日付、時間:2002年6月4日 15:48
氏名: 村田 肇
所在都道府県: 東京
職 業: 自由業
年 齢: 44歳
性別: male
質問:
はじめまして、村田と申します。現在通っている歯科医院の歯科治療に関して、疑問に思うこ
とが2点あり質問させていただきます。
半年に1回、歯科医院から手紙が来て、歯石などの汚れをとっております。ちなみに、治療済
みの歯は10本ほどありますが、現在は虫歯はありません。また、過去に抜歯した歯は親知らず
の4本のみで、それ以外の永久歯は全て生きており、神経も抜いた事はありません。
疑問点1. |
本日、半年に1回の定期健診でしたが、その際に上下の歯のかみ合わせが悪いとの事で、上
下のかみ合わせの悪い部分(5・6箇所)を削られました。このような経験は初めてで、このよ
うな治療は必要なんでしょうか? なお、去年に1本治療いたしましたが、それ以外の歯は、20年ほど治療経験はありません。 |
疑問点2. |
治療済の歯のほとんどは、20年ほど前に金を詰めたものです。先生いわく、かなり磨り減っ
ているため、再度詰めなおす必要があるといわれました。 虫歯でもない歯であっても、詰め物が磨り減ったら詰めなおすものでしょうか? |
感想:
とても参考になります。
かなり心がけよく歯のケアに励まれているようですね。その成果も十分に現れているご様子で
心よりお喜び申し上げます。歯のことで悩まれている全国の皆様の模範となるような感じとも受け
とれる内容です。
咬合調整の件ですが、私の感覚では歯軋りや顎関節症の症状の訴えが無い限り、もしくは対合歯
の治療に際して思いもかけない歯牙の挺出がある場合を除いて削合は行いませんが、顎関節症治療
に熱心な先生にとっては有害と思われる咬合関係があっての処置だったようにも思われます。
そうであったとすれば、患者さんに納得のいく説明をした上で削合を行うべきだったと思います。
おそらく、担当医の目からすれば削合に値する異常があったと考えるのが妥当ではないでしょうか。
少なくとも、このように不信に思われこそすれ、金銭的には歯科医にとって削合は何のメリットも
ない処置です。それをあえて行ったのは何かそれなりの正義があったものと推測いたします。
説明が不十分であったか、聞いたあなたの理解が足りなかったかは分かりませんが、改めて削合
されたことの意味を尋ねられてはいかがでしょうか。おそらく納得のいく説明を(得意げに)延々
としていただけるものと思います。その件に関しては勉強熱心な結果だと推測いたします。
“かなり磨り減っているため”というのは言葉足らずというか説得力に欠ける下手な言い方だと
思います。磨り減っているだけでは治療の必然性はほとんど見当たりません。但し私の価値観から
みても20年も経過した補綴物には再治療の必然性が目に浮かびます。「使い切っちゃーイケナイ」
という表現でこのホームページの随所で申し上げていることですが、そのまま使ったとしても痛みが
でるまで3年ほど余裕のある二次カリエスというのを頻繁に見かけます。自覚症状が出た段階では
間違いなく抜髄となり、そのあとは坂道を転げ落ちるが如き運命をたどることは明白です。その前に
異常を見つけ出して大事を未然に防ぐのが本当のプロの技だと思います。
ケアに熱心な担当医の診療姿勢からして、おそらく今治療しておいた方が良い理由が何かあると
感じます。中が黒く透けて見えるとか、周囲に一部破折が認められるとか…。根管治療とか歯周疾患
に関しては何かと問題の多い歯科治療の事態を非難しておりますが、ことムシ歯の治療に関しては
歯科医は患者さんのために随分と貢献していると私ですら評価しています。この件に関してももう
少しつっこんで質問されてみてはいかがでしょうか。多分“かなり磨り減っているため”以外に
治療の必然性が十二分にあると思います。