あくまでも疑うべきは、根管治療です。
仮歯の悪影響?

日付、時間:2002年9月10日 15:51     氏名:  Y.K  
所在都道府県: 東京   職 業: その他   年 齢: 32歳      性別: female  

質問:
 何度も質問させて頂きましたがそのたび先生には大変お世話になって本 当に感謝しております。
先日のご回答の中で「仮歯との悪影響と決別して保険できく歯で様子をみるのも・・・」というこ とでしたが、次回型を取って作ることにしました。しかし、医院を変えてはじめに仮歯を治して頂い てから3回取って付けてを繰り返し様子を見ていましたが、3回目に仮歯をつけて頂いた日からまた 痛み(しみるような、突っ張ったような感じ)が出てきました。この痛みは仮歯の中がまたセメント で詰まってしまった為の痛みなのでしょうか?
来週新しい歯を作るお話しになっています。今までの痛みが仮歯での悪影響だったとしたらそれでい いのですが・・・・・・・実際、歯を作ってもらって仮止めをしている間に再治療になった場合、そ の歯は治療後使えるのでしょうか?
「レントゲンでは本当にきれいに治療されているのだがなぁ」としみじみいわれて再治療にどうして も踏み切れないのですが痛みが少しでもある限りどうしても不安になってしまいます。そこでいくつ か質問させてください。

  1. この痛み(しみる様な、突っ張るような)は仮歯の中のセメント残留の疑いはありますか?
    ちなみに最初に奇麗にして頂いてからその後2回はいじらずに取って付けただけです。
  2. 新しい歯を作ってから再治療になった場合その歯は使うことはできますか?
  3. 経過を見るということは(レントゲン的)神経を取った日からですか?それとも神経治療が終わ ってゴムを詰めた時からですか?もし不備があったのならそろそろレントゲンで何らかの原因が解る のではないのでしょうか?
  4. 治療後から痛み出したわけではなく治療中からの痛みが後を引いているのですが、このような ことはどのようなことが考えられますか?
以上、分からない事ばかりで先生にはご迷惑をおかけ致しますがどうぞ宜しくお願い致します。

回答
 あくまでも疑うべきは、根管治療です。でも確証がない限り治療に踏み切れない感情を考慮して、 一旦保険の歯を入れて経過を見るということです。
 一旦装着した補綴物は二度と使えません。除去するにはそれなりの手間がかかります。仮歯の影響を 信じるのであれば、その手間は無用の心配になるはずです。レントゲンで確認がとれるとすれば、半年 を経過したころからボツボツですので、何時からという質問には、早ければ治療を始め頃から半年後 ということになります。遅ければ10年後ということもありますので、ものすごく曖昧な時間設定です。

 ですから、今すぐ白黒をつけないのであれば、症状がヒドクなったり、明らかな確証が得られるまで 無制限に仮歯住まいを続けるよりも、ムダになっても一旦最終的な補綴物を装着して余計な要素を一つ 排除して経過をみた方が良いという助言です。


返信:2002年10月15日 12:13
 9月10日に質問させて頂きました。何度も申し訳ありません。
前回のご回答の中であったように仮の歯の悪影響と決別致しました。事情があって保険外のセラミッ クの歯を今、とりあえず仮止めしています。仮歯の時は、取れてしまう、割れてしまう恐れを心配し て前歯をほとんど使いませんでしたが今はしっかりした歯なので、仮止めではありますが少しづつ前 歯で物を噛んでいます。
 セラミックを仮止めして頂く時、両サイドの歯を先生がコンコンと叩いた時、やはり痛みました。 とりあえず仮止めしておいて様子を見ましょう、と言われましたがセラミックの上から叩いても痛み ません。前のように下の歯と当たった時の痛みや物を噛んだ時の痛みもありません。ただ、鼻を勢い よくかむのではなく吸った時に鼻の奥のほうにヅーンとした痛みが走ります。鼻を指でつまんだ時、 小鼻の横の皮膚の中あたりがなんとなく痛いような動くような変な感じがします。ずっとではないの ですが、1日のうち何回か虫歯の痛みに似たような症状が現れます。
 また、先日風邪を引きまして2週間ほど耳鼻咽喉科に通っていましたが風邪による一過性の急性炎 症を起こしているので治療を致しましたがそれとのかかわりはありますか?
とりあえずこちらは治りましたが・・

