日付、時間:2002年9月26日 18:09
氏名: 太田誠一
所在都道府県: 神奈川
職 業: その他
年 齢: 42歳
性別: male
質問:
前略、また質問があります。
9月3日にポケットをしらべたところポケットの数字が前回に比べて全体が減っていましたが、
9月24日に調べたところふえている所が14本ありました。(0,5mm増が6本、1mm増
が4本、1,5mm増が3本です。)減っているところは5本だけで(0,5mm減が4本、1m
m減が1本です。)8本が前と同じ数字です。
ポケットの数字は7mmが1本、6mmが1本5,5mmが1本、4,5mmが1本4mmが9本、
3.5mmが3本3mm以下が12本です。
数字が減らない原因は歯磨きがよくないからということです。歯石は週1回しか取らないのであ
くまでポケットの数字を下げるのは歯磨きにあるそうです。歯と歯茎の境目が磨かれていないと数
字が下がらないとの事です。しかし、歯石を取るのに局所麻酔を行なわずやっているので歯石が表
面しか取れていないのではないか?と思います。
どのくらいのポケットの深さで通常、局所麻酔を使うのですか?
また歯周外科手術(フラップ手術)はどんな症状の場合やるのですか?教えてください。
また、1本の歯を、歯のぐらつきを止めるよう固定するために隣りの歯と接着剤で固定しましたが、
それはどう思われますか?教えてください。
日経ヘルスと言う雑誌(日経BP社発行)の2002年1月号に歯磨き後の乳酸菌で歯周病を防ぐ
ということがでています。下痢や便秘などで腸の不調を改善する整腸剤。これに含まれる三種類の
乳酸菌(アシドフィルス菌、フェ−カリス菌、ビフィズス菌)が歯周病を減らす作用の強さに驚い
たと大阪薬科大学の松村瑛子助教授が書いています。
市販の整腸剤新ビオフェルミンS錠(ビオフェルミン製薬)などに含まれる3種類の乳酸菌を歯周病
に菌に加えた試験管内の実験。実験に使った歯周病菌は、最も悪者とされるジンジバリス菌。この菌
だけを培養すると菌の数は増え続けるが、乳酸菌を加えると、どの種類でも24時間後には歯周病菌
の数が大きく減った。特に強力だったのは3種類の乳酸菌を一緒に加えた場合で、12時間後に歯周
病菌は検出できないところまで減った。
乳酸菌の歯周病に対する効果を発見した名古屋で医院を開業する今井龍弥医師(京都大学医学部卒、
医師免許取得後、大阪大学歯学部入学。歯科免許取得。)は乳酸菌が歯周病菌を殺し、さらにこの菌
が出す酸素の働きも抑えることにより歯磨き時の出血や歯茎の腫れは2,3日で改善することが多い
ようですと話す。歯磨きのあと市販の整腸剤なめる方法でよいそうです。
医学部でも歯学部でも専門基礎教育機関に系列解剖学と言う講義で口から肛門までが消化器である
と学びます。だとすれば、歯や歯周組織も消化器官だということになります。そして歯周病は消化器
の感染症ということになるので、細菌性下痢症と同じような病気と考えることができます。下痢は腸
の感染症の共通症状です。その下痢が乳酸菌を主成分とする整腸剤で良くなるなら、歯周病も良くな
って不思議はないはず。こうして考えついた方法です。どのようなメカニズムで乳酸菌が歯周病菌を
駆逐するのか、というと英国人モーレは1937年に植物が何らかの物質を放出してほかの植物に影
響を与えることをアレロパシー(他感作用)という言葉表しました。
乳酸菌も歯周病菌も実は、単細胞の植物です。乳酸菌は乳酸や抗生物質、バクテリオシンと呼ばれ
る抗生物質を分泌して歯周病菌の増殖を妨げたり殺したりします。一方、歯周病菌は乳酸菌に必須な
、または増殖を促進する因子を分泌しているのでないかと思われます。二つの菌の間に他感作用が起
きているのです。しかし乳酸菌がどんどん歯周病菌の数を減らすと、やがて歯周病菌が放出する乳酸
菌増殖因子の量も減って、自分たちの増殖も止まってしまいます。そのためある程度時間がたつと口
の中からきえていってしまうのでしょう。すると、生き残った歯周病が再び増殖をはじめて歯垢を作
