十分な睡眠を心がけて体力の回復を図れば炎症が治まる可能性もあります。
ブリッジ周辺の痛み(アメリカ)

日付、時間:2002年1月3日 6:53   氏名:Y.T  
所在都道府県:アメリカ   職 業:主婦   年 齢:30歳      性別: female  

質問:
 はじめまして、アメリカに住むY.Tと申します。
5年ほど前にすでに神経を抜いている下顎左の第1大臼歯の根が割れ、第2大臼歯側の半分を 抜歯、その間をブリッジにしています。そのブリッジをしてある部分がたまにうずいていたの ですが、おとといブリッジと歯茎の間を歯間ブラシで磨いたところ、少しはれていたところを 傷つけたのか、より一層痛くなりました。それ以降は、歯間ブラシを入れることができないほ ど痛いです。
 それに伴って、なぜか上顎の第1〜2大臼歯の根が痛み、頭の左半分に鈍痛があります(ち ょうど矯正をしている時のような痛み)。そして、下顎の第1・2大臼歯間と第2小臼歯の下 の歯茎にU字型に近い白い潰瘍があるのを今朝見つけました。

 とりあえず、食後の歯磨き&歯間ブラシと、歯間ブラシにのど用の消毒液をつけて炎症部分 の消毒、そして抗生物質(セフゾン100)を飲み2日経ちますがあまりよくはなっていませ ん。
 歯科保険がない状態でアメリカにいるため、できれば自力で治したいのですが、この症状が もし歯茎の簡単な炎症だけでなく、歯髄に炎症が起きているようならば歯科医に行くことを考 えねばなりません。
上記のような症状はかなり深刻でしょうか、あるいは、しばらく今の処置を続けて様子を見た ほうがいいでしょうか。
お力をお貸しいただけると助かります。

回答  単純な補綴物周辺の汚れや脱離・二次カリエスによる汚れの貯留からくる歯肉炎症。根尖 病巣や歯根破折など色々な原因が考えられます。原因によってそれぞれ対応が異なりますので、 何といっても実際に診査して原因と特定することが重要です。

 が、片側脱離を除いてある程度の時間的猶予はあります。片側脱離は補綴物を上下にゆすっ てみると脱離部分から泡がでたりしますのでご自分でも確かめられるかも知れません。潰瘍は、 歯肉表面の傷に由来するものでしょうからそれ程重要ではないように思います。根尖病巣であ ったとしても有髄歯の歯髄炎のように急いで治療するような事態には至らないではずです。す でに適切な対処をされているようですので、もう少しのんびり様子を見られても良いでしょう。 できるだけ十分な睡眠を心がけて体力の回復を図れば炎症が治まる可能性もあります。
 勿論その場合でも、後日帰国された時に十分な診断をつけるて根本的な治療を行う必要があ ることは言うまでもありません。


返信:2002年1月4日 3:12
早速のご返信ありがとうございます、Y.Tです。
相談いたしましたブリッジ周辺の炎症については随分治まったようです。歯間ブラシからデン タルフロスに替えたところ刺激せずに掃除できるようになり、また、炎症特有の腐臭も発生し ていません。もうしばらくは今の処置(掃除・患部消毒・抗生物質)を続けたいと思います。

 が、別件で少々問題が発生しています。昨日の相談中の
“それに伴って、なぜか上顎の第1〜2大臼歯の根が痛み、 頭の左半分に鈍痛があります (ちょうど矯正をしている時のような痛み)”について少し状況が悪化しております。
就寝中に上下の第1〜2大臼歯付近及び、左側の頭部全体が痛み、数時間後、痛みで目が覚めて しまいます。起きてしばらくすると落ち着くのですが、眠ると同じことになるため、あまり眠れ ません。また、同個所をすり合わせた時にも、矯正時のような痛みがあります。
 自分としては、下顎のブリッジでの炎症から歯茎がはれ、下の歯の高さが上がりかみ合わせ が変わり、上顎の歯(有髄)を動かしたための痛みかと思いましたが、ブリッジ周辺の歯茎の はれもさほどでなく、歯肉の色も正常に近いため、少々疑問です。もしくは、歯のかみ合わせ の不具合から、歯根に炎症をきたすこともあり得ますか?

