日付、時間:2003年5月20日 16:57
氏名:
所在都道府県: 東京
職 業: その他
年 齢: 22歳
性別: female
質問:
河田先生へ
こんにちは。上右前歯1・2の根の先に親指大の嚢胞の診断を大学病院で受けて8月に口腔外科
で嚢胞摘出手術をする予定です。嚢胞によって2本の前歯の神経が死んでいたので、今はその
2本の根管治療を一般の歯医者さんで行っています。HPを見ていて、自分のしている治療に対す
る不安感が出てきたのでご質問させてください。
私の場合はまず、2・3回ほど根の掃除(麻酔なし)をしました。8月までまだ時間があるの
で、今は上歯茎の所(嚢胞の近く)と、根の中にレーザーを1週間に1回あてています。もしか
したら嚢胞が小さくなるかもしれないとのことでした。それまでは毎回綿のようなもの(多分…
。)をつめています。8月に手術ですが、それに合わせて直前に根管充填は行うそうです。根管
治療に際して、痛みはまったくありませんでした。(やはり根の奥まできちんと掃除されてない
のでしょうか?)嚢胞も全く痛みません。
現在、先生はだんだん汚れが少なくなってきているとおっしゃっています。でもやはり自分の
している処置が適切なのかどうか不安です。根管治療が上手な医院があれば今からでも病院を変
更して根管充填までたどりつきたい感じです。
今の病院で根管治療が上手くいってるどうかを見極める為にはどうしたらいいでしょうか?
レーザーを3ヶ月間当てつづけていることに関しては問題はありませんか?
手術についてですが、根端切除か嚢胞摘出だけかどうか今の段階では分からないのですが、歯医
者さんは嚢胞の中に根が入っているので根端切除だろうと言っていました。
本当に信頼できる歯医者さんを探すのがどれほど難しいことが痛感させられます。“良い歯医
者の見分け方”のような本を読んだりしたけれど、今治療をしている病院は微妙です(手袋を使
わなかったり・・)。だからと言って、治療の上手い下手の基準にしてよいのかなとも思うし。
んー。何を基準にしたらよいか難しいですね。私はとにかく根管治療をきちんと行ってくれる先
生と巡り合いたいです。
先生のHPを拝見すると大学病院の保存科が良いとの事でしたが…。?今から変えられるのなら変
えた方がよいですか?
ご回答の程よろしくお願いいたします。
一般的には正しい術式だと思います。痛みもないということですので多分上手くいくと思いま
すし、他に変わっても今以上の保証はありません。
ただ、異端児の私の意見はちょっと異なります。レーザーや根管貼薬は全く無意味な処置です
ので、根管内の機械的清掃が確実と思われた時点で素早く根管充填すべきだと思います。また、
嚢胞と歯髄との関係はわかりませんが、歯髄壊疽に起因するのう胞であれば根管治療だけでも
治癒するはずですので手術を延期してしばらく経過をみる方が良いと思います。
いよいよ手術するにしても、のう胞摘出だけに留めて歯根端切除は絶対避けるべき術式だと
思います。ただ私と同じ意見をもつ先生はひょっとしたら日本中にいないかも知れません。
エート、私もインプラント以外の処置には手袋を使いません。タダでさえ難しい根管治療を
手袋をはめて正確に行なう自信がないからです。目的は、感染予防? それとも的確な処置?
両立できれば最高でしょうけどね。
回答:
異端児である私の意見が正しいとするならば、今まで何の疑いも無く歯科治療を受けていた
人はとんでもなく不幸でしょうね。60歳でほとんどの歯を失っている現状は、十分不幸だと思
っています。
“嚢胞は死髄壊疸に起因するものではない”とするならば、嚢胞摘出と通常の根管治療→
根管充填が必要です。死髄壊疸に起因するものであれば、根管治療→根管充填だけで十分→
経過をみて嚢胞摘出という段取りです。いずれにしても根尖部分を取り去って根管充填を不
十分にする根端切除は不要です。膿にどっぷり漬かって汚染された根尖部分は有害だから取
り去るという発想だと思いますが、如何に大きな嚢胞であっても適切な根管治療と根管充填
で十分なおります。全く無用(有害!!)な処置です。
まずは根管充填を行って、症状の許す限り経過をみて、それでダメなら根端切除を行なわな
いで嚢胞摘出だけ行なうのが最善の処置です。もっとも、的確な根管治療と根管充填が条件で
す。
回答:
根管治療の不備とは全く無関係に発生した嚢胞なら、嚢胞摘出が必要です。しかし、その場合
でも歯根端切除は全く不要というよりも有害です。根管治療に起因するものであれば適切な
根管治療だけで治ります。今すぐ適切な根管治療を行なえば、8月ころまでにはその兆候が分かる
はずです。要するに適切な根管治療に自信がないだけのことだと思いますが、隣の歯への波及を
心配するなら手術が8月というのは筋が通りません。
何分実際に診ていないので根管治療と嚢胞の関係を断定することができません。根管と全く無
関係な嚢胞であれば、いくら確実な根管治療をしても嚢胞は大きくなるでしょう。しかし、手術
をすれば100%治るように錯覚されていますが、それも根管治療の出来如何で増悪する可能性を十
二分に含んでいます。それに歯根端切除でもしようものなら、ダメだった場合、後のフローはほ
とんど期待できないというリスクを含んでいます。“確実な根管充填を行えば嚢胞はこれ以上大
きくならないからその可能性はないのでしょうか?”とは比較にならないリスクですよ。
類似症例参考にして下さい。