早い話が、毎月のメインテナンスを行ってくれる医院を見つけることが最重要課題です。
冠脱離は抜歯病名?

日付、時間:2002年7月2日 23:33     氏名:  A.T   
所在都道府県: 東京   職 業: その他   年 齢: 36歳      性別: female  

質問:
 左上の第2大臼歯です。
約二年半前に痛みがでて、根の再治療を受け、その際に第1大臼歯と繋げた状態の冠をかぶせま した。その後も噛むと痛みがあり、半年後に別の歯科で再度根に薬をいれなおして同じように冠 をかぶせました。しばらくは噛むと痛みがありましたが、そのうち噛んでも痛くなくなり使って いたのですが、昨年の11月頃から噛むと冠が動くようになり(第二大臼歯のほうが取れか かって浮くような感じ)そのうちに中のほうからか血膿のような出血があり歯科にいき、訴えま したが、ブラッシングで様子を見て下さいとの事でした。
 その状態のまま、今年一月に入り第1大臼歯の頬側の歯肉部が大きく腫れ上がり、再度歯科に 行き、冠をはずしたところ、第2大臼歯は土台ごとすっぽりとれてしまう状態でした。
その後、根の洗浄をしてもらい、わずかに残っている歯のぐらぐら感や痛みも落ち着いてきたの ですが、先生のほうでは基本的には抜いた方が良いとの事でした。私としては、もともと神経を 取って治療している歯が大部分で何箇所か病巣もあり、更に歯の治療の不咬合から長い間顎関節 症にも悩まされていたので、できればを抜かずに持たせたかったので、先生もできるだけその方 向でという事で今までずっとお願いしてきたのですが、3月ぐらいから根の穴の所に詰め物をした まま様子を見る日が続き、4月には実際噛んでも痛くないかを簡単な仮歯みたいな物を即席で作り 試して痛みもなかったのですが、それでも様子を見るということでゆるくなり取れかかってはま た加工してつけるのを繰り返すうちに、即席の土台もゆるんできてまた中のほうが炎症をおこし、 それを告げても、中の治療はせずに新たに痛みがある状態のままで、今度は型をとり冠をつくり ました。
 結局、冠はいれずに土台ごとその場で大雑把に作った仮歯でまた様子を見てと言われましたが、 翌日にはまたすぐ取れ、これまでのじれんまもあり他の歯医者さんにいきました。 そこでは歯の周囲の歯肉をきってみてどのぐらい歯が出るかで残せるかどうか見て、だめなら抜く しかないと言われ、結局メスでさわったら歯が割れているとのことで、その場であっさり抜かれて しまいました。
 私としてはなんだかふに落ちないまま抜かれてしまい、もう歯はないのでしょうがないのですが、 今後のためにもこういう経過の歯の場合もし他にも治療方法が考えられるとしたらどのような方法 があるのでしょうか。
今回の抜歯の治療にしても、歯肉を切らないとレントゲンではある程度の状態がわからないものな のでしょうか?(レントゲン写真での歯の状態の説明では根の部分が大きいとのことだけでした)
また、抜歯後は第1大臼歯の冠を横に少し伸ばして下の第2大臼歯にあてて噛み合わせを整える方 法があると言われましたが、ほかにも良い方法はありますか?(親知らずは4本とも既に抜歯済みです)
抜歯後の消毒に3日後に来て下さいと言われましたが、今回の抜歯にいたるまでの経緯から今後の 治療も少し不安です。消毒も以前抜歯をした歯医者さんでは翌日必ず行っていたのですが、大丈夫 なのでしょうか?
色々とまとまりのない質問で大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします

回答
 今年の1月に行った時点で残存する歯質は薄く、まともな保存は不可能だったと思います。 歯茎が腫れたということですので、その時点で、破折・穿孔、もしくはそれに類似する状況だ ったものと推測します。抜歯の宣言がしにくかったとか、時期を逸したとか、何とか保存の方向 で遁走した姿が目に浮かびます。

 問題は昨年の11月、“噛むと冠が動くようになり”という訴えを聞いて脱離を見抜けなか ったこと。更には、このような脱離で歯牙を喪失するリスクを知らないで手入れを行わなかった ことが敗因です。
 “歯磨きだけでは守れない”と常々申し上げていますように、治療した歯、治療していない歯 を問わず信頼できる歯科医の検診およびメインテナンスなくして生涯歯を残すことは不可能です。 つまり、1月の時点で何をしようがすでに手遅れです。本当の脱離の時期はおそらく半年以上前の ことですので、せめて脱離して1か月以内に見つけ出す能力をもった歯科医を探すことと、1か月 以内に見つけ出す体制を整えておく必要があります。早い話が、毎月のメインテナンスを行って くれる医院を見つけることが最重要課題です。

 抜歯後の洗浄に関してはおそらく心配無用です。かつて保険規則により、投薬が最大2日分 で、“状況をみて必要と認められる場合に追加投薬”という文言があったために慣習として 翌日洗浄となっていましたが、抜歯操作にミスがなければ(根っこの一部が残存とか)必ず 治癒しますし、残存などがあれば洗浄の有無に関係なく予後不良となります。  ちなみに毎日が大混雑の河田歯科医院では、余程の抜歯で無い限り次回来院は1週間後か 1か月後です。


返信:2002年7月3日 18:44
 お忙しい中、早々にお返事をくださいましてありがとうございました。再度、いくつか疑問点が あるので教えていただければ幸いです。

