私の臨床では、5年以内のトラブルは20% ?
狭窄根の予後

日付、時間:Mon Jul 19 1:59:23 Japan 1999    氏名: 歯医者さん恐怖症   
所在都道府県:東京   職 業:その他   年 齢:歳      性別: female  

質問:
ご質問させて頂きたいのですが。(よろしくお願い申し上げます。)
ブリッジの為、現在奥歯の治療中なのですが、(神経を取り根の治療が終わりました。) 根管の3本中 1本が詰まっているらしくお薬が途中までしか入りませんでした。 気のせいか 少し痛みと違和感をかんじてます。但し、根管治療はこれ以上は困難らしく 担当の先生は「様子を見てから もし痛みが取れなければ移植を」と言われてます。 多分 以前の先生のHPで書いておれらた 数%の神経が取れない症例なのでしょう? (詰まっている先に神経が存在しているかもしれませんよね)
現在 痛みが軽減しているので、ブリッジをお願いしようかなと思っているのですが。 根が詰まった状態で問題が起きない場合もあるとは聞いてますが。可能性としては問題が 生じる可能性が高いのでしょうか?
それと、移植のリスクとして歯根膜を傷つけてしまうと、その歯の寿命を縮めるともお聞きした のですが。やはり 移植は難しい手術の一つでリスクが高いものなのでしょうか?
よろしければ、お教え願いますでしょうか。

回答  根管については、私も相当しつこく探しまわる方だと思いますが、探し切れない時や弯曲により 根尖に到達不能なケースに遭遇します。「これだけやったのだから」という思いが大半を占める 反面、何か後ろ髪を引かれる思いで気分はブルーです。この手の予後に関する学会報告は、 おそらく皆無だと思います。私自身も正確なデータを持ち合わせておりません。ただ、他の誰よりも 長期に渡る症例を観察して考察を重ねていることに関しては十分な自負があります。
 トラブルの生じる根管は、元来細いうえに弯曲・狭窄といった二重/三重の条件の重なった 根管です。そのような根管が将来トラブル可能性と一言でいっても、何年先かが大きな問題です。 2〜3年以内ですとトラブルといえるでしょうが、10年以上先だとそれをトラブルと捕らえるのか 否か。10年以上先だと、根尖病巣の問題以外に、二次カリエスや歯根破折による危険率も 相当アップしてきます。また、根尖病巣ができても何ら障害を起こすことなく更に10年以上経過 するケースもあります。一応、ここでは5年以内に痛み等の障害の生じるケースを“問題が 生じる可能性”として話を先に進めます。
 問題が生じるか否かは、残った有機質(神経)の量と生体の抵抗力、それと封鎖の状態に 大きく影響されるように思います。私の臨床では、5年以内のトラブルは20%(完全に処置でき なかったケース中)程度です。“10年以上経過して根尖病巣も無い本来の障害なし”は40%程度 でしょうか。残りの40%が灰色です。

 移植歯の寿命はおおむね5年が目安です。永いものですと10年・20年使える症例もあります。 その違いは、ものすごく専門的すぎて/症例が少なく一定の見解がない/実態が把握できていない と思います。私は、歯根膜の傷云々よりも、歯牙の石灰化程度に大きく依存していると思って います。

 最善を尽くしたのであれば、そのまま被せることはやむを得ない選択だと思います。将来 その根管だけがトラブルを生じた場合には、その根だけを抜く( ヘミセクション)が問題解決の最右翼です。

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