗生物質を数日間服用すると、 2週間程の間は痛みは消えるようであるため、以後K歯科に薬をもらいながらこのような状況を 1月下旬まで数度繰り返した。
H10.12月

薬(ボルタレン、エリナーゼ)で様子を見る。
H11. 1月

消炎剤(ボルタレン)を服用した際に、「左上6」の痛みは軽減されるが、左下顎付近に 「ギスギス」するような別の痛みが生じるようになった。「左上6」の根管治療を再開した。 金属の被せ物を外し、根充物質を外すと、痛みはかなり楽になった。数回にわたって「左上6」の 治療を行ったが、今回は、痛みは完全には消えなかった。また、左下顎付近の痛みも完全には 消えなかった。
H11. 2月

「左上6」根管治療の継続
H11. 3月

k歯科医院より、「左上7」に原因があるのではないかと言われ、治療に同意した。 「左上7」を数回に渡って治療したが、「左上6」及び、左下顎付近の痛みは消えなかった。 (金属等をかぶせていないので比較的楽な時期ではあった。)
H11. 4月

いったん、東京の根管治療専門医院に移った。4/16に「左上6」の根管治療を 行ったが、治療直後から、痛みが大きくなっていった。 左下顎付近の痛みも大きくなっていった。 (この治療の時から症状はこれまでと比較して非常に悪化した。) 
H11. 5月

K歯科に戻り、「左上6」の根充物を外してもらった。(5/8) 根充物を外して少しは楽に なったが、「左上6」の痛みは消えず、 また、左下顎付近の痛みも大きいままであったので、 抜歯を決意し た。5/29「左上6」の抜歯をおこなった。
H11. 6月

H11.6.29 現在、「左上6」があった部分の 歯茎(唇側)がまだ「ズキズキ」として痛い。この部分の内圧が時々高まるようで、顔を洗った時などに 歯があったところから目のあたりにかけて「ビリビリッツ」と痛みが走り、空気が通り抜けていくような 感じがすることもある。歯茎(唇側)がこむらがえりをうつような感じがすることもある。さらに、 かみ合わせ時に「ズキズキ」した感じがする。また、左下顎付近も「ギスギス」、「キリキリ」とかなり 強く痛む。(一日中続くこともある。)週に抗生物質(エリナーゼ)を4〜5錠服用することで、 何とか我慢して仕事を続けている。
6/29、再びB医大で診療してもらい、抗生物質(フロモックス)を出してもらった。  B医大医師にたずねて判明したこと。
:抜歯した部分はほとんどふさがりかけている。
:抜歯した部分に癌等の腫瘍はみられない。
:抜歯後の肉の変化は順調である。
:左上、及び左下の他の歯が原因となっているような様子は見受けられない。
:左下に歯槽膿漏の可能性は低い。
:抜歯後、1ヶ月半から2ヶ月ぐらいの間は抜いた部分の歯茎が痛いのは特別なことではないとのこと。
:抗生物質がきくのであれば、炎症が残っている可能性が高いとのこと

河田先生にお聞きしたいこと。

  1. 「左上6」抜歯後の歯茎の痛み、および左下顎付近のギスギスした痛みはこのまま自然に消えて いく可能性はあるのでしょうか。(歯茎の炎症は自然治癒することがあるのでしょうか。)
  2. 何度も薬でその場をしのいできたせいで、歯周囲の肉組織が病気になってしまうようなケースは あるのでしょうか。その際にはどのような治療が選択肢として残されているのでしょうか。(たとえば 歯茎を切り取る等)
  3. 「左上6」と左下顎付近の痛みとの因果関係について。私は、いままでに、左下顎付近が痛く なったことはありません。今回が初めてです。また、左下顎付近の痛みは、「左上6」の痛みを何度 も薬でしのいでいる間に発生した(H11.1から)という経緯があるので、この二つの痛みは同一 原因の可能性が高いと考えています。
先生はどのように思われますか。以上です。     

メールアドレス: a_utsugi@sa2.so-net.ne.jp   ホームページURL:

回答  根管治療がかなり難航したようですね。根管治療の基本は、汚物の(器械的)完全除去 と死腔閉鎖ですが、現状の歯科界では、どうもおろそかにされている傾向があるように 思えてなりません。それを補う意味で、薬剤の効果に頼リ過ぎているのではと感じています。  当初の“抜髄”を決断したところまでは問題ないのですが、所定の治療結果が得られなかった 時点から歯車が狂って悪い方向に進んだ…担当医→大学の先生→根管治療の専門医…。 何とか治そうとして、色々な薬剤を使った結果思わぬ症状が出たの繰り返しみたいです。

 一番気がかりなのは、7番の治療経過です。6番と同じ経過を歩まないかと…。 もし後から治療した7番に問題がなければ、現在ある不快症状は時間の経過と伴に解消 すると思います。現在ある不快症状は、根管治療に際して使った薬剤の抜歯窩残留が原因 ではないかと思うのですが、もし残留していたとしても自然吸収されて障害は消失するものと 思われます。
 薬剤とは全く無関係ですが、抜歯後の治癒不全としてドライソケットという症状も考えられます。 連関痛といって、上の歯に歯髄炎のような強い痛み痛みを 伴う疾患がある場合に、下が痛いということはあります。ご指摘の通り下あごの痛みは上顎の 歯が原因と思います。色々勘ぐれば可能性は何処にでもあります。 確かに抜歯後の治癒経過は遅いように思いますが、原因と思われる6番を抜いた以上、 遠からず治癒するはずです。

返信:
御返答ありがとうございました。  長いメールで申し訳ありませんでした。
 河田先生のご意見を聞かせていただき、たいへん心が落ち着きました。  あせらず、痛みの引くのを待ちたいと思います。
 先生の仕事に対する姿勢、患者に対する姿勢に共感します。  本当にありがとうございました。

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