余り術式の名前にこだわることもないように思います。
ポケット掻爬術

日付、時間:Thu Jul 15 1:12:57 Japan 1999    氏名: Shinya   
所在都道府県:東京   職 業:会社員   年 齢:27歳      性別: male  

質問:
はじめまして。本日初めてこちらのHPを拝見させていただきました。とても充実してて、 すばらしいですね。
さてご質問ですが、今日私の妻が歯科に通院したときに、歯肉炎のため、近いうちに手術 を受けるよう医師から指示されたとのことです。「ポケット掻爬術」というもののようです。 (歯肉剥離掻爬術とは違うのでしょうか?)どうやら麻酔をして、悪化してグニャグニャになった 歯肉を取り除くようですが、術後は2〜3日は包帯を巻いて、完治するまでに1〜2週間ほど かかるとのことです。詳しい内容までわかりませんが、妻はかなり不安になっているようです。
私が見た限りでは多少赤く腫れているくらいに思いますが、ほんとうに手術の必要性があるの かも、専門家ではないのでなんともわかりません。放っておいてよいはずはないでしょうが、 妻は切り取ったり縫ったりして歯茎の外見が変わってしまうのではと手術をためらっております。
情報不足で申し訳ないのですが、妻に勇気を与える良きアドバイスをお願いします!

ご意見・ご感想:
このHPを拝見して、私も定期的に通院して検診を行おうと決めました。 どんなに丁寧にブラッシングしてても、少しずつ侵されていくんですね。

回答  歯石の沈着により周囲組織に炎症が起こって、歯槽骨は破壊され吸収、歯肉は腫れあがって 益々磨き難くまた汚れの貯留し易い状況。これが歯周疾患初期→“歯肉炎”と呼ばれている 時期です。早い話が、歯槽膿漏の始まりです。
 原因である歯石の除去がスケーリングであり、犯された歯根面を綺麗にするのがスケーリング &ルートプレーニング。原因を除去すれば、炎症が治まって歯肉が健全さを取り戻して引き締まって きます。しかし、一旦破壊された歯槽骨は元の状態に回復しませんので結果としては歯肉が 退縮した状態になります。私は初期の段階であれば、ここまでの処置で十分→あとは、再び 汚れがこびりつかないよう毎月/軽いスケーリングを続けるのがベターだと思っています。

 ご質問の“ポケット掻爬術”は、歯石の除去以外に歯石に触れて炎症を起こしたポケット内部 の歯肉を掻爬して炎症をより速やかに抑えるのが目的です。似たような処置として、“歯肉切除 術”というのもあります。これは、腫れあがった歯肉を切り取って歯肉の退縮をより助長して 後々の汚れの沈着を防ぐのが目的です。 歯肉の退縮(外見)は、手厚い処置を行うほど大きくなります。いずれの場合も、病的な歯肉を 引き締めて健全な状態にして更なる進行を抑制するのが目的ですので、若干の外見の 変化はやむを得ないものとして患者さんの理解を得るようにするのが最善と考えられています。
 “術後は2〜3日は包帯を巻いて、完治するまでに1〜2週間ほどかかる”とのことですので、 単に内面を掻爬するだけでなく、内面を切除するENAP(エナップ/新付着術)と呼ばれる術式 のように思います。細かく分類してしまいましたが、術者の“好み”というか“癖”程度の違いで それ程大きな違いは有りません(認定医の私が言うのも何ですが…)。 いずれ何らかの処置が必要な状態ですので、余り術式の名前にこだわることもないように思うの ですがいかがでしょうか?

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