り始めます。だから、再び歯磨きをして歯石を取り除き、乳酸菌をなめる。(歯磨きにより歯周病菌
を彼らの嫌いな空気の多い場所にさらします。そこに乳酸菌を送り込むと、乳酸菌と歯周病菌群との
間にし烈な生存競争が起こる。しかし、戦況は酸素の好きな乳酸菌有利で乳酸菌が歯周病菌に攻勢を
かけます。
これを続ければ歯周病菌を根絶できなくても、歯周病の各種症状(歯肉の出血、腫れ、口臭、歯の
ぐらつき)などを改善できるというわけです。と載っています。
東海大学医学部生体防御機構系感染症学部門の古賀泰裕教授の実験では、虫歯菌を減らすまではい
かなかったが、虫歯菌が菌につくために必要な、のりのような物質の生成を抑えた(虫歯菌も乳酸を
つくる乳酸菌の仲間ですが、整腸剤の乳酸菌では虫歯になりません。整腸剤の乳酸菌は自分の歯にべ
ったりと着ける不溶性グルカンという物質を作らないため,産制した乳酸は唾液で流れてしまうから
です。)アシドフィルス菌など、すでに80年以上整腸剤として使われている乳酸菌は安全。動物実
験でも歯周病予防効果を確認しつつあります。と載ってています。
以上のことから、この乳酸菌の効果に対してどう思われますか?教えてください。
お忙しい中、非常にながながしい文章で申し訳ございませんが、お返事お願い致します。
前回にも申しました通り、「個人的な価値観として、盲嚢測定値はほとんど重要視していません。
極論をいえば、レントゲンでみた歯槽骨の破壊程度こそが全てだと思っています。」盲嚢測定値に
一喜一憂する必要はないのではないでしょうか。私が最も重要視するのは、数年単位で歯槽骨の破壊
が認められるかどうかという一点です。
私の意見とか考え方は、おそらく世間一般の歯科医と全く異なります。私から見れば「間違いだら
けの歯科治療」そして「間違いだらけの基礎理論」です。反対に世間一般から見れば、私の理論は全
く理解できないというか、正気の沙汰とは思えないという位置付けを前提として考えて下さい。
そこまでして私が色々とホームページや書籍を通して情報を発信しているのは、世の中で誰もが
為しえなかった歯槽膿漏の効率的な抑制方法を見つけ出したからです。その方法は、歯石を徹底的に
取り続けるという単純な方法ですが、これには20年間の十分な実績の裏付けがあります。
私の理論の中には、歯周病菌なる特殊な細菌は存在しま
せん。存在するのは炎症を起こす可能性のある雑菌だけです。その雑菌が炎症を起こす引き金として
注目しているのが歯石を始めとした異物の存在です。「雑菌を排除することはできないけれども、異物
を見つけ出して排除してやれば炎症は成立しない」という考えに基づいて、歯石を取り続けて思わぬ効
果をあげています。
整腸剤の効果を否定する積りはありませんが、その方法で歯槽骨の破壊を20年以上抑制できたという
データはないのではないでしょうか。とにかく他人の研究成果を否定はしませんが、それでどれだけの
成果が上がるかにについては非常に懐疑的な目で見ています。
麻酔を使って歯石除去を行う基準と手術を行う基準についてお答えします。
基本的には、歯肉に炎症が存在する限り歯石が存在するという考えですので、通常の歯石除去を行って
も炎症が存在すれば麻酔を使って歯石除去を行いますし、それでも炎症が残っているようであれば手術
を行います。
年齢でいえば、30歳を越えていれば麻酔を使った歯石除去、50歳を越えていれば手術というのが一つ
の目安です。勿論年齢に関わらずレントゲンでみた歯槽骨破壊が、1/4以上・1/2以下であれば麻酔を使
った歯石除去、2/3以上であれば手術を検討します。あくまでも基準はレントゲンで見た歯槽骨破壊で
あって、盲嚢測定値は重視しておりませんが、あえて申し上げるならば、3mm以上は麻酔で歯石除去、
10mm以上だと手術ということになるでしょうか。
私の場合、この基準で十分な成果を挙げていますが、世間の認識とは異なるであろうことと、私の基
準で異なった理論に基づく治療を行った場合、思惑の結果が得られないであろうことを付け加えさせて
頂きます。