とにかく徹底的に除去してください。
無策の次は抜歯

日付、時間:2002年8月27日 14:07     氏名:  もも  
所在都道府県: 石川   職 業: 主婦   年 齢: 30歳      性別: female  

質問:
 中度から重度の歯槽膿漏で悩むものです。
以前の歯科ではあまり徹底した歯石除去をしてくれなかったので別の歯科で相談してみたんです。 歯並びが全体的に悪いので奥歯にかなり力がかかっているとかで内側にちょっと傾いていて、歯 茎も下がって隙間もあいています。右下は根っこが見えています。
 レントゲンを撮ったところ、奥歯よりも前歯が悪いことが判明したんです。動揺もあります。 上の1番は歯槽骨の吸収が半分くらいでしょうか、下の右1番は白い膿も出ていますし、悪いの はわかっていたのですが、骨がほとんど溶けてしまっていました。レントゲン上で測ると残り5 ミリくらいでしょうか。上下とも、もし痛みがでてきたり化膿したら抜歯だと言われショックを 受けて帰ってきたんです。
この状態ではいくらポケットの中の歯石をとったり(これはもうやりました)フラップオペをし たり(これはまだです)しても改善しないともいわれてしまいました。

 歯列矯正を考えていたのですが、この骨の状態では矯正に絶えられないそうです。これから先 の治療は保険がきかない精密検査をしてみないとなんとも言えないということなのですが、矯正 できない、歯石をとる手術までしても治らないんでは私はただ歯が抜けるのを待つしかないので しょうか?

この年齢で入れ歯なんて嫌なのですが、他の歯にも影響することを考えると右下1番のようにほ とんど骨が残っていないような歯は思い切って抜歯したほうが良いのでしょうか?

回答
 何も有効な手立てを講じないまま放置しておいて、悪くなったのが確認できた段階で抜歯か 保険外治療という印象を受けるようなひどい話ですね。こうなる前にすべきことがあったと同 時に、こうなっても次に最優先させるのは今まだ比較的軽度である歯が同じ運命をたどらない ための処置。つまり徹底した歯石の除去とメインテナンスです。
 “歯石は炎症の直接原因ではない”つまり歯槽膿漏の原因は歯石ではないという考え方が、 日本中の歯科医のほぼ共通した見解です。私からみればとんでもない誤った認識だと思いますが、 この認識の結果、歯石除去は皆さん熱心ではないようです。

 お伺いした状況から考えると、歯石は1度や2度では取りきれないでしょう。とにかく徹底的 に除去してください。それと、今までだって歯磨きはしていたはずですので、歯石をとったから といってもまたすぐに着いてきます。毎月歯石をとって、少しでも炎症を起こさせないよう しっかりコントロールして、それでも腫れてくる部位については、麻酔をしてでも更に歯石や 汚物を取る必要があります。

 考え様によっては、まだまだ5ミリも歯槽骨が残っているわけですから、徹底した歯石除去 を行えば手術は当面不要のはずです。保険外の治療とはおそらく、造骨性の何か処置を含む手術 だと思いますが、造骨性は残念ながらほとんど期待できません。  一旦喪失した骨は二度と再生しませんので、そういう意味では歯槽膿漏は不治の病といえます し為す術がないといえます。しかし、徹底したメインテナンスで生涯現状維持することはできま す。今の状態が決して満足すべき状態ではないでしょうが、今の状態がそのまま死ぬまで保てる のであれば不自由はないはずです。

 ちなみに歯並びは良いにこしたことはありませんが、歯槽膿漏の直接原因ではありません。考え られる要素としては、歯石が沈着し易い体質、そして炎症を起こしやすい全身の抵抗力の弱さが ひとよりも早い歯槽膿漏の進行に関与していると思われます。体質・抵抗力はどうしようもあり ませんが沈着した歯石をこまめにとることはできるはずです。

 右下1番の詳しい状況がわからないので抜歯の可否は判断できません。ただ言えることは、おそ らく私なら、抜髄して経過をみると思います。


返信:2002年8月28日 15:05
 昨日歯槽膿漏について質問させていただいたももです。
大変丁寧な回答をしていただきまして、ありがとうございました。実は最近相談に行った歯科で 一番恐れていた「抜歯」ということを言われてしまって夜もあまり寝られずにいたんですが、先 生のお言葉でかなり救われました。
 昨日も書いた右下1番のほとんど骨が残っていない歯なのですが、その両隣の歯も少しぐらつい ています。レントゲンでも1番と同じくらい骨がとけていました。でも歯茎の状態は良く、ポケッ トも深くないのに隣の歯が悪い(膿もでている)だけで影響をうけてしまったのでしょうか?

 なかなか先生のように徹底した歯石除去をしてくれる所がありません。先生のところでは遠方 からも患者さんがいらっしゃるそうですね。私もおもいきって先生に診てもらおうかとも考えて います。
そこで質問なのですが、遠方からの患者さんに対してどのくらいのペースで治療をしているので しょうか。さすがに週1となるとちょっときついかなとは思うのですが、月に2回くらいなら通え ないこともないかなとも考えています。
実は実家が兵庫県なので、実家にいたときに先生のことを知っていれば迷わず通ったのになーっ と今思っています。
 お忙しいなか恐れ入りますが、もう一度ご回答いただけますでしょうか。宜しくお願いいたしま す。

回答:
 人間の体はほぼ左右一緒ですので、おそらく反対の1番も似たような状況だろうと推測いたします。 まだまだ若いのと、とんでもない状況ではなさそうなので、何とかなりそうに思いますが、やはり 実際に診てみないと詳しいことは分かりません。
 遠方からの来院の場合は、だいたい月1回のペースで治療しています。先々の治療をどうするかは あとの話として、1度来ていただければ、状況を把握して具体的なアドバイスができると思います。


返信:2002年8月28日 17:57
つい数時間前にメールをさせていただいたももです。
こんなにも早くまたお返事がいただけると思っていなかったので感謝の気持ちでいっぱいです。
先生のところに通うことを真剣に考えてみたいと思います。もしお世話になることになったら、その ときはどうぞよろしくお願いします。

お返事: (^_^)/ ハーイ

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