日付、時間:2003年2月4日 22:18
氏名: YK
所在都道府県: 東京
職 業: 自由業
年 齢: 45歳
性別: female
質問:
はじめまして、最近歯のことで色々悩みここに毎日来ています。
私は昨年の秋に突然ブリッチの支台歯5番生活歯(567)に激痛が来ましたが、受診先の先生
は異常なしとのことで投薬だけでしたが1週間で痛みが止まり、その後歯が浮く感じがしばらく
しただけで後はとくになにもありませんでした。今年の始めに再び痛み出し(激痛ではありませ
んが噛むと痛い)再度受診しましたが、レントゲンでも、歯髄診断でも異常なしでしたので、な
にもせずに経過観察になりました。
その後も痛みは出たり止まったりしてはっきりしませんでした。
夜になると痛かったり、身体を暖めると痛み出したりしていました。
最近は一日中痛みが続いたりしましたが、やっぱり翌日には消えました。
しかし、昨日別の場所に被せ物を作るために、型を取ったとき、この場所に痛みがきました。
型をはずした後もしばらく痛み、その日は一日痛いし、噛むと痛みました。先生は異常のない
歯の神経は絶対に抜かないと言われます。このまま治る物でしょうか。もう、一ヶ月もこんな
状態です。激痛化はしませんが、時々歯が強く浮いたりしています。ここに歯周病のようなも
のは特にないそうです。歯肉には問題はありません。出血や腫れはありません。
“歯周病のようなものは特にないそうです”ということですが、年齢的にも一応歯槽膿漏を
疑って歯石だけは徹底的に取ってみる価値はあります。その上で、レントゲンや歯髄検査で異常
が認められないとしても、状況から歯髄炎もしくは歯髄の壊死を疑って根管治療を決断すべき
時期だと思います。
神経をできるだけ取らないという方針は尊重すべきことですが、最初の痛み以来数か月経過
をみて思わしくない結果であることと、状況を踏まえて何らかの原因を特定することも重要です。
感想:
治療で困ると過去の相談をよく読みます。
回答:
“歯髄診断後数日痛みと、熱い物に凍みて辛かった”を正常な歯髄反応と判定するか、断末魔
の叫び(ほとんど歯髄の死)と判定するかの違いです。過去に数回激痛化していますので、すで
に死に絶えているかまだかろうじて生きていて再び断末魔の叫びがあるかどうかは分かりません。
いずれにしても歯髄の死は避けられそうもないので、死に絶えたのち、半年後に今度は根尖病巣
として再び痛みを発するようになるものと思われます。
ペインクリニックはおそらく的外れな徒労に終わると思います。
実は先月痛みの原因が解らないようなので、大學病院を受診いたしました。この時、それま
での経過から根管治療を勧められたのですが、通院中の先生が、歯髄が生活している事と、レ
ントゲンに異常が無い事を理由に大學病院の先生の診断を拒否されました。私は現在インプラ
ントをやっていますので、どんなに痛みがあっても転院は躊躇してしまいましたが、痛みの原
因を知りたくてバタバタしてしまいました。
壊死の事は大學病院の先生にも言われたのですが、どうしても診ていただいている先生はそ
んな事は絶対にないといわれ、どうにもなりません。
ただ、この先生はインプラントを優先にやりたい意向がかなり強いので、別の場所の型を取
ったのは、インプラントの上部構造です。このとき、上顎全体の型をとっるために、入れ歯の
ようなものを押し当てた時、強い痛みが出てきて型を取っている間中痛みました。その後も2日
目の今日の昼頃まで痛みはあったのですが、今はなんとなく、歯が膨らんでいるような感じです
が、もう痛みは落ち着いて、噛んでも昨日のような痛みはなくなってきています。昨日は何回も
痛みが出てきて薬を今朝まで飲んだのですが、よく解りませんが、楽になりました。
メール本当にありがとうございました。半年後にならないとわかならいのですね。レントゲン
では。残念です。
麻酔科で出された血行を良くする薬を飲むと、問題の歯が痛み出し、怖くて薬なんか飲めま
せん。血行が良くなったり、夜間に痛みが出てきます。強く噛むと痛い。この事を申し上げて
も、取り合って頂けません。どうしても神経痛やその他関連痛にしないといけないのでしょう
か?
麻酔科の先生は原因不明痛の専門家のようです。出された薬で歯の痛みが強くなるなんて、お
かしいと思うのですが、どうして保存科の診断を拒否されるのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
回答:
困ったもんですねぇ、日本の歯医者は。あなたの3年後をみるよな
質問が他にもあります。
決して抜髄を軽く考えているわけではありませんが、無用な抜髄(根管治療)となった場合
でも、神経治療に費やす無駄な労力に比べればはるかに軽微な損失で済む という認識です。と
いうことで、“保存科では根管治療を勧める”を強力に推薦します。
血行をよくする薬で痛みが出る。それも、怪しい事に問題の歯だけではなく、根っこに黒
い影が出てきた歯(再発した)にもこの薬を飲んで、体の熱さがピークになった時痛みが出
てきたので、おかしいと思いました。
大學を批判なんかしませんが、私には保存科の先生が一番ちゃんとした事を言っているよ
うに思えるので、河田先生のご意見もお伺いしたかったのです。
歯科医の先生なのになぜ直ぐに歯以外に問題を差しかえるのでしょうか?
もっとよく歯科的問題点から、治療を進めていただくことを強く希望してしまいます。
長くなりましたが、河田先生が保存科の先生を支持される事で勇気ずけられました。
アドバイスありがとうございました。
回答:
“歯科医の先生なのになぜ直ぐに歯以外に問題を差しかえるのでしょうか?”というのは、
私も感じます。時には嫌悪感さえもよおしてきます。その問題は特に顎関節症の分野で顕著で
す。
「医者にも解決できなかった不定愁訴が、歯科医の治療によって治った」とかというテレビ
報道などがその例です。歯科の優位性を顕示している積りみたいですが、全身的な知識の不足を
暴露しているようにも思えます。また同様に、歯科医が歯科の領域に留まらず、全身的な見地か
ら歯科領域の疾患を解決しようという動きもあります。
未解決な部分を、異なった観点から見直すという意味では評価できる部分もありますが、専門
分野である歯科知識の不足を露呈した結果にすぎないと思います。科学とは、すべてを合理的に
説明できてこそ真理だと思いますが、説明できない部分を何か他のせいにして済まそうという
ふうにも写ります。
麻酔の先生からみれば、歯に問題が無い事を証明すれば大手柄になりますので、格好の症例
に写っているんでしょうね。保存科でも歯に問題があると診断されたものを見事にくつがえし
たら学会発表モノですもんね。まさに功名争いってとこですが、患者さんにとっては迷惑な場
合もありますよね。先にリスクの少ない保存治療をして、それでもダメならというのが一般的
な道筋ですが、それでは歯を救ったことにならないので発表するときの値打ちが半減します。
まぁ、私の勝手な推測ですので、当たっているかどうか分かりませんが、困った方向に進ま
ないことを願います。