 抜歯する直前は確かに第一大臼歯側と耳側にそれぞれ壁のように歯がはりついて高さは歯肉より も少し出ているような状態でした(舌でさわってもかなり大きな穴があいていました)。残存する歯 質が薄いと、保存自体もやはり難しいのですね。あと歯茎の腫れなのですが、今回抜歯をした第二 大臼歯ではなく隣の第一大臼歯の頬側の歯茎が大きく腫れていたのですが・・・

  1. それは、抜歯した第二大臼歯の病巣の影響と捕らえればよいのか、第一大臼歯自体(以前この歯 も病巣があり決して良い状態ではないと言われている)に大きな問題があるのか疑問です。 半年の間でされた治療は歯茎への直接の消毒のみで土台もはずしていません。
  2. 歯茎の腫れというのは、必ずしも問題のある歯の部分が腫れるとは限らないものなのでしょうか?
    また、上記の歯の影響で同じく左上の第一小臼歯の頬側の歯茎にも病状が現れることもありえるので しょうか?
    (第二大臼歯が腫れた後から白いイボ状の出来物があり、イボが大きくなるほど白くかたくなる。小 さくなると白みがなくなり赤くプツッとなるのを繰り返している。周囲の歯茎の赤みはあまりありま せん)
    ちなみにこの第一小臼歯は差し歯にしているのですが、一年半程前にブラッシング中に誤って歯ブラ シを噛んだ際に強い痛みがあり、しばらく中から響くような痛みが継続してありました。現在も指で (爪で)叩いてみると根元のほうに響く痛みがあり、奥歯から来ていると言われたまま半年間何も治療 されていないのでとても心配です。
  3. その他、右上の第一、第二小臼歯(いずれも差し歯)の頬側の歯茎も赤みがあり、第一のほうはか すかに赤く小さなプツッとしたものが見受けられ、第二のほうは上記の奥歯と時期を同じくして歯茎が ぷくっと腫れて膨らみ注射器のようなもので直接歯茎を刺して洗浄だけされました。現在は他に比べて 少し盛り上がって赤みがあり、差し歯を一度はずして中は何も治療してもらえずに再度その差し歯を仮 止めにしている状態です。これも、早急に中の方の治療をしないと抜歯した歯と同じ運命をたどること になりえないのでしょうか?
    トラブルをたくさん抱えたまま、なかなか良くならず納得のいく説明や治療が施されず行き詰まって います。先生からは何箇所か治療済みの根の所に病巣があり、治療によって歯が全体的に低くなって いるので色々と難しいといつも言われ、痛み出したり腫れるのは体調が悪いときで落ち着いてくる場合 もあるからと、これまでもブラッシングやただ様子を見るという形のみで対症療法のみで終わっていた ことが多かったように思います。自分の認識不足もあったのかもしれませんが。。。
  4. 私のような治療を多くしている弱い歯でも、実際には根の病巣の再発があればそれを見つけた時点 で再治療が施され,また直るものなのでしょうか?
  5. 抜歯後についての疑問なのですが
    歯がないままでも顎関節や噛み合せの面に大きな影響はないと思われますか?
     現在の状況では左側の噛みあわせが低いのですが、残っている歯が左右均等に噛み合えば大丈夫なの でしょうか?
  現在自分の歯でほぼ残っているのは10本にも満たない状態です。 今後、先生のアドバイスのように信頼できる先生を見つけることは不可欠だと思っています。 しかしながら、その見極めも難しくジプシー状態です。 何か適格な治療を行っていただける先生かどうかを見極める基準みたいなものが何かございましたら、 参考までにアドバイスお願いします。
面識もなく、直接診て頂いていないのに色々と細かな質問をして本当に申し訳ありません。 よろしくお願いします。

回答:
 基本的には腫れている中心部分に原因が存在します。第一大臼歯が腫れていたのであれば、第一大 臼歯に炎症を起こす原因が潜んでいます。脱離が第二大臼歯で相応の問題があり、同じく第一大臼歯 にも炎症を起こすべき原因が残っている可能性は十分考えられます。消毒はあくまでも一時的な対処 療法であって根本的な解決にはなりません。除去して治療すべきですが治癒に導く自信がないのか、 面倒なのかのいずれかでしょう。
 上顎の小臼歯との関連は一切考えられません。上顎の小臼歯にもそれなりの根尖病巣があるものと 思われます。治療して治る見込みが高いかどうかは実際に診て、触って(治療)してみないと分かり ませんが、すでに症状があるわけですからそのまま放置しておけば、抜歯のリスクが高まる可能性は 十分あります。日本中で満足な根管治療がほとんど行われていない現状を踏まえて申し上げるならば、 再治療による治癒の見込みは非常に悲観的と申し上げざるを得ません。しかし、適切な(最高水準) の治療が受けられる状況であったならば、治癒の可能性は約80%程度という認識をもっています。
 最後にかみ合わせの問題ですが、歯がないまま放置しておいたならば、それが直接目に見える 形で障害が起こるかどうかは別にして、少なからず悪影響が発生するものと思われます。第二大臼歯 1本だけだとそれ程大きな影響はないように思いますが、それ以上の欠損があれば問題です。

   適格な治療を行っていただける先生かどうかを見極める基準はおそらくないでしょう。この3000ペ ージに及ぶホームページを全部読んで理解したとしてもぼんやりイメージが湧くだけで、実際に探す 段になればほとんど参考にならないと思います。治療が長引かない、的確に治癒に導くなどの評判の 方が実質的な参考になると思います。

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