日付、時間:2002年5月14日 5:20
氏名: A.M
所在都道府県: 埼玉
職 業: 会社員
年 齢: 25歳
性別: male
質問:
お忙しいところ失礼します。埼玉県に住む25歳の会社員です。
1年ほど前に抜髄した第2第臼歯が最近になってカーッと痛みだしました。先生のホームページを
拝見したところ、前歯科では抜髄処置に問題があったように思えたため、信頼のおけそうな大学病
院へ1時間半かけて通うことにしました。
初診でレントゲンを撮ると、予想通り歯の根元に2mm程度の影が見られました。病巣ができている
ということで、専門の科にて治療を行うことになりました。初回の治療は根管内の清掃で、あと数回
かかると説明を受けました。治療の内容は、今まで通ったどの歯科よりも丁寧に思えました。
しかし、一回目の治療後から今までに無い痛みを感じるようになりました。抜髄後や根管病巣のよ
うな炎症系の痛みではなく、鋭い刺激性の痛みです。何の前ぶれもなく突然、歯の根のあたりが『ズ
キン』と痛みます。ズキンとした後に痛みが後に残るようなことはなく、瞬間的な一回のみで何事も
無かったように痛みは引いてしまいます。一日に何度か痛みます。歩いたりして振動を伝えると痛み
やすいような気もします。なお、治療前にあったような炎症系の痛みのほうは大分軽減されました。
噛んでも特に不自然な痛みは無いように思います。
素人目にですが、不自然な痛みかただなあと思いました。先生のホームページで似たような例が
無いか探したものの見つからず、リーマーが折れて根の先で残ってしまったのではないか、若しく
は歯の根にヒビが入ってしまったのではないか、など嫌な方向に考えが向いてしまい、毎日が不安
です。大学病院の次回の予約は再来週(予約が一杯だそうなのです)となっており、一応電話で症
状を話したのですが、様子を見てくださいと言われるだけです。
そこで河田先生に質問があるのですが、
根管治療後のこのような痛みは正常範囲内のものなのでしょうか?
それとも何らかの問題が発生していると考えたほうが良いのでしょうか。
今は瞬間的な痛みのみですが、近いうちにこれが断続的に続くようになると我慢ができないと思わ
れるので、問題がある可能性があるのならば無理を言ってでも早いうちに診てもらおうと考えてい
るのですが…
以上、宜しくお願いいたします。
感想:
意識改革にとても良いサイトだと思います。
ここを見つけることができなければ私も歯を蔑ろにしていたままだったでしょう。
リーマの破折や歯根破折の可能性は否定できませんが、可能性は低いと思います。
“振動を伝えると痛みやすい”というのは根尖病巣特有の痛み方です。元々炎症(根尖病巣)の
存在する場所をつつけば一時的には、大なり小なり必ず何らかの痛みを伴います。
根管治療の基本は、根管内に貯留した汚物をリーマなどを使って機械的に除去することです。
除去が完璧であればあるほど良好な予後が見込まれます。反面、丁寧にすればする程、根尖部
への刺激は増大します。その結果、治療後の痛みが一時的に著明となる傾向があります。しかし、
根管内の清掃が適切に行われている限り、炎症は速やかに治まるものと思われます。
反対に根管内の清掃がいいかげんで汚物が大量に残存している場合も、わずかな治療時の刺激
が引き金になって同様の痛みを呈する可能性もありますが、大学病院ということと治療時間から
推測して後者の可能性は低いとおもいます。
まず現段階では、治療後の痛みは正常範囲と考えるべきでしょう。問題は、根管内の清掃が
完璧であっても、その際根管内の汚物が大量に根尖病巣内に押し込まれたとすれば、生体の
汚物吸収能力を上回って何時までも炎症が残る可能性もあります。その時の処置とすれば
根尖部の掻爬も有効な選択肢です。但し、似たような処置として
歯根端切除術というのもありますので注意が必要です。