日付、時間:2002年2月27日 22:42
氏名: けん
所在都道府県: 京都
職 業:歯科医
年 齢: 35歳
性別: male
質問:
お世話になります。
湾曲根管の感染根管において(主に大臼歯)、根管途中でレッジやジップ形成されているケース
では超音波拡大器や手用器具を使って根尖穿通させようとしますがうなくいかないケースが多々
あります。他にいい方法があればお教えください。
またどうしてもできない場合、どうされてますか?
外科的処置されてますか?
よろしくお願いします。
何が何でも根尖穿通させるという前に、根尖病巣の成り立ちを考えて下さい。
根尖病巣がある限り病巣に該当する根管内は腐敗?して汚物が貯留しているはずです。中には
綿栓のように堅い汚物も存在しますが、少なくとも根尖部付近の根管内はヘドロ状の柔らかい
腐敗物質です。従って、“根尖病巣がある限り開かない根管はない”という信念を持って治療
にあたります。反対に、弯曲や根管閉鎖等の関係で開かない根管は根尖病巣そのものの存在を
疑い、治療の必要性がないと判断されるケースが多いことを実感いたします。
歯根1/3以上うえの閉鎖に対しては、通常のリーマや超音波拡大器以外に、歯石除去用の
超音波スケーラー(最大パワー)を使います。これは狭窄した根管の抜髄時にも非常に有効
で根管口の明示に重宝しています。また糊剤根充やセメントに対しても有効です。
一方ガッタパーチャーによる閉鎖には、1/3までがピーソーリーマ(#2)、2/3までが太め
のエンジンリーマ(#45程度)を使用して残りは手用リーマで探ります。通常はここまでの
処置で99%成功します。
残るはご質問のケースですね。根尖部の弯曲方向に沿って根管口部分の拡大を行います。10
%程度はこの根管口部分の拡大で解決しますが、それでもダメな場合はどうするかの決断を検討
します。つまり、先の治療の必然性をもう一度検討し、どうしても必要と判断した場合に限って
最後の手段に訴えます。勿論この時点で状況を患者さんに十分説明することは言うまでもありま
せん。時間にしてすでに1時間以上費やしていますので、同意を得るのは意外と簡単です。
ヘミセクションや歯根端切除を念頭において、イチかバチかの勝負にでます。この時点では、
根尖部までの距離はせいぜい2mm程度です。そこで細めのエンジン用のリーマ(#20)を使っ
て穿孔します。成功率は約半分程度だと思います。上手くいかなかった場合でも歯根端切除を
念頭に、根管充填を綿密に行って経過をみて不完全でも納得の範囲の治癒が得られればそのま
ま使うようにします。
それ以降は、歯根端切除→ヘミセクションの順に選択を広げていきますが、1年に数例もな
いと思います。特に大臼歯のような複根歯では“根尖病巣がある限り開かない根管はない”と
いう信念が重要なポイントを握っているように思います。その根管を無視して、根管拡大の可
能な根管だけを適切に処置してやれば良好な結果が得られることが多いのではないでしょうか。
普段の診療を文章にしてみると、かなり野蛮な感じがしますね _(^^;)ゞイヤー