強アルカリの薬
日付、時間:2003年1月22日 17:19
氏名:
所在都道府県: 北海道
職 業: 医療関連
年 齢: 38歳
性別: female
質問:
初めて質問させていただきます。
金属アレルギーの為、歯のかぶせ物をセラミックに変えようと、昨年11月から通院し始めました。
その事でいくつか質問させてください。
- 左側の上下のインレーを交換する時に、仮歯を外してセラミックを被せる時、器具でセメン
トを掻き取っている作業中と、水をかけた時に、チクッと痛む部分がありましたが、医師は風を
吹きかけてしみなければ大丈夫と言って、そのままセラミックを被せました。上下の6番の歯で
すが、被せてから痛んだりしみたりはしませんが、本当に大丈夫でしょうか?
- 右側下の7番の歯の治療後、少し固い物を食べたら、セラミックインレーではなく歯が欠け
てしまいました。医師の指示で、歯科衛生士が欠けた所に消毒も何もせずいきなり詰め物をして
終わりましたが、大丈夫でしょうか?
- 右下6番が、仮歯の状態で噛んだらズキッ痛みましたが、自発痛はありませんでした。仮歯
をはずしてセメントを取る時にも衛生士さんに「凍みるかも知れませんねー」と言われながら風
や水をかけられました(実際凍みました)。かぶせた後、冷たいものがひどく凍みて、噛んだら
歯がジンジンし、そのうち始終歯がじんじんするようになったので、抜髄しました。セラミック
を被せてしまった処置に問題はないのでしょうか?
- 抜髄の次の日の処置のあとに、歯茎がびりびりし出して麻酔をした時の様に歯茎と頬の内
側が腫れているような感じになり(外見上は全く腫れは認められない)犬歯のあたりまで痛くな
ってきたので、3日後に薬を抜いてもらいました。医師は、強い薬は使ってないので気のせいだ
ろうと言いましたが、薬を抜いて3日後に痛みは収まりました。それで充填して、それまではイ
ンレーだったのに今度はクラウンになりますと言われ、歯を大きく削り仮歯をつけました。しか
し、仮歯の状態で噛んでいるうちに歯と歯の間が痛み始め、歯全体が痛くなってきたので、
怖くなって歯科医を変えました。
新しい歯科では、まず根管治療をやり直しました。仮歯をはずすとひどい痛みがありました。
その時、根に全部シーラが詰まっていると言われ、掻き出せない部分は押し出し、仮歯もゆるい
からと作りなおしました。仮歯を作りなおして、ひどい痛みはおさまりましたが、じんじんした
痛みは取れませんでした。医師は、押し出したシーラが、根先部で炎症を起こしているのだろう
から痛みはおさまるはずだと言いながら「歯と歯の間の歯肉が少し赤くなっているけど、このく
らいでそんな痛みは出ないはずだしなあ」と言いながら、歯肉を触ると強い痛みがあり、仮歯を
装着後歯間ブラシで擦ると飛びあがる程痛く、血が沢山出ました。その為、毎日歯間ブラシを使
うように指導され、じんじんした痛みはとれましたが、歯茎がしびれた感じは取れません。常に
腫れているような感じです(やはり外見上は問題なし)。
消毒薬に水酸化カルシウムを入れていますが、医師は刺激のない薬だから腫れた感じは薬のせ
いではなく、根の先にまだ炎症があるからではないかと言います。実際、薬を入れかえると次の
日から歯茎がびりびりして頬の内側が腫れたような感覚があります。それが3日くらい続きおさ
まってきますが、おさまりきらない内にまた薬の入れ替えで痛くなってしまいます。医師は
絶対に薬のせいではないといいますが、強アルカリの物を根に入れても、何故なんともないの
か不思議に思います(象牙質には穴が沢山あいているんですよね)。
根に何も入れないわけにはいかないので、薬を抜くわけにはいかないと言われました。
歯茎のびりびりの原因は何なのでしょうか?医師の言うように水酸化カルシウムで、絶対に過
敏症状は現れないのでしょうか?
一度薬を抜いて様子を見たいのですが、根に詰めるもので水酸化カルシウム以上に刺激のない物
質はないのですか?
それとも、思いきって充填してしまった方がいいですか?
