日付、時間:2002年10月16日 23:56
氏名: Y・Y
所在都道府県: 兵庫
職 業: 自由業
年 齢: 36歳
性別: female
質問:
右1番の差し歯がよくはずれ(およそ6ヶ月毎)そのたびに12万円かけて同じ医院で作り直す
ということを3年間続けていました。さすがに変だと思い、転院したところで、「土台の歯にひび
がはいっているので抜歯して即日インプラント植立の手術を来週しましょう。」と言われました。
悪臭に悩まされてきた歯なのでスッキリしたいのですが、ブリッジや入れ歯よりはインプラント
を希望しますが、ただ、やはり割れているわけではなくうすいヒビなので抜歯以外に方法がないも
のかとも思います。今日その部分をドリルで削っていました。ヒビがひどくなりはしないかと心配
になりました。
抜歯即インプラント植立は一般的ですか?
今は落ち着いていますが以前、歯茎がひどく腫れて、それ以来ずっと臭い歯なので歯肉の状態も気
になります。そのような状態でインプラントをしても10年もしないうちにやり直しになるのでは?
と心配です。お忙しいところ本当に申し訳ありません。よろしく御願いします。
感想:
良心的な医師が報われない健康保険制度の矛盾や医師会との癒着、ため息がでます。医療の現場
はどこもそうなのでしょうね。メタルボンドやインプラントに保険適用されればどれだけの人が救
われるか。患者一人一人が意識をして少しずつ変えていくしかないのでしょうね。
まずはアクション!
わたしも小泉首相にメールしてみます!
抜歯直後のインプラントは条件が揃えば可能だと思います。
インプラント体より大きな穴(抜歯窩)があるわけですから、その空間を除いてインプラントの
初期固定が可能な骨量があることが条件です。インプラント体は通常チタンを使いますが、それ
以上に生体親和性の良いとされる自分の歯や免疫処理した他人の歯であれば、抜歯窩のような
アバウトな空間に、何らかの初期固定を施してやればほぼ100%移植は成功します。但し、天然
歯牙は、構成成分の不安定さから5年を目安に寿命を迎えて今います。
その点、材質的に安定したチタンであれば、初期の成功率は劣るものの、一旦生着すれば(可
能性としては)永遠に機能するはずです。
ただし、私にはその経験がありません。保険適応だったらとっくにしていたと思いますが、何分
高額の保険外費用を頂く関係上できるだけリスクの少ない方法を選んでしまいます。抜歯後1年間
の空白期間を考えれば、例え失敗率が多少高くても有効な手法だと思います。ダメだったら1年待
って植え直せば終いと割り切れば簡単な障害です。
考え方に邪悪な精神が宿っているかもしれませんが、保険適応だったら…1年後に植立すべき骨
量が確保できないリスクも考慮して、まずは一旦チャレンジしてダメな場合でも1年後に骨量が確
保せてていれば再チャレンジも可能です。金銭的な負担が軽いので、抜歯直前の短い時間で即決す
る話ですが、多額の保険外診療下の現状ではお互いに難しい選択です。保険外の診療を極力敬遠す
る私の性格ではなおさら難しい環境です。
無責任な発言ですが、ご質問の歯はおそらく治癒の見込みはありません。金銭と多少のリスク(リ
スクはある意味では相殺)、それと治療に対する理解があれば十分見込みのある選択だと思います。
後々の予後については、ホームページの随所で申し上げている通り、メインテナンス次第です。
保険制度のひずみが、大切な健康を左右していることは事実です。貧困が健康を左右してはいけな
いという趣旨ではじまった“国民皆保険制度”が皮肉にも健康を左右している事実を、もっと政府は
謙虚に受け止めて改善すべきですねぇ。是非直接訴えてみて下さい。
ひょっとすると二匹目のドジョウがいるかも知れません。
回答:
通常のインプラントの場合、“おしくも失敗(痛みもなく上手くいったと思ったけどややぐらつき
のある)”という程度で一規格太目のインプラントを植え直した場合は今のところ100%成功していま
す。抜歯直後のインプラントは、今のところしたことがないので全く分かりません。
使う材質…というかメーカーや体質・植立環境によって条件が変わりますので細かい数字的なこと
は全く未知数という状況です。ただ、アバウトに約95%程度と理解するのが一番正解に近いように思
います。術前の過度な心配は何も良い結果をもたらしません。ダメだったら、その時点で次の対策を
考えるしかないでしょう。