日付、時間:2003年4月22日 13:08
氏名: M
所在都道府県: 東京
職 業: 主婦
年 齢: 32歳
性別: female
質問:
先日、下の4番の歯に真っ白な点を見つけたので、歯医者さんに行きました。
レントゲンを取り、先の細い器具を隙間に入れたところ、1ミリ位の深さでした。削ってみ
ないとわからない、とのことで、削ったところ、中で大きく虫歯になっていました(茶色に
なっていました)。
「神経を取りましょう」と言われたのですが、今まで痛むこともなく、削る間もほとんど
痛くなかったので、なぜ、神経を取る必要があるのかわかりません。神経を取るのは、痛く
てガマンできない場合等に限られると思っていたので、ちょっと驚いています。
歯医者さんが歯の神経を取る治療を選ぶ場合、何か基準はあるのでしょうか?
痛みがなくても、神経を取る治療を選ぶ場合があるのでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、教えて下さい。
感想:
このようなホームページがあることを今回初めて知りました。わかりやすい説明が
たくさんあり、先生の率直な意見も書かれており、今後も是非参考にさせて頂きたい
と思います。
“神経を取るのは、痛くてガマンできない場合”という認識が一般的ですが、これは大きな
間違いです。或る意味では、この認識の間違いが日本人の歯を悪くしていると言っても過言で
はありません。“痛くてガマンできない場合”は無論のこと、“虫歯がちょっと痛む”場合も
ほぼ確実に抜髄です。
その前段階とも言える、“患者さんが気付いた異常”というのもかなりの確率で抜髄になっ
てしまいます。これは虫歯の発生、もしくは進行パターンを知っていれば当然のことですが、
この辺の知識が広まっていないので誤解されるケースが多いようです。
歯の表面は固くて虫歯になりにくいエナメル質でできています。しかし、そのエナメル質に
小さな虫歯ができて象牙質に到達した瞬間、その象牙質部分だけ急激に大きな虫歯に成長して
しまいます。表面のエナメル質は一見健全、そころが中が空洞。これは、エナメル質が99%無
機質で構成されているのに対して、象牙質の無機質が65%しかないからです。反対に言うと
35%も有機質を含んだ象牙質は簡単に腐敗してしまうということです。
「抜髄すれば、まだしばらくは使えるけれども何れ遠からず抜歯になる」という認
識も必要です。例外的に10年以上、もしくはまかり間違って一生使える歯もありますが、その
大半は10年以内に喪失するというのが歯科医仲間では常識です。
早い話が、素人が気付くような異常は手遅れだっていう認識を持つべきです。ましてや自分
が気になる所だけを治療するという受診態度は、自ら歯牙喪失を黙認していると解釈すべきだ
とも思います。生涯自分の歯を残すことを希望するのであれば、毎月歯科医院に行ってプロフ
ェッショナルなケアを実践すべきだという理解と認識を持ってください。
回答:
患者さんにも色々タイプがあって、毎日鏡で点検されている人もいますので全てとは申しま
せん。しかし、通常のパターンとしては、主訴の歯は即刻抜髄、それ以外に怪しい歯が1〜2本、
その怪しい歯ですら確率1/2が抜髄。それに全く気がつかないような小さな虫歯が数本存在する
というケースが平均的です。
虫歯に侵された部分を削ってみて、その段階で神経が露出してしまったら即刻抜髄。かろうじ
て直接露出しなかったものについては、通常ダメもとで詰めてみます。確率2/3程度で助かります
が“ダメもと”が患者さんにはなかなか理解してもらえず多くも歯医者が苦慮している現実が、
このホームページに寄せられる質問からも読み取れます。“ダメもと”が歯科医の責任ではない
ことが理解できるならば試してみる価値は十分あります。
回答:
麻酔が効くかどうかは歯科医の腕と思われている方が多いようですが、その部分の炎症が強い
かどうかによってほとんど決まります。歯を削った時点ですでに炎症があるものは麻酔が効きに
くいし、反対に炎症が無ければ効き易いということになります。
削った時点では炎症がなかったようですが、炎症はその後起こったということになりますが、
それくらい神経に近かったということを意味します。この件に関しては、患者さんの誤解とか
知識不足が目立ちます。このことによって無用な不信感を持つことは、、初期治療
を敬遠することにつながりますので、長い目でみると自らの歯を失うことになりますよ。