 セラミックの歯の噛み合わせも正直言って良くはありません。ただ健康な下の歯を削ることはどう してもいやであたりが少しでも解消される限界までセラミックの歯を削って頂きましたが、それでも どうしても右側の歯だけが下の歯とあたってしまい感じが悪いです。仮歯が長かったせいもあって歯 茎も色素沈着をおこしてしまい紫色になってしましました。
 先生はどうしても痛みが続くようなら大学病院を紹介するので、歯根治療をやり直す時、顕微鏡で 検査してくれるので痛みの原因を見つけることができるかもしれないと言われました。そうなった場 合、また振り出しに戻って仮歯生活になってしまうのですか? 
今、仮止めしているセラミックはもう使えないのですか?
根には異常ない為、治療の後遺症という事も考えられるが、そうなるとなかなか痛みは取れないとい われましたがそんなことは考えられるのでしょうか?
激痛が無いだけ助かっていますが、これがいつか激痛に変わる日がくるかもしれないと思うととても 不安です。こんな事を考えながら生活するのももちろんいやです。もう10ヶ月以上になります。 やはり大学病院へ行って白黒つけるのが一番ベストなことなのでしょうか?
もう本当に終わりにしたいです。何度も何度も本当に申し訳ありませんがどうぞ宜しくお願い致しま す。

回答:
 疑うべきはあくまでも根管治療です。あなたの抵抗力が弱いことが想像できますので、あながち根管 治療が悪いと決め付けるわけにはいきませんが、普通の抵抗力があれば何らの症状を表さない程度の 完成度だと思われます。従って、その程度の違和感は仕方ないと納得してそのまま使うか、より完成度 の高い根管治療を探すかの選択になります。
 それにしても何で保険外のセラミックにしたのかが悔やまれます。それは、“その程度の違和感は仕 方ないと納得してそのまま使う”ということを意味します。なぜならば、より完成度の高い根管治療を 行う場合の大きな足かせになってしまうからです。通常の治療でダメな根管治療を再度行うためには、 大きく削って根管治療を行い易い条件設定が必要です。セラミックを再度使うためにはおのずと削除量 に制限ができてしまいます。

 そのセラミックを再度使いたいという条件では、おそらく根管治療を引き受けてくれる所はないと思 いますよ。言葉が悪くて申し訳ありませんが…下手な根管治療で保険外の収入を得た治療の後始末とい うだけでも心情的に気乗りしなません。更に時間がかかって不採算な上に、制限をつけられたらいかに お人よしの先生でもいやみの一つや二つ言いたくなると思います。ホンネ。
 白黒をつけたいという気持ちと行動が不一致のように思われます。大学が良いとは限りませんね。先 日も、大学を信じて患者さんの希望通り根管治療を任せたら抜歯になってしま いました。今のまま使って症状が明らかとなり、セラミックにもあきらめがついた時点で根管治療をや り直すのが最善の選択ではないでしょうか。


返信:2002年10月16日 17:15
 早速のご回答いつも有り難うございます。その程度の違和感や痛みでは本当にないのです。
実は、神経治療について無知だった私が悪いのですが、始めにお話した歯医者さんは契約みたいなも のがあって、「治療終了まできちんと通う」と言うことで最初にセラミック4本分前金で支払い、あ とは毎回治療分、保険で支払うということになっていました。河田先生のご回答の中で「同じ先生に 治療して頂いても限りなく0に近い」と言うご意見に私も良く考え医院を変えることを決意したので す。その間、そこの医院とは治療以外でも話し合いに行ったりしましたが結局話しがつかずあきらめ て他の医院にすべての事情をお話してみて頂ける事になりました。しかし、医院を変えて見て頂いて も異常はなくリスクを考えるとここで治療するより大学病院を紹介するよ,と言われました。
 その先生もとてもよい方で始めの医院と話がついたらいつでもいらっしゃいと言ってくれました。 もし、ここで異常が見つかって治療となっていたら初めの医院での前金はあきらめるつもりで医院を 変えたのですが、結局治療にいたらなかったので仮歯の悪影響を信じて最初の医院で歯を作ってもら ったのです。医院を変えた時点で前金はあきらめるつもりでしたので、今回セラミックを作ったのは、 決してその程度の痛みや違和感だからしょうがないと言う気持ちからではないのです。あきらめてで も他の医院できちんとした治療をして頂いて痛みがなくなるのなら無駄になってもこの生活を考えれ ば楽なのです。とても疲れました。
 なぜ再治療になった時、このセラミックは使えますか?と質問したかと言いますと、そこの医院の 先生は早く終わらせたかったんでしょうね、きっと・・・だから使えるなどと言ったのですよね。河 田先生のご回答はとてもわかりやすく説明してくださっているので私も良くわかりました。もう使え ないのですね。それは良くわかりましたが、私にとっては保険の歯と同じ気持ちで、仮歯の悪影響か ら決別したのです。しかしやはり仮歯は関係なかったみたいですね。分かってはいたのですが少しの 可能性でも信じたかったもので・・・

