健康な歯肉位置も加齢に伴ってある程度後退します。
歯茎が後退

日付、時間:2002年6月11日 23:38     氏名:   Y  
所在都道府県: 東京   職 業: 学生   年 齢: 23歳      性別: female  

質問:
質問させてください。
 4年前、歯がでているのがイヤで、上の前歯4本を差し歯にしたのですが(軽率な判断でした。 物凄く後悔しています)、この1年くらいで、下の前歯の歯茎が今では5mmくらい下がってしまい、 頼りないほどに薄くなってしまいました。
歯槽膿漏かと思い不安で、冬に大学病院で診てもらったのですが、問題ないと言われました。しか し、その時より歯茎は下がっています。腫れたり、血が出たことはなく、ただ全体的に下の前歯6 本が異常に長くなったと言う感じです。でも触るとブヨブヨします。歯科医にいくと歯石とりはし てくれるものの、特別の指摘はありません。
インターネットで調べてみると、噛み合わせが変わり、歯根吸収?が起きている例として、下の歯 茎が後退する症例が取り上げられていました。病的な問題ではないので、抜け落ちることはないと も書かれていました。

 上記に書いたような病的な理由でなく、歯茎が後退することはありうるのでしょうか?
私はこれから具体的にどういう対策をとればよいのかわかりません。気になって磨き過ぎている こともあり悪化しているように思います。差し歯をもとの出っ歯に戻すべきなのか、などと考え ますがそれは正直イヤです。
噛むのが不安なのですが、長くなった歯はそのままでも機能するのでしょうか?
逆にかまないほうが良いですか?
そして差し歯にした以上、これからもこの部分の歯茎は下がりつづけますか?
こまめなスケーリングに努めていれば、防げるのでしょうか?
長々とまとまりのない文で申し訳ありません。お忙しい中目を通していただき感謝します。

感想:
 ホームページ拝見いたしました。驚くほど詳しく書かれていて感動しました。
歯科医のいうことをただぼんやり聞いているだけの患者でしたが、歯を大切にしたいなぁと改めて 強く思いました。自分は治療した歯が多いのですが、自分の歯を1本でも多く残したいです!

回答
 さし歯にした上顎4前歯は、先々で根尖病巣や歯根破折のリスクを背負うことになりますし、 汚れが貯留しやすくなりますので歯周疾患の進行リスクにもさらされることになります。その意味 では、出来ることなら避けるべき選択だったといえます。
 問題の下顎前歯部の歯肉後退ですが、一部ではかみ合わせと歯周疾患との関連も取り沙汰されて いるものの私は20数年間の臨床を通して一度も遭遇したことはありません。上顎のさし歯との関連 は皆無と言っても過言ではありません。

 正常な歯肉位置はセメント質とエナメル質との境から約1mm上、歯槽骨より約2mm上(盲嚢測定値) と言われています。また一方で、健康な歯肉は炎症がなく引き締まった状態で歯槽骨より約2mm上で 一見両者は同義語と思われがちですが、この二つは明確に区別する必要があります。
 加齢に伴いある程度の歯槽骨後退は生理的範囲としてやむを得ないものと考えられます。従って、 健康な歯肉位置も加齢に伴ってある程度後退します。一方歯周疾患の進行が著しく、歯槽骨が1/2以上 破壊されていても歯肉は腫れあがりセメント質とエナメル質の境より上に歯肉位置が存在するケース を多く見かけます。勿論、盲嚢測定値は5mm以上になります。このような症例で、歯石除去を行います と、炎症が治まり歯肉は劇的に引き締まって、盲嚢測定値2mmになります。その結果歯肉位置はセメ ント質とエナメル質の境よりはるか下まで後退してしまいます。

 健全で正常な歯肉位置というのは、歯牙萠出が止まった後にほんの一時見られるに過ぎないと言っ ても過言ではないでしょう。下顎前歯部の萠出は他の歯よりも早く10歳ころ終了しますので、若いこ ろから一番目立ちやすい場所だといえます。“今では5mmくらい下がってしまい”ということですが、 何時の・どのような状態に比較して5mmなのかが問題です。そして現在の歯槽骨の位置と歯肉状態こそ が問題です。
 上顎のさし歯の存在に関わらず、普通にしていれば必ず歯槽骨の破壊は進行します。仮に進行傾向 が著しいということであればなおさらケアが必要です。現在の歯肉位置よりも、歯石や汚れがなく健全 な歯肉を保ち続けることが最も大切なことです。

 

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