技術と運が良ければ根尖病巣の大きさに関わらず治癒します。
30年前の根管治療

日付、時間:2002年7月9日 12:29     氏名:  YK   
所在都道府県: 東京   職 業: その他   年 齢: 40歳      性別: female  

質問:
 こんにちは。
11年前に、上の左右1番と左2番の3本連結の差し歯をしました。
「外して差し歯をやり変える場合、左2番の根尖病巣をどうするかも問題」と言われました。 左2番を一番最初に差し歯にしたのは、約30年前(当時は難しい治療だったらしく、歯科大学 で治療しました)で、今まで痛みを感じた記憶はありません。左2番の根尖病巣のことが不安 でたまりません。これは放置せず治療した方が良いのでしょうか?
将来痛く悪くなって抜歯になる可能性はありますか?レントゲンを見ると、大昔の治療のせいか 、素人目にも根管の白い線が短いです。
それと、そんなに以前に差し歯にした歯を外すのは、破折のリスクがかなり高いのでしょうか?
お忙しい中、申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

回答
 結構難しい質問です。根管治療や金属ポストの状態、担当するドクターの技術、抜歯に対する 考え方によって全ての選択に全ての可能性があります。  例えば他の医院で除去不可能と言われた金属ポストを数百本、その都度破折リスクを説明 して除去してきましたが、実際に破折や穿孔したのはおそらく10本以内だと思います。反面、 これは除去不可能という金属ポストも毎月1本くらいのペースで発生しています。いざ除去 してみると意外と破折させてしまうことは少ないとは思いますが、折角除去しても根管治療 の腕前にも大きく左右されます。

 30年かかってどの程度の大きさに成長したのか、痛みもないのであればこれから先も緩慢な 成長である可能性が高いと思います。周囲の歯に迷惑がかからない範囲で、いよいよのところ まで放置しておいても技術と運が良ければ根尖病巣の大きさに関わらず治癒します。 ところが大きくなると、しかも金属ポストが入っていたりすると、 歯根端切除を勧めるドクターもいますので注意が必要です。

 虫歯の関係でどうしても金属ポストの除去が必要であれば、根管治療も済ましておくのが望 ましいと思いますし、30年間痛みがないのであればわざわざリスクをおかす必要もないと判断 します。最悪なのが、上部構造を装着した直後に根尖部の症状が出た場合ですが、そこまでは 予測できません。


返信:2002年7月11日 19:02
お返事どうもありがとうございます。
今日、歯科へ行って説明を聞いてきました。破折の可能性は、高くはないけど、珍しいことで はないそうです。
 前回の投稿に謝りがありましたが、左の一番が欠損のブリッジなんです。今回、右一番の具合 が悪くて、抜歯も視野に入れた根管治療を始める予定です。有名国立大学歯学部付属病院(名前 を書くといけないかも知れないので・・)なのですが、根尖病巣というのは、よくなる保証はな いし、数回の治療の後、結構長い期間仮歯の状態で様子を見る、などと、いろいろ言われて・・・ とても不安になってしまいました。左2番に関しても、破折のリスクを乗り越えられ ても治るとは限らない等。もし右一番が抜歯となると、新しい歯を削ってまた神経を取らなけれ ばなりません。
神経というのは、誰が取っても、その予後は大差ないのでしょうか?
大学病院は、若いお医者さんで、根管治療に関しても上述の様な感じで河田先生とは全然違います。 不安でたまりません。
どうせ抜歯の可能性が高いなら、腕の良い開業医の先生(この先生は今回の歯に関して「歯は悪く ない」の一点張りで、根管治療はしてくれません)の所へ行った方が良いでしょうか?
何ども申し訳ありません。

回答:
 神経というのは、誰が取ってもその予後は大差があるからこのホームページにも大量の質問が寄せ られているわけですし、わざわざ姫路まで治療に来られる方が多いのが現実です。皮肉な言い方をす れば、結構多くの場合、誰が処置しても予後が悪い。悪いことに関しては誰が抜髄しても結果が悪い ともいえます。従って、抜歯して隣の歯を抜髄すれば同じ悲劇を繰り返すだけの可能性が非常に高い といえます。
 またまた皮肉で申し訳ありませんが、“腕の良い開業医の先生”のあてがあるのであれば何の迷い もなく転院すべきです。“腕の良い開業医の先生”が極端に少ないのが現状です。

 成功率50%が根管治療の実態であることを認識するところから対処を考えて下さい。念を押されて 「大丈夫」と答えられる歯科医はおそらく皆無です。50%の成功率にすがらなければならない状況か どうかをもう一度考え直して、どうしてもという状況であるならばできるだけ確率の高い歯科医を 探して治療すれば案外道が開けることが多いと思います。


返信:2002年7月12日 11:28
 ありがとうございます。
腕の良い開業医の先生は、この歯の根管治療はしてくださいません。「レントゲン上、歯は綺麗に なおっている、何か他に原因があるのだろうがわからない」とおっしゃいます。隣の歯の根尖病巣 に関しても診て見ぬ振り(寝た子をおこしたくないのかも?)です。
 大学病院で診てもらったら、「右一番は、治療はしっかりなされているが少し陰があるが、これ が原因の痛みかどうかはわからない」という感じです。開業医の先生は、もう十数年通っています が、以前の歯科で何度治療しても治らなかった奥歯3本を少ない治療回数で治して下さり、再発も ないので腕は良いのだと思います。表面上親切で優しいですが、本当に患者のことを考えるタイプ ではないです。面倒なことはしたくないみたいです。歯周病の専門医でありながら、「歯ぐきが痛 い」と言うと、「この歯は、ポケットが6ミリありますからねぇ」と言いつつ薬を塗るだけで、歯 石も取ってくださいません。

姫路へは、通えない距離ではないので、出来ることなら河田先生に診て頂きたい気持ちで一杯です。 でも、もう来週の火曜にブリッジを外して右1番の土台を外す予約をしています。もしかして破損 のリスクもあるし、今大変不安な気持ちです。幸いにして、破損せず、根管治療の出来たら良いの ですが・・ もし、治療可能の状態で、大学病院での根管治療が上手くいきにくい場合、河田先生の医院へお電 話して、診て頂くことは可能でしょうか?
治療が出来なくても、どういう状態なのかだけでも結構なので出来たら診ていただきたいです。 その大学病院のHPには、「口腔治療科は、根管治療を専門として・・」とあるにも、関わらず、 説明も不安げな感じなんです。もう・・、前歯のブリッジの歯達に関しては、本当に悩んで精神的 におかしくなりそうな状態です。

回答:
 破損リスクに対しては、私を含めて誰でも術前大げさに説明する傾向があります。術者の技術に 大きく左右される処置ですので、本当に頻度が高い(下手?)ドクターは絶対?除去しようと口に 出さないと思いますし、除去しましょうというドクターはおそらく破折頻度が低いものと推定され ます。
 貼薬の可否はさておいて、根管治療の基本は丁寧な根管内汚物の清掃と完全閉鎖(根管充填)で す。その点大学病院は基本に充実ですので治癒の可能性は高いと思います。

 根尖病巣の原因は根管内の汚物、歯周疾患の原因は歯肉縁下の歯石。これを除去することが一番 大切なことだと思っているのはどうも私一人で、世の中は薬で治ると思っているようです。 /(-_-)ヽ コマッター  。
 経過を見て思わしくないようでしたら遠いけれど一度来てください。問題の歯を含めて全体的な ことについて何らかのアドバイスが出来ると思います。

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