 最後にもうひとつ気になることを思い出したのですが・・・始めに治療をやり直す時、ゴムを抜く 時にドリルみたいなもので削ったのですが、その時にすごい勢いで骨がぬけるような感覚と飛び上が るくらいの痛みがありました。それから何ヶ月も鼻もかめないくらい歯と鼻の中が痛かったのですが ひびなどが入った可能性はありますか?
最近、この痛みはそうなのではないかと考えています。いまだに鼻の奥がたまに痛いのはやはりおか しいですよね。1週間後、歯医者さんに行きます。その時に本付けすると言っていました。これらの ことをふまえてもやはり本付けして症状が明らかになった時再治療が一番よい選択だと思いますか?
事情は簡単に書いたつもりで全部ではないのですが、それでも長くなってしまい申し訳ありませんで した。先生のご意見聞かせくださいませんか?
宜しくお願い致します。

回答:
 気になりますネェ。“骨がぬけるような感覚と飛び上がるくらいの痛み”
本当にドリルで骨まで突き抜けたのではないでしょうか。治療遂行上やむを得ないリスクだとは思い ますが、かつての回答で「完璧な根管治療をして経過が思わしくなければ他の原因を疑うべき」と申 したました。どうも根管治療や根管充填はレントゲン的にもかなり完璧に近いのかも知れません。 他の場所に穿孔したとして、そこの死腔閉鎖が完璧でないとすればつじつまは合います。

 実際を診ていないし、確定的なことは申し上げられませんが…そうだとすれば、解決策は一旦抜歯 して、手元で穿孔部分を完全閉鎖した上で再植…が唯一の方法かもしれません。診断が的中して、操 作が上手くいけば結構良好な予後が期待出来ます。但しアブノーマルな手法ですので保険適応には なっていません。“本付け”は今の時点では全く無意味な処置ですので控えた方が良さそうです。


返信:2002年10月17日 16:11
 毎回早速のご回答有り難うございます。本付けは無意味な処置と言うことはやはり大学病院で 治療をやり直したほうが良いという事ですね。
穿孔の症状はどんなふうなのですか?
単純に素人考えではありますが、腕などの骨が折れたりひびが入ると腫れたりしますが、私の場合、 痛みは続くものの腫れや薬を飲まなければならないほどの痛みには一度もなりませんでした。
 先生のご回答を見てまたとても不安になってしまい、抜歯だけは何とか逃れたいのですが、レン トゲンでは絶対に見つけることはできないのでしょうか?
前にいろいろな角度からレントゲンをとって悪いところを見つけることができた、と書いてあるの を見たことがあるのですが、可能性としては無理なことなのですか?
腫れもしない、激痛も無い、だけど気になる痛みが続いてる、こんな生活に白黒つけたいのですが、 抜歯になってしまうのかと思うととても怖いです。やはり症状からでは穿孔と判断できないのですか?
あけてみて初めて穿孔だったとわかるものなのですか?
やはり一番疑わしいのは穿孔と考えたほうがよいのでしょうか?

