全体的な歯槽膿漏治療に専念するべきです。
歯がちょっとぐらつきます

日付、時間:2003年3月25日 12:47 氏名:  KN  
所在都道府県:  千葉  職 業:  会社員  年 齢: 32歳      性別:  female 

歯がちょっとぐらつきます 質問:
 今年の2月に、5番の歯の神経を抜いた治療について相談させて いただきました者です。その節はありがとうございました。その歯は、今、仮歯の状態です。 後記のような新たな問題が発生し、メタルボントか金属をかぶせるか悩んでいます。矯正を する時期によっては、メタルボンドを入れるともったいないというのです。

 私は歯並びが悪く、小学生の頃、矯正治療をしようと上の歯を2本抜きました(恐らく 4番の歯の部分だと思います)。抜いたところ、隙間が埋まり、見た目には歯が整列したた め、結局、矯正をやめて今に至ります。ただ、下の歯は、前歯が前後にデコボコしてまして、 中切歯の1本が前に出ている感じです。その歯に上の歯がかぶさるというか、押すという形 になっており、そのせいで、歯がちょっとぐらつきます。
 神経を抜く治療を受けているなかで、その歯のぐらつきを指摘され、このままでは歯が 抜けてしまうので、全体的な歯の健康のためにも2とおりの治療方法があると指摘されまし た。担当の先生の意見では、歯を支える骨が弱く(細く)なっているとのこと、ただここ1 年で前歯が抜けるほどではないという意見でした。

  1. この下前歯を抜いてしまい、上下両方すべての歯の矯正治療によって、歯の整列を直すこと。 約2年の矯正治療、定期診断を含んで治療費は約100万円ということ。 自分では歯が抜けないようにしたいのに、抜く治療は本末転倒かなと思いつつ、ただ将来的な他 の歯への影響を考えると、本当はこれが望ましいのではないかと思います。自分の考えとしては、 抜けたときに矯正をしようかと、ただ歯槽膿漏になると矯正ができなくなるという意見もいただ き、2,3年のうちには歯が抜けずとも矯正をしようかとも思っています。
  2. 前歯上下の歯をあたらないように双方削り、あたりを少なくしてこれ以上ぐらつかないよう に持たせるというものです。自分としては、これでお願いしようかと思って、少しだけ削っても らったのですが、ただ、逆にあたりがでできたような気がするのです。 担当の先生の意見は、削ると歯は元の状態になろうとして、かえって伸びてあたるようになると いうのですが、これは本当なのでしょうか?
現在、自分の考えとしては、矯正は2、3年後にしようかと思っています。ただ、抜けてしまった らその段階で矯正はするつもりです。その間は、応急処置ではありますが、あたらないように前 歯を削ってもらおうかと思っています。でもって疑問点なのですが、
歯を削ると、伸びようとして、よりあたるということがあるのでしょうか?
そのあたりをなくすよう徐々に削っていけば、ある一定の段階で伸びなくなり、あたらなくな るというのですが本当にそうなのでしょうか?
ある一定の段階まで伸びてしまうと、逆に歯が抜けやすくなったりしないのでしょうか? 
 せっかく削ってるのに、すぐに抜けてしまっては、この削る治療をする意味がないような気が します。今、神経を抜いた歯のかぶせものを検討するにあたって、歯が抜けやすくなるなら、矯 正を考えて、メタルボンドはやめて、金属にしようかと思っています(矯正後にメタルボンドが あわなくなることもあり、やり直しで費用発生の可能性があるとのこと)。どうなのでしょうか?
程度にもよると思うのですが、削ることで歯が抜けやすくなることがあるのでしょうか?
すみませんが教えていただければと思います。

回答
 失礼ですが「この年になって何の為の矯正ですか」と疑問に思い回答に手間取っています。 余りにも仮定条件が多すぎてメタルボンドの可否が導き出せません。

 歯槽膿漏で前歯に動揺があるのであれば、全体的な歯槽膿漏治療に専念するべきです。また 、歯槽膿漏が深刻な状態であるならば矯正なんかすべきではないと思います。歯槽膿漏治療 遂行のために飛び出した前歯がマイナス要素になるようだと、前歯は早めに抜く必要があると 思います。一番大切なのは、どうすれば一番永く歯の健康を保てるかということだと思います ので、保険外のメタルボンドは全く無意味です。
 前歯削合の可否もしっかりしたメインテナンスなしでは、いくらでも挺出してきます。メイ ンテナンスがしっかりして歯槽膿漏の進行が抑制されれば削合は有効に作用するはずです。

