永久歯萠出時期間際まで対処が可能かも知れません。
歯冠部の亀裂

日付、時間:2002年6月11日 1:26   氏名:   太田麻実  
所在都道府県: アジア   職 業: 主婦   年 齢: 27歳      性別: female  

質問:
 1才8ヶ月の娘が、ころんだ拍子に机の角に歯をぶつけ上の前歯2本(中切歯)の先1/4 くらいのところに亀裂が入ってしまいました。 現在、シンガポールに住んでいますので当地 の歯医者にいきました。
 虫歯になるから2本とも抜歯しますといわれたのですが、レントゲンの結果は歯茎・神経・ 根元のどれも異常はないそうです。 できれば何かで補強の処置をとってほしいのですが可能 でしょうか。永久歯が生えるまで、まだ4〜5年もあり永久歯が生える際に支障はないでしょ うか。

回答
 事故などで歯冠部分が完全に破折して歯髄が露出した場合は、確実に歯髄炎を起こし歯髄壊死 から根尖病巣に発展します。破折が直接歯髄に達していない場合は、破折面に薬を塗ったりコー ティングして歯髄保護を図れば多少の歯髄炎を起こして痛かったとしても炎症が治まりそのまま 末永く機能するケースを多く見かけます。
 一方亀裂を起こした場合も、場所と程度によってそのまま歯髄壊死に至るか回復が見込めるか に分かれますが、その将来を確実に予測することは不可能です。

 乳歯、とりわけ萠出間もない乳歯の歯髄は未完成で歯髄が大きく位置的には直接歯髄に損傷を 与える可能性が高い反面、未完成なだけに生活力が旺盛で多少の歯髄炎であればそのまま回復し て機能する可能性も高くなります。従って、歯髄炎による痛み(炎症)に対して、消炎鎮痛剤を 服用(飲むかなぁ)して経過をみておけば治癒の見込みもあります。
 その結果、運悪く歯髄炎から根尖病巣に発展した段階で根管治療を行うことも可能です。しか しその場合、歯根部分の成長が未完成な上に将来永久歯萠出に伴う歯根吸収が起こりますので、 確実な根管治療は不可能です。根管治療により一旦は治癒したかにみえた根尖病巣が再発するこ とになります。再発のたびに、根管治療もしくは切開・排膿を行うことにより半年程度の延命が 可能かも知れません。但し、永久歯の骨内での成長が間近に迫った状態になれば、永久歯への 影響を考慮して抜歯を考える必要があります。

 いきなり抜歯を選択しなくっても、状況の変化に伴い相応の対応をしてやればそれぞれ半年毎 の延命効果が期待できますので、3歳・4歳と成長し、永久歯萠出時期間際まで対処が可能かも 知れません。

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