根本的治療は、原因の除去!!
歯槽骨再生

日付、時間:2002年6月5日 16:58   氏名:   YT  
所在都道府県: 埼玉   職 業: 会社員   年 齢: 28歳      性別: female  

質問:
 HPは拝見していましたが、相談させて頂くのは初めてです。
 右上6番の歯茎がパチンコ玉が入ったように腫れ根管治療を行ったのですが治らず、抜歯か へミセクション(1根残し2根抜く)ということになり、違う歯医者で再度根管治療を行 ったのですが治らず、歯茎を切開して不良肉芽を掻爬し、歯槽骨再生の為吸収タイプの膜 をおいて縫合しました。このとき7番の歯周外科処置も一緒に行ったようです。
 しばらくして、歯槽骨の破壊も大きかったのでもう一度、膜をおく処置をしたいと言われま した。数ヶ月後に取り出すタイプを使いたいとのことでしたが、何度も切開するのは嫌なので 吸収タイプの物を使うようです。このままにしておくと上顎洞炎になると言われていたので助 かったと思ったのですが、もう一度行う必要はあるのでしょうか?
現在、歯茎は左側に比べてやはりボコッとしている気がします。これは治っていないのでしょ うか?
 現在の歯医者は保存に熱心なのですが、今後どうしてするのがいいのか分からなくなりまし た。7番の状況が悪いので6番は非常に大切な存在です。お忙しいと思いますがよろしくお願 いします。


感想:
これからも頑張ってください。

回答
 この手の治療には嫌悪感を感じます。“私からみれば治る見込みのない治療”を平然と行って いる歯科界に強い憤りを感じます。但しこの考え方は歯科界で少数派どころか、場合によっては 私一人ですのでその積りで読んで下さい。

 問題の場所は、それぞれ炎症を起こすべき原因があるからこそ炎症を起こし、周囲の骨組織を 破壊しています。6番の原因は根管治療の不備もしくは歯根の破折による汚れの貯留だと思われ ます。7番は根管治療の不備もしくは歯周疾患進行(歯石の沈着)によるものと推測されます。
 原因を除去すれば炎症は治まりますし、歯槽骨も再生が可能です。例えば抜歯や ヘミセクションを行えば、問題の歯に潜む原因を確実に除去しますので 確実に炎症を抑えて歯槽骨の回復も見込めます。勿論理想的には歯を残して原因だけを除去して やることです。この場合、歯根破折の場合は保存不可能ですが、根管治療や歯石除去が原因の 除去にあたります。

 根管治療が上手くいってないようですが、本当に不可能ならば抜歯やヘミセクションしか解決 の道はありません。その原因を残したままいくら歯槽骨再生を試みても再生の見込みがないばかり か炎症が治まるはずもなく無用な処置を繰り返すばかりです。
 現在行われている手術はGTR法と呼ばれる歯槽骨再生法のうち、吸収性 の膜(メンブレン)を使う方法だと思います。折角不良肉芽(炎症の産物)を除去しても、歯槽骨 の回復よりも上皮の進入の方が早いので上皮の進入を防ぐために膜を張るという発想の下に開発さ れた材料、および手術方法です。確かに言葉の上では、不良肉芽が膿(炎症)の素であり、そこに 起こった炎症が歯槽骨を破壊しているわけですが、そこに不良肉芽が存在する原因は根管内の汚物 です。その証拠に、根管内に汚物を含んだ歯そのものを抜歯すれば不良肉芽など除去しなくても 炎症は治まり歯槽骨も回復します。
 その不良肉芽を原因と勘違いしているのか、原因除去など必要ないという認識があるために無用 (私からみれば)な処置が行われているという実態です。根本的な治癒は的確な根管治療か抜歯や ヘミセクションによってのみもたらされるという観点から治療方法を選択するようにして下さい。


返信:2002年6月6日 22:03
 早速のお返事ありがとうございました。
6番については、掻爬がうまくいていっていれば、ボコッとすることもないのでしょうか?
2度目の切開はできればしたくないので、やはり抜歯しかないのかなと思ってしまいます。6番の 根管治療については、先生も念入りにレントゲンをとり根充されているか確認していました。この とき、歯根から薬が飛び出しましたが、切開したときに掻爬されていました。これは、きちんと した根管治療を行った後の掻爬ということにはならないのでしょうか?先生は、「根に問題な い」といっていました。根には問題ないとはどういうことなんでしょうか?

 前の歯科医でのへミセクションの話(2根抜いて1根を残す)を先生にしたときに先生は、「上 の歯だし、1根だけ残してへミセクションは考えられない、歯槽骨もかなり破壊されているので結局 は抜け落ちてしまう」と言われました。7番についてもいずれ抜かなくてはいけなくなるかもしれな いし、根管治療をしようと開けてしまったら、もしかしたらそのまま抜かなくてはいけないかもしれ ないと言われました。
 以前、通っていた歯医者では(まだ6番が腫れてくる前)「7番の状況が悪いので抜いて8番を矯 正して持ってきましょう」と言われましたが、矯正に抵抗があり辞めました。現在、8番は今の歯医 者で顎関節症の治療もあり抜歯しました(元々少し斜めに生えてた)。
今の歯医者ではへミセクションも抜歯もしないと思うので、違う歯医者での診察も考えた方がいいの でしょうか?
76番がなくなってしまうと入れ歯ということですよね。今の状況で6番を抜歯してブリッジにでき るのでしょうか?
また、質問ですみませんがよろしくお願いします。

回答:
 “きちんとした根管治療を行った後の掻爬”であれば経過は良好なはずです。押し出された根充材 はキッチリ除去されているにも関わらず炎症が治まらないということは、歯根破折の可能性を含めて 根管充填が上手くいっていないと判断されます。「根に問題ない」ということは言えないと思います が、最善を尽くしたがこれ以上は無理ということはあるかも知れません。  “1根だけ残してへミセクションは考えられない”は保険規則上の問題です。1根だけを残しても その根っこを含む一連の治療は保険適応外になってしまいます。理不尽な規則だと私も怒りを感じて いますが、お上には逆らえません。「根管治療をしようと開けてしまったら、もしかしたらそのまま 抜かなくてはいけないかもしれない」という状況は臨床上比較的頻繁に遭遇します。

 万策尽きてのGTRなのか、捨て身の根管治療に活路が残っているのかはメールだけでは判断でき ません。以前から先行きに不安のあった7番を、矯正しないまでも抜歯しておけば適当な位置に移動 した可能性もありますし、いかに顎関節に問題があったにしても7番のスペアとして残しておくとい う選択肢もあったように思います。
 7番を利用したブリッジは当面使えそうに思いますが、先々では5番まで巻き添えにする形になり ます。もう一度6番の根管治療を試みた上で、ヘミセクション。更に無理を覚悟で6番単独か7番 6番連結の補綴が当面の選択ではないでしょうか。
 最終的に6番7番を失った段階では、インプラントが最有力の選択肢ですが、解剖学的形態から 植立の可能性は非常に薄いと思います。その場合には最終的に部分入れ歯になってしまいます。

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