ご指導よろしくお願いします。
感想:
きのう、残りの金属を外す為、右上の治療にはいりましたが、20年くらい前にクラウンに
した6番が神経ぎりぎりに削ってあり、削れない部分は残してあったようだが、神経が自然と
下がるので、虫歯が神経まで到達しなくて済んでいたと言われました。虫歯を残して被せても
20年ももつのかと思い(ほっとけばまだもったでしょう)感動して、また歯を大事にしなき
ゃならないと思いました。
- 通常(95%)大丈夫でしょう。ダメならその時点で抜髄もやむなし。
- とりあえずの処置ですが、結構何事もなく経過することが多いように思います。ただし、
セラミックのインレー自体が壊れる可能性が高いことは材質上の欠点として理解していただく
必要があります。美しく・アレルギーには強いが壊れやすい。
- (1)同様95%問題はないものと思われます。
- “ph12”で強力な殺菌力をもつと言われる水酸化カルシウムです。歯科医の常識では、強い
殺菌力が故に炎症を起こすことがない安全な薬という認識です。本当に“ph12”で直接皮膚に塗
ったらどうなるでしょうね。大火傷間違いなしでしょう。その薬を歯槽骨に直接触れる位置に
配置したら…。問題が起こらない方が不思議ですね。
私は歯科界の非常識派のようです。医療関係の良識派に加えていただけますか?
そんな怪しげな薬よりは、即刻根管充填された方が治癒の可能性は高いと思います。
歯は結構けなげに生命を維持するように頑張っています。その頑張りを無にするような扱いは
いつか破たんを招くことでしょう。くれぐれも歯を慈しんで上げてください。
返信:2003年1月28日 17:43
1月22日に水酸化カルシウムについて質問させていただいた者です。本当にありがとうご
ざいました。
次の日、歯茎の異様な痛みに我慢できなくなり、いよいよ物が噛めなくなってきたので、歯科医
師に頼み込んで、やっと薬を抜いてもらいました。医師も「これで治ればそれでいい事だから・
・」と最後には折れてくれましたが、途中負けそうでした。
抜いたら歯がとてもホッとして、とても楽になりました。やはり歯茎の異様な痛みの原因は、
水酸化カルシウムである可能性が高いと思います。もう、貼薬はこりごりです。
そして薬を抜いてわかったのですが、薬を入れて3日くらいでだんだん痛みがおさまって来るよ
うな感じがしていたのは大きな間違いで、麻痺して痛みを感じなくなっていただけのようです。
薬を抜くと、足がしびれたあと伸ばした時のように歯茎がじんじんして来て、気が付けば4番か
ら今はない親知らずのあった所まで、歯茎がじんじんしてしびれていました。抜いて5日目です
が、今もしびれと鈍痛は残っていて、物は噛めない状態です。
もし、歯茎の中が火傷状態だったら??と思うと不安なので、勝手に抗生物質を飲んでいますが、
必要でしょうか?
今後歯茎に関しては何か積極的な治療が必要ですか?
それとも自然治癒力に頼るしかないでしょうか?
先生の意見を聞かせていただけたら幸いです。
しかし、悪いのは6番だけだったのに、なんで4番から8番の歯茎がこんなに痛めつけられて
しまったのか、運が悪いとつくづく思います。このホームページを見ていなかったら、薬を抜く
という発想はとうてい浮かんできませんでした。痛い痛いと言いながら、ずっと薬を入れ続けて
いたら・・と思うと、少し怖くなります。一般的な療法の様ですが、なんともない人が多いのも
不思議です。
また質問してしまい恐縮です。本当にすいません。よろしくお願いします。
回答:
貼薬ねぇ。ph12の水酸化カルシウムより日常茶飯事なのがホルマリン(ホルムクレゾール)
です。生きた骨にホルマリンを作用させて何の疑問も持たないということが恐ろしく感じます。
いくら殺菌力が強いからと言っても生体を相手に処置していることを忘れているのでしょう。
50%くらいの人が薬による痛みを訴えているようですが「神経をとったあとはそんなもんです」
とほぼ全員の歯医者がそう思っているみたいです。なにしろ大学でこれを使えって教えられた
もんですから最善の方法だと信じきっています。
さて、抗生物質ですがご承知の通り長期服用は胃腸を荒らします。その許容範囲での内服は
