日付、時間:2002年5月22日 17:28
氏名: tk
所在都道府県: 東京
職 業: 会社員
年 齢: 28歳
性別: female
質問:
はじめまして。歯根端切除の件です。本HPを拝見させていただき、非常に不安を感じています。
と、いいますのが、5年前に、前歯4本を歯並びが悪かったので、保険外費用で差し歯にしました。
最近急に歯茎が痛み、腫れて膿がちいさな穴から出るようになり、近所の歯科医でしばらく赤外線
治療をおこなっていましたが、改善しないため、とうとう手術をする必要があるということで診断
を受け、大学病院を紹介されました。
「 簡単に終わります。歯根端切除をすれば直ります」ということだったので、すっかり安心してい
ましたが、かなり完全治癒まで時間がかかりそうだ、と同ケースの皆様の事例を見たからです。仕事
が本当に忙しく、なかなか遠方の大学病院などに通うことができないのでのばしのばしになっていま
すが、このままほおっておくと、悪化するのでしょうか。
現在は、4本のうち、一番右の歯根の歯茎部分が外からみても白くなってぷっくりふくれたままで触
ると痛みを感じるのですが、普段は以前のような痛みはありません。ただ、今度は一番ひだりが同様
の痛みを感じるようになりました。ただ、外見上は変わりがありません。このままほおっておくとま
た、痛みが治まるのか、それともひどくなる前に、治療をした方がよいのでしょうか。
また、近々の今の痛みをやわらげる方法はあるのでしょうか。
先に申し上げたように、仕事上接客のため、前歯を今からはずして長期の治療となるとかなり覚悟が
いります。(時間・費用はどの程度かかるのでしょうか)また、本来ならば直接お伺いさせていただ
きたいところですが、どうしても無理なので東京都都内でご紹介いただける病院はありますでしょう
か(ずうずうしいお願いで申し訳ありません)。
漠然とした説明でわかりにくいと思いますが、今後の方向についてアドバイスを頂戴できれば本当に
心強いです。どうか宜しくお願いいたします。
根尖病巣の成因は、不完全な根管治療によるものでです。根本的な解決は完璧な根管治療によって
のみ解決されます。そのためには、高額の補綴物を除去しなくてはなりません。しかも、除去を行う
にあたって膨大な時間と歯根破折のリスクを背負っての治療になります。しかも、技術にもよります
が、治癒率は80〜95%です。
それでも私はあえてその方法をお勧めしています。なぜならば、歯根端切除術の成功率は5%未満
であり“手術までして最善を尽くしたけれどもダメ”と引導を渡すためのセレモニーに過ぎない医療
行為だからです。
少なくとも、一旦炎症を起こした…起こすような状況にある歯が、そのまま経過を見ていても改善
する見込みはありません。一時的には切開や抗生物質投与により炎症が遠のく時期があるにしても、
根本的な原因(根管内の汚物)を排除しない限り症状は進行していきます。
“歯並びが悪かったので”という状況と年齢的な背景から治療に伴う歯根破折のリスクは低いものと
推測いたします。問題は高額な補綴物を破壊するという遠慮が働いての歯根端切除選択だと思いますが、
絶対に選んではならない選択肢です。
費用の件ですが、歯根端切除¥4000・根管治療¥1500(1本あたり・3割負担)です。治療期間は
そこそこの医院によりますが、通常1〜数か月かかると思います。あとの補綴処置に関しては、何処で
治療しても約1か月程度です。
広い東京ですので、私と同じような価値観をもった先生もいらっしゃるとは思いますが、その存在
をかなり広い交友関係の中から探しても見当たりません。いよいよなら、朝から晩まで治療椅子に
座っていただく覚悟があれば仮歯までの治療を行いますので姫路まで着てください。後の治療は東京
でも十分していただけますので心配はありません。
正直、今まで、4箇所の病院を回りましたが、2箇所が至急歯をとりはずしての治療をすべきと
の診察(根管治療?)、残りの二箇所から、歯根端切除で充分治癒すると全く正反対の応えをもら
って今まで考えあぐねていたのです。
本心としてはわざわざ以下のようにおっしゃっていただいておりますのでぜひ診察をご依頼したい
のですが、朝から晩まで治療椅子に座っていただく覚悟があれば仮歯までの治療というのは日帰り
1日で可能なのでしょうか。
また、土日は診察は無理なのでしょうか。
