日付、時間:2002年10月22日 9:44
氏名: S
所在都道府県: 東京
職 業: その他
年 齢: 35歳
性別: female
質問:
はじめまして。さっそくですがブリッジについてお伺いします。
1ヶ月半前に右上顎3の犬歯(八重歯でした)を抜歯しました。担当医は「犬歯は強い歯なので、
12(3)4とブリッジにする」というのですが、歯を削るリスクを少しでもおさえたいので、2(3)4で
ブリッジにしていただきたいと思うのですが、それでは強度として足りず、すぐに外れてしまう
可能性が高いでしょうか?
また、左上顎2も虫歯でこれから治療する予定なのですが、「治療痕が残るので、右上顎4〜左上
顎2までブリッジにすると更に強度も増します」ということも提案されました。
ただ、これは見た目にはいいのでしょうが、たくさん健康な歯を削ることになるので私は消極的で
す。左上顎2については、保険外のかぶせもの(前装冠というのでしょうか?)をお願いしたいと思
っています。
お忙しいところ恐縮ですが、先生のアドバイスをお願い致します。
保険規則上、犬歯欠損の場合C3A@|は強度的に条件を満たしているので、認められて
いますが、C3A|は設計上無理があるので認められていません。保険外であれば規制がな
いので無理であろうがなかろうが関係なく製作は可能ですが、予後を保証するものではありません。
右の1番を補綴物にした場合、真中の左右が異なれば随分目立ちますので、1|1を同じ
材質で統一するのは審美的には有効です。更に左も2番も補綴の必然性があるとなれば、右の4番
から左の2番まで…と拡大すれば発展する治療方法だと思います。
ちょっと立ち止まって考えてみましょう。「犬歯は強い歯なので」普通歯医者は絶対抜きません。
私も20年間で5本くらいは抜いたでしょうか。犬歯を抜いても全く隙間が開かないか、もしくは最大
3mm以内の隙間しか開かない場合に限って抜いています。その全てが、あとの補綴無しで治療を終えて
います。3mm以内であれば、3年もすればその隙間は自然閉鎖するからです。八重歯という限り、その
隙間はそれ程大きくはないのではないでしょうか。3mm以上あって、例え生涯閉鎖しない程度だとし
てもそのまま放置しておけば或る程度は閉鎖します。確実に閉鎖したければ、矯正的手法を用いれば
確実に閉鎖します。
程度問題と価値観にもよりますが、私なら自然閉鎖もしくは矯正的手法をお勧めいたします。補綴的
手法を前提とした抜歯であったとすれば、それ自体が大きな過ちであったと断言しますがいかがでしょ
うか。保険外処置を極端に嫌う私の価値観からすれば、左上2番は当然保険の前装冠を選択します。
それすらも敬遠して、できることならレジン充填で済ませておいた方がトータル的な機能保全では優位
な選択だと思います。保険外のメタルボンドの優位性は否定しませんが、歯医者のドル箱にあえて協力
する必要もないというのが私の価値観です。
何をどう言っても抜歯はしてしまい、すべては私の無知と、もう一歩踏み込んだ質問(緊張で何を聞
いたらいいかも思い浮かびませんでしたが)ができなかった私の責任であるのはわかっていますが、夜
も眠れぬ程後悔しています。
先生がくださった解答に自然閉鎖か、矯正的手法とありましたが、現在私は上顎が左から75432112567と
11本しかありません。左7と5の間は既に詰まっています。右2と5の間は抜歯して7mm程度空いています。
ちなみに下顎は左8以外はあります。このような状態でどうすることが最善でしょうか?再度先生の御助
言をお願い致します。長くなってしまい申し訳ありませんでした。
回答:
八重歯だったということですので1本分か1本半のスペースだと思います。上顎の3・4番部位です
ので、抜歯窩の骨回復を待ってインプラントの植立が可能と思われます。
虫歯治療は別にして、周囲の歯を一切削らず、当面の間取り外し式の部分入れ歯で約1年間我慢して、
インプラントを検討されてはいかがでしょうか。
回答:
キャッチフレーズは一般受けしそうですね。
普通は、歯肉を切って、めくって、ドリルで骨に穴を開けてインプラント体をねじ込んで、歯肉を
縫合するというものです。表現が悪いせいかいかにも痛そうですね。その点“いっさい切開縫合し
ないでインプラント手術”はとても聞こえがいいですね。
詳しい実態はしりませんが、おそらく歯肉の上から直接ドリルで穴を開けてねじ込むというもの
だと思います。余程歯槽骨の厚みがあれば問題はないでしょうが、骨の厚みや方向をを直接見ない
でドリルを使うのは危険すぎて私にはできません。
インプラント手術の痛みというのは、切った・貼ったの大きさではなく、術式の正確さとインプラ
ント体に対する生体の許容力です。生体の許容力(免疫抵抗力)はどうしようもないとして、正確さ
を阻害する術式は、いくら痛くなさそうな響きであっても私としてはお勧めできません。