日付、時間：2002年2月19日 7:23　　 氏名： Ｓ。Ｃ　　
所在都道府県：東京　　 職　業：その他　　 年　齢： 24歳　　　 　 性別： male 　

質問：
　はじめまして。ホームページをみてメールしました。突然で申し訳ありません，相談に のってもらいたい事があるのですが，，，

24歳、女、左上の奥から2番目の歯(第１大臼歯）の神経を３〜４年前に抜きました。今回， その歯が痛みかみ合わせる事も辛かったので歯医者に行きレントゲンを取ると「根にのう 胞ができてる」といわれました。高い歯を詰めていたのですが，それを取り歯根の消毒を しようと薬液（オキシフル）を歯根に入れると，そのまま鼻からでてきました。 大学病院を紹介されレントゲンを取ると左上顎洞が白くうつり「左上顎洞炎」「歯根肉芽 腫」といわれました（ここでは，『のう胞ではなく肉芽です』といわれました）。
治療は，「歯を抜いて根っこを消毒するしか方法はない。歯を抜いたあとは，ブリッ ジにすればいい」といわれました。私は，「１週間待ってほしい。できるだけ歯を抜きたく ないので，薬でどこまで治まるか試してみたい」。とお願いし、待ってもらっています。 ２日たった今，抗生剤と消炎剤を飲んでるせいかほとんど痛みもなくなりました。

質問１
「歯根切除術」というのがある、とどこかのホームページでみましたが、わたしの場合こ れが適応にはならないのでしょうか？これだったら、歯は抜かずにすむんですよね。
質問２
骨が吸収されて上顎洞とつながったわけですが，そこをふさぐためにこれからどのような処 置が考えられるんでしょうか。
質問３
ブリッジにすればいい，と簡単に言うが，両脇にある健康な歯を削ってしまうのは抵抗があ ります。また、美容的に高い歯をはめる必要があるのだけれど，これから先その連なった三 本のうち１本でも虫歯になったら、またブリッジを作りなおす必要があるんでしょうか？ （もしそうだとしたらその負担は、とても大きいと思います。最低でも１本五万円はすると いわれました。）
お忙しい中，突然のメール本当に申し訳ありません。御回答よろしくお願いいたします。

　病理学的にはそれぞれの定義もありますが、「歯根嚢胞」「歯根肉芽種」「根尖病巣」この 場合すべて同義語と考えて下さい。今回に関しては、原因が全て根管治療の不備による根尖部 分にできた骨内の炎症です。それがたまたま大きく成長して、解剖学的に近接した上顎洞に波 及しただけのことです。

　原因は根管（神経の入っていた空洞）部分の清掃や閉鎖が不十分であったために貯留した 汚物が招いた炎症です。基本的には、根尖部の炎症や骨破壊の大きさに関係なく根管内を完璧 に清掃（根管治療）し（消毒は一応無関係）、二度と汚物（血液など）が貯留しないように完 全閉鎖（根管充填）を行えば治癒します。この“完璧”に技術的な困難が伴いますので確実 or 完璧な治癒を望むのはちょっと酷だと思いますが治療する価値は十二分にあります。

　口腔外科や一般の認識では、根尖部の炎症の大きさから根管治療を試みることなく抜歯を 選択するケースが多いのが実態のようです。歯を抜いてしまえば、問題のある根管を含めて 原因が完璧に除去されますので、骨欠損のことは気にしなくても99％完全回復します。しかし、 両臨在歯を同様の危険にさらすことになりますのでできるだけ避けたい選択肢ですね。

　「歯根切除術」はこのホームページでも数多くの質問を頂いている 分野ですが、多くの場合誤った認識（原因を除去しないで膿だけを除去）の下で行われている 処置ですのでまず選択肢からはずすべき術式です。
　「完璧な根管治療で治癒する」という信念のないまま行われた不完全な？根管治療（清掃） であっても汚物の量が減少して炎症が消退したのが何よりの兆候で、もっと熱心に完璧な治療 を行えば回復の可能性は十分あります。

ＰＳ，歯根の炎症による圧迫を防ぐ為，穴をあけた状態にしておきましょう。といっ て，何もつめづに大きな穴があいたままなのですが，大丈夫なのでしょうか？食事後 歯磨きはしますが，歯根に向けてあけた細い穴に、食べカスなど詰まって、よくない 気がするのですが。。。。。

回答：
　私は、口腔外科もしくは歯周外科出身で、本来ならば通院されている大学の先生と同じ立場 で同じ治療方針を推奨すべき教育を受けております。数は少ないとは思いますが、同じ経験と 価値観から歯牙保存を追及されている先生もいらっしゃるはずです。しかし、残念なことにそ の存在を知りません。
　幸いにも徳島にいらっしゃるということであれば、1日私の医院にきてください。おそらく 1日の治療で結果をだすことが出来ると思います。かなり大口をたたいた発言ですので多少の プレッシャーもありますが、少なくとも納得の出来る結論は導けるものと確信しております。
　大きな穴は目詰まりしない限り数ヶ月は大丈夫です。戦略的にも数週間の開放は有効だと 思います。できれば目詰まりを掃除していただくことと、炎症が再発した時のための抗生物質 が手元にあれば一番安心です。抜歯を永遠に延期しながら根管の消毒と抗生物質の投薬だけ 大学病院にお願いされてはいかがでしょうか。

ＰＳ．今日は，「食べ物が詰まるといけないから白いの詰めとくね，痛くなったらつまようじ で自分でとって言いよ」といい、白いのをつめてもらいました。