 10年ほど前に終了している矯正後くらいより就寝時に噛みしめる癖ができたように思え、 また5年ほど前に顎関節の外来も受けた経緯もあります(痛みや口の開きなど、症状が軽かっ たため完治はしないままの状態です)。今は、結婚後すぐに渡米し3ヶ月目ということから、 もしかしてストレスによる顎関節の異常か、とも考えています。
 悪化して歯科医を訪ねることを考え、アメリカでの歯科保険に加入をしておこうと思いますが、 ご存知のように、アメリカの歯科医が一般歯科と口腔外科、そして矯正歯科など、細分化されて おります。私が入ろうとしている短期間で加入できる歯科保険の場合、先にドクターを一人選択 せねばなりません。
どの専門医が適当と思われますか?
また、頭痛はブリッジの炎症による痛みなのか、それに伴った上顎の歯根の炎症なのか、かみ合 わせの不具合によるものなのか、あるいは精神的なものなのか。。。
メールだけで河田先生に原因をご判断いただこうという考えではなく、一般的にみてこの症状の 確率が高そうだ、というものをお教えいただけますでしょうか。症状がこのまま続くようなら、 その専門医に初診をお願いしてみようと思います。
再度、お力をお貸しいただけると助かります。

回答:
 元々顎関節に変形(奇形という程ではない)がある場合には、矯正でかみ合わせを変えたこと により炎症を起こしやすくなったことは考えられます。普段はそれ程症状を現しませんが、スト レスとか体調不良により一時的に症状が現れます。頭痛もおそらく顎関節の炎症によるものと思 われます。消炎鎮痛剤(一般的な頭痛薬でも可)をしばらく内服することにより炎症は消退しま す。多くの場合、顎関節の根本的な治療を行うまでもなく、現在の咬合関係を維持することによ り関節形態が自然に馴染んでくる可能性も高いように認識しております。従って、この手の専門 である口腔外科や矯正科は緊急性がないのでパス。

 上顎歯の痛みは、咬合関係の乱れから来た歯根膜炎か歯石沈着による歯周組織の炎症、もしく はムシ歯に起因する歯髄炎だと思います。補綴的な処置は「後日、日本で」ということも可能で すので、ENDO(歯内療法)やPERIO(歯周病)の専門医が無難な選択でしょうね。


返信:2002年1月6日 6:31
度々のご対応、ありがとうございました。その後、痛みが増し、摂食不可、不眠が3日目となり ましたので、近くのERにて鎮痛剤の注射を打ちました。
 翌朝、先生のおっしゃったような、一般の歯科の診察でレントゲン・衝撃による痛みの確認を しました。歯根に化膿などは見られないことから、「咬合関係の乱れから来た歯根膜炎」である ことが判明したため、下顎のブリッジ部分を削って噛み合わせを調節しました。原因は主にスト レスからではないか、ということでした。1日経った現在では痛みも随分と引き、回復に向かっ ております。
 的確なアドバイス、本当に色々とありがとうございました。お礼の言いようもないです。

なお、参考までなのですが、
「歯科疾病」は海外旅行保険などの対象外とはなっていますが、主に虫歯や親知らずなどがそれ に当たるようで、顎関節などの痛みからの治療の場合、保険が適用されることもあるようです。 私はまだ保険審査中なので、確実なことは言えませんが、もし海外で同じような痛みに困ってい らっしゃる方がいたら、一応、加入している保険会社に相談されては、と思います。 それでは。