有効だと思います。しかし何より必要なことは、炎症を起こすべき原因である根管内の腐敗有機
質の除去です。根管内の機械的清掃といわれるこの処置を完璧に行って綿密な封鎖(根管充填)
を行うことこそが最も必要な処置です。それができてないから水酸化カルシウムの殺菌力に頼る
歯科医に可能かどうかが最も不安材料です。しかし、もし偶然にしろそれができれば、歯肉に残
る炎症は残存薬剤の自然吸収によって解消されるでしょう。
返信:2003年1月29日 17:32
1月28日(昨日)水酸化カルシウムの件で、再度質問した者です。丁寧なご返事、本当にあ
りがとうございました。抗生物質は副作用に注意しながら、1週間くらい飲んでみます。そして
歯科医とは、きちんと話し合って、今後どうするか決めたいと思います。
全国の歯学部で、水酸化カルシウムを使えと教えているのであれば、仕方のない事なのかもし
れませんね。私の体験からすると、使わないで欲しいのですが・・。これから、先生の様に強い
薬品を使わずに根管治療をしてくれる歯科が増えてくれる事を切に望みます。そして、今後2度
とこんな辛い目にあわないために、歯のメンテナンスをきちんと行おうと思います。
先生が善意で質問に答えて下さるお陰で、何人もの人が助けられていると思うと、本当に感謝
の気持ちで一杯です。インターネットの時代になってから抜髄した事は、不幸中の幸いでした。
返信:2003年3月5日 22:40
1月22日に強アルカリの薬について2度質問した者です。その節は本当にありがとうござ
いました。あれから根の治療と、歯周病の予防に熱心な歯科に転院しました。
本日はまた2つほど質問させてください。
- 転院先で水酸化カルシウムで貼薬すると歯ぐきが痛くなる旨を伝えたところ、根充する時
のシーラ-にも水酸化カルシウムが入っているので、ゴムだけで隙間ができないようにきちっと
詰めますと言われました。そう言う事はできるのですか?
また、シーラ-も生体に刺激のある物なのでしょうか?
- 歯磨き指導があり、Mサイズの歯間ブラシを使うように言われました。入れる時にかなり
きつめで、特に前歯は無理やり押し込んで抜くのも一苦労の所もあるのですが、きついサイズ
の物を使った方がいいのですか?
更に抜く時は歯ぐきに押し付けるようにして下さいと言われましたが、歯ぐきが必要以上に下
がる事はないのでしょうか?
前の歯科では、一番細いSSSのサイズを使うように言われ、入らない所は無理に入れずにフ
ロスで磨いて下さいと言われていたので、どちらを信じていいのか判りません。
歯周ポケットは7番は裏側が全て4ミリくらいあり後は、1〜1.5ミリが7本、2〜2.5ミリが
8本、3〜3.5ミリが9本でした。
基本的な質問ですみません。よろしくお願いいたします。
回答:
“ゴムだけで隙間ができないようにきちっと詰めます”という方法がないわけでもないけど
ちょっとその精度に疑問を感じますネェ。熱で柔らかくしたゴムをシーラー代わりに使うのが
一番精度が高そうですが、それでも疑問に感じます。この方法の達人というのもいらっしゃい
ますので全てが悪いとは言いません。
他にゴムを溶かす方法として、かつてはクロロホルムを使っていましたが、これは問題外。
クロロホルムに代わる薬品というのもありますが、これも大きな疑問符。とにかく何らかの
シーラーを使わないと綿密な封鎖は不可能です。
ところで、水酸化カルシウムを使ったシーラーというのは、シーラーペックスとでデンタリス
という商品くらいで、通常使用されているのはユージノール系の薬剤ですのでそれ程問題には
ならないと思いますよ。ユージノールだって絶対問題ないとは言い切れないけど、直接生体
組織に水酸化カルシウムを作用させるのとは次元が違いすぎる比較です。
私の医院でも衛生士は歯間ブラシを勧めていますが、私自身は熱心ではありません。使わない
より使った方が良いけど、厳密にどのようなものが最善かという認識はありません。と言うのが
、毎月の歯石除去さえしておけば十分健康が保てる反面、毎月の歯石除去無くして如何なるグッ
ズを使用しても結果を左右しないという認識です。
人によって言うことが違うということは、どちらにも正しい部分があるけれども決定的な相違
がないということでしょう。