日付、時間:2003年4月22日 14:59
氏名: さくら
所在都道府県: 埼玉
職 業: 会社員
年 齢: 28歳
性別: female
質問:
はじめまして。先生のホームページで色々と勉強させていただきました。直接診察していた
だきたいのが本望ですが遠方のため、メールでアドバイスいただければ幸いです。
3月下旬から、頭痛、発熱に悩まされ、1週間後に第一大臼歯の痛み、左頬に痛みを感じるよ
うになりました。その2日後に左鼻から臭いのある真黄色の鼻水が出るようになり驚いてまず
耳鼻科に行きました。診断は「歯性上顎洞炎」でした。左上の歯の虫歯が原因と考えられる
ので歯科にいくようにとのことですぐかかりつけの歯科へ行きました。
この虫歯は2年前に一度治療し、その後オーストラリアへ1年間行っている間にかぶせたもの
が取れてしまい、帰国まで約4ヶ月痛みもなかったのでそのままにしてしまっていました。で
すが、その時点でかなり進行した虫歯だったため歯はつらら状(四隅しか残っていない状態
)で、そのまま放置したため、帰国後歯科に行ったときにはすでに表面上(歯茎)には歯はほ
とんど見えない状態でした。その後、根管治療のあとかぶせ物をしていたのですがそこが悪化
した結果でした。
今回かかりつけの医師には「もう抜歯しかないね」と言われ、先生のホームページで
「抜歯前にもう一度根管治療を試みるべき」と書いてあったのを読み、別の口腔外科の先生に
セカンドオピニオンを聞こうと思い診察を受けました。レントゲンを見て、「かなり残せる確
率は低いがやってみましょう」ということでかぶせ物をとったところ、内部は予想以上に悪化
しており、「もうぐらぐらしてしまっているから、抜歯しかないね。」といわれ、結局その先
生の所でその場で抜歯しました。(4/15)実際抜いた歯を見ましたが歯の先が溶けて丸くなっ
てしまっていました。その後、膿が出たせいか、黄色い鼻水は3日後から出なくなりました。
そこで質問なのですが、今後の治療として、どちらの歯科でも「ブリッジ」をするといわれ
ました。かかりつけの医師は「健康な歯なのであまり削らないように(2ミリくらい削る)ブリ
ッジします。」と言われましたが、抜歯をしてもらった医師は「かなり削ります。そうしない
と、安定したかぶせ物ができないから」と言われました。違う意見を言われたので私自身、今
後どちらの歯科で治療を進めていったらいいものかと困っています(迷っています)。それよ
りも全く違う歯科に行ったほうがいいでしょうか?やはり両脇の歯は健康な歯なのでできれば
あまり削りたくありません。
また「接着ブリッジ」というものはあまり歯を削らずに済むと聞いたのですがこれはどのよ
うなものでしょうか?
抜歯の後はとくに炎症もなく落ち着いています。次回の予約は4/25(金)で取っています。
それまでにご回答いただければ幸いです。長々とすみません。お忙しいことと思いますがよ
ろしくお願いいたします。
感想:
「歯性上顎洞炎」という耳慣れない病気を耳鼻科で言われ、途方にくれていたところ先生
のホームページに出会いました。とても参考になりました。 また質問への回答もとても分か
りやすく親身ですばらしいと思いました。
この歯に関しては手遅れですが、1本の歯を粗末に扱うと結局抜歯になり、ブリッジなりの
補綴をすれば何れそれらを失う可能性が高いことを肝に銘じて欲しいと思います。完全治癒は
見込めないにしても、ごまかしながらでも歯の延命に執着すべきだったと思います。また
他の歯に関して、同じ過ちを繰り返さないよう普段からのメインテナンスを実践してください。
欠損部分の補綴(ほてつ)処置として、場所的におそらくインプラントは無理でしょう。
そうなると1本義歯かブリッジですが、現実的な選択としてはどうしてもブリッジになります。
その際、できるだけ神経をとらずにという配慮から色々と皆様苦労されているようですが、これ
といった妙案はありません。最終的には結局抜髄に至ることになると思いますが、その最大の
原因はブリッジの片側脱離です。両方が同時に脱落してくれればそれ程問題はないのですが、
通常は当然の如くまず一方だけが脱離します。その脱離に気がつかず半年も経過すれば、虫歯
が急激に進行して、気付いた時には抜髄となってしまいます。
脱離しないブリッジなんてこの世に存在しないと考えるべきです。従って「接着ブリッジ」の
ような保険適応外治療に高額な費用を投じるよりは、脱離した時にすぐ対処できるよう普段の
メインテナンス(毎月の定期検診)に手間とお金を賭けるべきだと思っています。通常の歯磨き
だけでは、必ず虫歯と歯槽膿漏が進行して行きます。歯槽膿漏で歯のぐらつきが生じた場合、こ
の脱離現象はより頻繁に発生するようになります。また新たな虫歯の見落としは新たな抜歯を
招くことになるでしょう。
何か一つの選択で最善の補綴物を求めるよりは、ダメにならないよう努力する一方で、場合に
よっては、欠点を補いながら何回でも状態に応じて作り直す覚悟があった方が良い結果を招くも
のと思われます。補綴物の取り扱いに関してどちらの先生が良いかは分かりません。それよりも
先々のメインテナンスに力を入れてくれる先生を探すことを最優先して欲しいと思います。