 とにかく、先のわからない治療にお金をかけるよりも、今ある歯を末永く使える様なケアに お金をかけるべきだと思います。


返信:2003年3月27日 9:44
お忙しいところご返答ありがとうございます。先生も回答に困られるのはわかります本当にす みません。自分もよくわからないので...。何点か先生のご意見のなかでわからない部分があり まして再度、質問させてください。(当初の質問は2/25です)

 まず、前歯については歯槽膿漏という名称では診断されていないのですが、自分の認識違い なのでしょうか?
担当医からの指摘のなかでは、上の歯がかぶさってそのせいでぐらついているという表現のし かたが強かったので自分でもそう認識していました。とくに歯槽膿漏の治療方法としては説明 はなされていないのですが...。
 矯正の必要性自体ですが、あくまでも前歯が抜けてしまったときに前歯が空いてしまうのと、 歯並びが悪いと虫歯になりやすいからその予防のためと認識していました。本音では、絶対し なければいけないものというのでなければ費用もかかりますし、矯正をしたくはないので、そ んな考えからも前歯が抜けないように「削り」でぐらつきを押さえたいと思いました。
 ただこのように意思を確定したなかで、不安に思うのが、削ることによって伸びてしまって、 それによって抜けやすくなるのでは意味がないのかなと思いました。担当医は徐々に調整して いくと言っていましたが、どの程度まで伸びるかは人次第だとは思うのですが、どの程度の可 能性で止まるのか一般的な例をお聞きしたと思いました。また先生がおしゃっていた「前歯削 合の可否もしっかりしたメインテナンス」のしっかりしたメインテナンスとは具体的にはどの ようなことをいうのですか?

また、「一番大切なのは、どうすれば一番永く歯の健康> を保てるかということだと思います ので、保険外のメタルボンドは全く無意味です。」というのはどうしてなのでしょうか? すみません教えて下さい。
神経を抜いたのは2/12です。担当医からは4月の初旬ぐらいにはかぶせものを決めてください と言われ、どうしようかまよっています。すみません。

回答:
 歯槽膿漏という疾患に対する認識の違いが問題のようです。世間的な認識としては、歯を支 える周囲の骨が破壊され尽くして、グラグラでどうしようもない…つまり末期…の状態を歯槽 膿漏だと思われているようです。この末期は或る日突然とか、或る時点から急激に破壊される ものではなく、歯の萌出が止まった時期(歯によって異なりますが10歳代)から骨の破壊が始 まっています。平均的な進行状態からすれば、20代は初期、40代は中期、そして50代になると 末期です。30代ですと初期から中期の間、その中で“歯を支える骨が弱く(細く)なっている とのこと”ですので他よりももう少し進行した状態の中期の歯槽膿漏だと判断します。
 全体的にも平均より歯槽膿漏の進行が早いことも懸念されますが、それは実際に診てみない と何ともいえませんが、いずれにしても順調に歯槽膿漏が進行していると思いますので、個々 の歯にばかり気をとられていないで、全体のケアを優先して くださいということです。

 単純に言えば、今沈着している歯石を完全に除去して、あとあと毎月歯石を取り続けること こそが唯一有効なメインテナンスです。そのメインテナンスなしには次々と歯を失ってしまい ますので、矯正もメタルボンドもムダになってしまうということです。  メタルボンドはあくまでも審美的なものであって、歯の寿命は保険の銀歯でも全く変わりま せん。また矯正は治療期間の数年間、口腔内環境を劣悪にしてしまいますので必ずしも歯の寿 命を延ばす観点からはお勧めできるものではありません。おそらく飛び出した歯というのは、 周囲の歯に押されて、“おしくらまんじゅう”状態ではみ出してきているものと思われます。 今後も徐々に押し出されていくことが予想されます。最終的にその歯が抜ける・もしくは抜歯 する時点では1mm程度の隙間が開くだけだと思いますので矯正の必要はないと思います。矯正 しなくってっも、おそらく2〜3年もすれば自然閉鎖するはずです。

 削ればまた延びてくる、削らなければ過剰な咬合で骨破壊が進むトータルでどちらが有利か の判断はできません。似たようなもの、もしくは削った方がやや有利かなとは思います。それ よりもその歯および全体の歯の寿命をもっと大きく左右するのはメインテナンスの有無という 意見です。


返信:2003年3月31日 9:46
今日決めてきました。
今日から末永くこの歯たちとつきあっていけるようがんばります。先生ありがとうございました。 ほんとうにお忙しいところありがとうございました。