返信:2002年1月9日 15:37
1/3と1/4に質問させていただいたY.Tです。再度の質問をお許しください。
 噛みあわせによると思われる左上下奥歯の痛みと頭痛・顎の痛みにより、1/5に一般歯科を訪 れました。左上67(両方とも15年以上前に虫歯治療済み銀のつめもの)と左下67 (6は半分欠損、7とブリッジ)のレントゲンを撮り、結果、虫歯の進行・化膿などが見られ ない、打診痛がないとのことから左下67のブリッジ部分を削り咬合を合わせ、右側で食事の際 は噛む、とのことで治療を終えました。
 帰宅後、念のため痛み止め(イブプロフェン600・・・ERにて処方、8時間毎に1錠服用) のみを飲んで過ごしましたが、一時痛みは引いたものの、1/6夜より鼓動のような、ズキズキ する感触が左上67の根の辺りに感じられ、痛み止め(薬が強すぎると思い、1/3に割って服用) と抗生物質(セフゾン100)を2度服用しました。

 翌1/7午後に薬は服用せず、同歯科医を訪ねました。
レントゲンを撮ったところ、やはり虫歯・膿などの影はなしでしたが、左上7の打診痛が少し ありました。1/5の治療と同様、咬合の調整をすることになったものの、噛みあわせることが 痛くてできず、チェックのカーボンが噛めない状態です。麻酔を頬内側に打ちましたが、やは り左上7の痛みは強いまま。なんとかカーボンを噛み、左上67を削っていきましたが、徐々 に上削っていく中、左上7はドクターの手が触れることでも鋭い痛みを感じました。
 ドクターいわく、レントゲンでは膿は写っていないが化膿している可能性があるとのこと。 左上7を削り、根管の治療をすべきではないか、という提案を受けました。私よりの質問で 抗生物質などをもらうことで、症状の回復は有り得るのか伺いましたが、答えはNOでした。

 私に抜髄する覚悟ができていなかったので、4日間様子をみてみることにし、その日は咬合 調整のみで帰宅しました。帰宅後は私の判断から、抗生物質(クラリシッド200)と痛み止 め(イブプロフェン600の1/3)を飲んでいます。症状は薬が効いているのか痛み自体は あまりありません。歯の浮いた感じも少し軽減されてきました。が、動いたりすると左上67 の辺りが脈打つような感触があります。また、左上67の内側の歯茎に少しただれができまし た。

 やはり覚悟を決めて抜髄すべきでしょうか、もうしばらく抗生物質の服用を続けてみるべき でしょうか。
また、咬合性外傷によって、抜髄するほどの歯髄炎または歯根膜炎の起こる可能性は高いので しょうか。
歯髄炎・歯根膜炎はレントゲンではどのように写るのでしょうか。
教えていただけるとありがたいです。お忙しいところ度々ご迷惑をおかけしてしまい、すみま せん。

回答:
 歯髄炎・歯根膜炎はレントゲンでは通常確認できません。深いムシ歯が確認されれば歯髄炎 の診断も付き易いのですが、金属修復物の陰に隠れて見えない時もあります。症状や経緯から 歯髄炎と判断するのが通常です。お伺いした症状を総合して、上顎7番の歯髄炎だと思います。 処置としては抜髄以外にないでしょう。日本の歯医者より抜髄処置は数段上だと思いますので 担当医にお任せすればいいでしょう。補綴処置は後日日本に帰った時にでも大丈夫です。
 咬合性外傷による抜髄するほどの歯髄炎または歯根膜炎の起こる可能性は限りなくゼロです。 それよりも15年も前に治療した歯が歯髄炎に発展する可能性がほとんどです。結果論ですが、 痛みがないということで15年も放置しないで、せめて5年程前に治療しなおしておけばもう 少し抜髄の時期を先送りできたと思います。今回のことにはなりませんが、今後の教訓にして 下さい。抜髄はできるだけしない方が良いに決まっていますが、今のような状況になってしま えば抜髄は避けられません。このような状況にならないためには定期的なスケーリングや検診 が有効です。

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