日付、時間:2002年2月5日 9:58
氏名: T.S
所在都道府県:東京
職 業:会社員
年 齢:30歳
性別: female
質問:
昨日、歯根吸収が半年前のレントゲンと比べても進行しているから前歯4本(1と2)を抜
いてインプラントにすべきとの宣告を受けました。
私の場合、全ての歯根が短いので抜け落ちてしまってからブリッジにするのは厳しく、一刻
も早く決断をとのことでした。歯根吸収は矯正したこともないので体質的なものらしいのです。
しかし、今虫歯でもなんでもない歯を抜くことにも抵抗がありますし、たとえインプラントに
しても10年ぐらいしかもたないとすれば40歳でどっちにしろ前歯のない人になってしまうのか
と思って途方に暮れています。歯根吸収は止められないのでしょうか?
やはり、主治医の言うとおり早くインプラントにすべきでしょうか。
感想:
参考になります。
歯根吸収は、過度な矯正力や過剰な咬合圧によって起こるとも言われていますが、詳しくは
原因が解明されていません。現在起こっている歯根吸収の原因は不明ですし、周囲の歯と連結
固定するくらいしか歯根吸収を抑制する手段はありません。しかし、歯根吸収のため抜髄処置
ができないので(しても根尖病巣を作って骨破壊を助長)実際問題としては有効な手段はない
と考えるのが順当です。
歯根の吸収は抑制できなくっても歯を支えている歯槽骨の吸収を抑制すれば、それだけ歯は
長持ちしますしダメになった時でもインプラントを植える骨量は確保できます。前歯4本がダ
メになった時の選択としてはインプラントが有力です。といいますのが、上顎前歯部は臼歯部
と違いインプラントに必要な骨量が十分だからです。ただその前に歯周疾患のコントロールを
行って未だ使える前歯をより長く使えるような努力が必要だと思います。
回答:
診断する医師の経験と価値観によって処置方針は異なります。また絶対の自信をもって将来
を予測することは不可能です。
例えば私の経験ですと上顎前歯部にインプラントに必要な骨量がない症例というものに遭遇
したのは1回だけです。その症例は、若いときに抜歯して長年入れ歯暮らしだったのを60歳近
くなってインプラントを植立しようとした方でした。それに比べて未だ若いし、抜歯してそう
期間を空けずにインプラントを行うわけですからおそらく骨量には問題ないだろうと予想します。
でも、絶対大丈夫かといわれれば3歩くらい下がります。
では今だったら絶対大丈夫かといえばそれも?抜歯後急激に骨量を失ってインプラント不可能
な状態になる可能性もあります。それならば、使えるものは使っていよいよになってからした
方が納得できると思います。それと、歯根吸収の歯が実際何年使えるかも未知数ですしね。とは
言っても最終的には担当医の判断に委ねるということになりますが、担当医は何も今の先生だけ
ではなく、他の先生に相談してみることも選択肢としてあると思いますよ。
返信:2002年2月6日 20:48
お忙しいところ丁寧に回答していただいてありがとうございました。
“前歯が無くなってしまう”と思って気が動転してしまいましたが、「歯根吸収」という初めて
聞いた言葉をいったいどういうことなのか?とネットで検索するうちに、河田先生のHPにたど
りつけたのは幸運でした。私も使えるものなら歯はぎりぎりまで使って納得したいと考えていま
す。やはり、前歯を抜くということを一人の医師の意見だけでは判断できないと思い、先生に質
問するのと同時に知人に紹介してもらった歯科医に予約をとりました。結論はそれからでも遅く
ないと。
この数日は初めて歯について真剣に考えました。
自分の歯を残しておくにしろ(今のところこちらにするつもり)、インプラントにしてしまうに
しろ先生のおっしゃるように毎月歯科に通って歯石を取ってもらうことはしようと思います。
本当にありがとうございました。