日付、時間:2003年4月9日 5:48
氏名: M・H
所在都道府県: 京都
職 業: 会社員
年 齢: 25歳
性別: male
質問:
はじめまして、M・Hと申します。この度はお世話になります。
私の下左右第1,2臼歯の噛み合わせ面の溝には黒い筋(又は点)が有ります。
これはやはり虫歯なのでしょうか?
発見して既に5年余り経つのですが、全く変化がなく、痛みも違和感も有りません。
netにて検索した所、色素の沈着も考えられるようですが、当方、喫煙は過去も含め
全くしておらず、ダイエットコークは時々摂りますが、コーヒー、お茶はあまり飲みま
せん。
永久歯に生え変わって以来、幸いな事に虫歯など歯のトラブルは起きませんでしたので、
少し心配です。どうぞ宜しくお願い致します。
感想:
私は医療関係にほど遠い人間ですので、貴氏のサイトは非常に勉強になり有り難いです。
ここまで緻密且つ整然と造り上げられた事には、全くもって感服としか言い様が御座いま
せん(尊大な表現、深謝)。改めて御礼申し上げます。
これからの人生をより良くしていくためにも、隅々まで拝見し、吸収させて
頂こうと思っております。
歯の表面であるエナメル質部分は虫歯に対してかなりの抵抗力があります。そのエナメル質
の下に存在する象牙質部分は構造上石灰化程度が未熟なために全く無防備と言っても過言では
ありません。従って、エナメル質の防御線を突破した途端、象牙質部分で急激に虫歯は拡大し
でいきます。表面からみて“点(溝には黒い筋)”程の虫歯であっても中は歯髄に到達しそう
な洞穴ということも珍しいことではありません。
もっとも、象牙質は、萌出後も加齢的に石灰化を更新していきますので、虫歯の進行も緩慢
になっていきます。子供の時ほど大慌てする必要はありませんが、診査だけはしっかりして内部
の進行状況を把握して適切な処置を施しておく必要があります。
レントゲンを撮って、明らかな虫歯が確認できなかった場合の対処について私の経験に基づく
考え方をお話いたします。喫煙に伴う色素沈着は無論のことですが、お茶やその他の嗜好品以外
でも着色は存在いたします。特に50代を過ぎた方で着色程度の異常が認められる場合にはそのま
ま経過観察にとどめていますが、それ以下の年齢では積極的に初期の虫歯治療を施しています。
年齢が若ければ若い程進行速度が速いことは先ほど説明していますが、経過観察していても
結局5年ほどのうちに明らかな虫歯になってしまうケースが多く、これならあの時治療してお
けば良かったと後悔するケースが多いからです。理想的には、全く無傷で生涯を過ごしたい
想いは同じですが、初期治療は無傷同様の価値があると同時に安定感は抜群です。
全く疑いのないものまで初期治療を行なう必要はありませんが、疑いの濃いものに対しては
不安におびえて気にするよりも即刻初期治療を行なった方が最終的に歯牙保存に有利だと思いま
す。治療の必然性については、担当医の判断に委ねるべきですが、専門的な診断を受けるべきだ
と思います。