 とりあえず、今度の予約はキャンセルするつもりです。神経治療後、10ヶ月以上たちますが、穿 孔だったとしてこんなにほっといても大丈夫なのでしょうか? 
 先生は大変ご多忙な日々をお送りだと想像致しますが,患者でもない私から質問ばかり次から次へ と本当に申し訳なく思っております。お時間の許す時で結構ですのでご意見頂ければ幸いです。 どうぞ宜しくお願い致します。

回答:
 抜きたくないという気持ちは十二分に分かります。しかし、その前に同じ過ちを繰り返さないこと の方がもっと大切であることを噛み締めてください。かつて、抜髄をした時点からこのような事態に なることは歯科界では常識なのです。素人のあなたがご存知なかったのは当然だったとしても、今回 の一件で身をもって分かっていただけたと思います。
 今まで通りの手入れ(歯磨き)や異常を感じてからの歯科治療では当然の成り行きであり、予想で きる結果です。ごう慢発言で申し訳ありませんが、炎症発生メカニズムを正しく(私からみれば)理解 されていない世界の歯科医学の限界です。私の手におえるものかどうかですら、実際多少の試行錯誤 の結果をみないと分からないという見解ですが、今のまま大学病院を含めて奔走されてもその歯を救う ことが可能かについてはもっと懐疑的です。

 痛みを感じる限り何か炎症を起こすべき原因が潜んでいるはずですし、その原因を特定して解除する ことができれば治癒も期待できます。手遅れという時間的制限はおのずと存在しますが、状況から判断 して今しばらくの猶予はありそうに思います。それまでに原因を特定して解除してくれる施設を探し あてることができなければ最終的に抜歯になるでしょう。抜歯は誰にでもできる解除方法ですから。
 穿孔の診断はレントゲンのような客観的な手法ではほとんど把握不可能です。状況と経過や既往歴を 全て把握した上でも最後は思い切りのいる決断(推測・思い込み)が必要です。それを確実に判断できる 歯科医はおそらく世界中に一人もいないでしょう。そんな夢みたいな診断や治療を求めるよりも、メイン テナンスを徹底して同じ過ち…つまり簡単に抜髄に至るような歯科医の利用方法を改める方が将来のため に有効ではないでしょうか。

 最後に、根管治療に余程自信のある先生が完璧な根管治療を行ってそれでも痛みがあるとなれば、経緯 から穿孔が十分疑われます。今の根管治療の精度がどの程度かが分からないので、現時点では根管治療の 不備と穿孔は半々です。


返信:2002年10月18日 11:19
 お忙しいところ早速のご回答本当に有り難うございます。文面から先生のお人柄が本当に良くわかる 上、心から感謝致しております。先生のような信頼の持てる先生が近くにいないことがとても悲しく現 状からして仕方のないことだと思います。
 今までの先生のお話を心してこれからは二度と同じ過ちを繰り返さぬよう致します。ご回答の中の猶 予というのは時間の制限はあるがもう少し様子を見てそれでも駄目なら決断すると言う解釈でよろしい のでしょうか?
その間、仮止めのままで過ごして大丈夫なのですか?
探すにしてもきっとどこの歯科医院に行っても同じことを言われそうでとても長い道のりの上、結局抜 歯にたどり着くのでしょうね。早く探すことができ、原因を特定できれば治癒も期待できるという言葉 を心において何とかがんばってみるつもりです。
こんなことにならなければ、きっとずーと神経治療について何も解らず、歯の大切さに気づかないでい たかもしれません。今ある自分の歯を本当に大切にこれから守っていきたいと思っております。これか らも先生にご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、先生の考えを多くの人に伝えていきたいと思 います。少しでもこのような事態が少なくなるように自分の歯を大切にし過ごしていけるように・・・
本当に本当に有り難うございます。そしてこれからもどうぞ宜しくお願い致します。

回答:
 今のまま経過を見ていても、おそらく何時か必ずあきらめざるを得ない状況になるでしょう。その時 期は異常(原因)の程度や根管治療の完成度によって大きく異なります。1年以内かもしれないし、そ のままズルズルと10年くらい長引くかも知れません。それまでの間…つまり半年か5年以内に有効な 手立てが行われれば(これがポイントであると同時に難しいし不確定)、「治るものは治る」という ことです。その間仮止めであっても、脱離しやすいだけで差ほどおおきな問題はないと思われます。


返信:2002年10月22日 14:37
何度も質問してしまい、本当に申し訳ありませんでした。そして、毎回のすばやい回答本当に有り難う ございました。心から感謝しております。
これからもまた質問させて頂く事があるかもしれませんがどうぞ宜しくお願い致します。 本当に有り難うございました。

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