今後のことを考えると、早く治療をしておいた方がいいのでしょうか。
症状があらわれたのが約一年前、以来、毎日毎日前歯のいたみ、腫れの心配が心からはなれません。
この心配が本当に晴れるのであれば、覚悟をきめて現在のブリッジ?を一度リセットする覚悟を決
めたいとおもいます。
再度新しい歯をいれるとなると4本分の金額負担が今の私には非常に厳しいのですが、支払いを分
割にはできるのでしょうか。
再度のご質問になりますが、アドバイスを頂戴できたらと思います。何卒宜しくお願い致します。
回答:
何事も実際に診て、治療してみないと分かりません。歯根破折や、根尖部の穿孔やリーマなどの
金属破折などどんな事情が待ち受けているのか分からないので確定的なことは申し上げられませんが、
“2箇所が至急歯をとりはずしての治療をすべき”との診断ですのでおそらく根管治療が可能な状況
だと思います。そうであるならば、歯根端切除は絶対に避けるべき選択肢です。
日帰りの治療は、通常の医院では絶対考えられないスピードですが、余程の特殊事情が無い限り
可能です(今まで遠方からいらっしゃった方は全て可能でしたが未来のことは確約できるものでは
ありません)。土日の診療は行っていませんのでそれは無理。また治療時期は、そこまで症状がで
ているわけですから早いに越したことはありません。ただ、術後のフォローが必要なケースもあり
ますので本当に1日だけの治療というこだわりには相当なプレッシャーを感じます。
最終的な補綴物に関しては、保険内の治療だと安くあがります。私の医院では原則として保険外
治療を勧めておりませんので分割等の契約をしていません。
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半年にわたる上顎前歯部の根管治療に気持ちが集中し、おまけに歯科治療に対する不信からか
臼歯部に存在する比較的初期の虫歯治療が全く手付かずなのが気になります。このまま放置して
おくと数年後に気が付いた時にはあの忌まわしい抜髄を行わざるを得ない状況になってしまいま
す。上顎前歯部はするだけのことはしましたので、その経過をゆっくり眺めている間に是非臼歯
部の虫歯治療や歯石除去を優先して“同じ過ちを繰り返さない努力”を心がけてください。
すでに抜髄した72-|-2の中には生涯機能することが不可能と思われる歯もありますが、
それ以外の歯については今後の手入れ次第で十分生涯機能する可能性があります。歯科医の利用
方法を改めて悔いのないオーラルケアを実践していただくことを心より願います。
報告:2003年1月19日 20:55
再度の仮止めの際、非常に痛みがあった、ということまで報告をさせていただいていましたが、
あれから、薬を欠かさず飲んで、現在は、ようやく、落ち着いているようです。あれから、とり
あえず、痛みが治まってからと思い、こちらの歯医者には行っていません。右側の一番気になる
箇所ですが、ぷっくり腫れていたところが、やや小さくなりました!ただ、体調が悪いと、ちょ
っと白い膿のようなものが見られるのです(今日は落ち着いているようです)。
あと、やはり夜になると、患部が痛みは取れましたが、浮いたような感じで、じんじんしたり
もします。先生のアドバイスどおり、もうちょっと経過を見てみようと思います。
いただいた薬は、全部飲んでもいいのでしょうか?
その点を教えていただければと思います。本当に、早く良くなりたいです。歯が痛いと、人とし
ゃべるのがおっくうになります…。
それでは先生も毎日お忙しいことと思いますが、お体に気をつけてがんばってください。
それでは今後も宜しくお願い致します。
回答:
1週間程で明らかな治癒傾向を期待はしますが、違いが分かるのに2週間。これで安心かなと思
うのに1ヵ月くらいかかるみたいです。でも、本当に悪い場合には、術直後から相応の痛みがあり
ます。また、わずかでも治癒傾向が認められる場合、時期はともかく結果はその延長線上にある
と考えられます。薬は治癒を早めたり炎症を抑える効果はありますが、根本的な治癒は根管治療
の出来栄えによって決まります。薬は必ず胃を荒らしますので、一時的なぶり返しは多少覚悟し
てそろそろ止めた方が良い時期だと思います。もし止めて耐えられないような痛みになるようだ
とその時飲み治しても結果には影響しません。