抜歯後1か月ということで、通常なら十分な観察期間です。
上顎洞炎が治らない

日付、時間:2003年6月25日 18:02 氏名: T-mom   
所在都道府県: 神奈川    職 業:  主婦  年 齢: 30歳      性別: female 

上顎洞炎が治らない 質問:
 今年1月中旬、左側6,7番根元付近の口蓋側の痛み、頭痛があり次第に症状が悪化して 鼻の左側が痛くなり、喉から悪臭のある黄色の鼻汁が出るようになりました。近所の歯科を 受診しレントゲンを撮ったところ、6番(約10年位前に抜髄して治療済み)の歯の根に薬 (セメント?)が全く入っていないと指摘されました。(7番は虫歯治療ありですが、抜髄 はしていません。)6番の歯が原因であろうとのことにて大きな歯科を紹介され受診し、C Tにて軽い上顎洞炎があり、6と7の歯の根が上顎洞に突き出ているとのことでした。
 2月よりマクロライド系抗生物質を内服しながら6番の根管治療をはじめました。次第に 鼻の症状は少しずつ良くなりましたが、炎症が小さくなってもやっぱり最後まで歯の根元の 鈍痛は消失せず、先生に聞いたところ「根の治療の刺激によるものでしょう」と説明され、 そういうものなのかと私もなんとなく納得してしまいました。
 4月下旬に6の根管もきれいになったし上顎洞炎の症状も落ち着いたのでとのことで6の 根管充填をしました。しかしその後抗生剤の内服をやめて2週間位の頃から再び歯の根元の 痛みと上顎洞炎の症状がぶりかえし、結局5月8日に6番を抜歯しました。抜歯後は一時的 に上顎洞と抜歯の穴がつながりましたが2,3週間で完全に塞がりました。鼻の症状がまだ 続いていたので抗生剤を飲んでいたのですが、6月に入り症状も落ち着いたので内服を止め た所、現在またふりだしに戻ったような症状に悩まされています。現在ある症状は7番根元 付近の痛みと喉に流れる鼻汁です。
 歯科の先生に症状を伝えると、「原因の歯はもうないので、耳鼻科的な方で調べてもらっ た方が良いのではないか。7番は神経も取っていないしレントゲン上も悪くないので原因で はない」と言い、耳鼻科の先生は「歯の穴が塞がっていないとか何か歯科の問題があるので は」と言いたらいまわし状態です。7番の歯は斜めに生えているので、6番とのブリッジを 作るにしても抜髄しなくてはならないと聞いています。私としては7番に原因があるのでは と思って「どうせ神経をとらなくてはならないなら7番の根管治療をダメモトでしてほしい」 と伝えたところ「レントゲン上も悪くないので、むやみやたらにいじらない方がいい」と言っ てとりあってもらえませんでした。どうしたらいいのでしょうか?

    先生に質問です。
  1. 6が原因だった上顎洞炎が7に波及したり、上顎洞炎によって7番の神経が根の方から 死んでしまうことはあろのでしょうか?
  2. 上顎洞に歯の根が出ていてもレントゲンにて根元の炎症はわかるのでしょうか?
  3. 7番の根管治療はしてはいけない?
以上です。ちなみに8番は去年の11月に抜歯しています。長々とわかりにくい文章ですが、 なにとぞお返事よろしくおねがいいたします。こちらでいい歯科医に出会える自信がありま せん。そのときは姫路までお伺いする覚悟もありますが、診て頂けますか?それでは失礼し ます。

回答  質問の前半部分に関しては、6番の根管治療不備によるものですので的確な根管治療によ って回復の可能性があると思いましたが、的確な根管治療以上に確実な治癒をもたらすはず の抜歯を行なっても症状が改善しないことについては驚きを隠せません。
 片側性の上顎洞炎症については、まず歯科疾患を疑うというのが原則です。その中でも 根管治療の不備が疑われるものについては最優先に処置すべきです。最も疑いの濃い6番 がなくなった今、4番・5番に神経を取った歯がなければ、最初に症状を感じた7番に疑 いが集中します。おそらくレントゲン的にも7番に異常が認められない状況で抜髄を決断 することは非常に勇気のいる判断ですが、インプラントも選択肢にはいらない状況では、 7番を抜髄して経過を見るのが妥当だと思います。
 最も疑いの深い6番抜歯後1か月ということで、通常なら十分な観察期間ですが、でき ることならばもうしばらく(1か月)経過をみた上で7番の抜髄を決断されても良いので はないでしょうか。レントゲンその他を診査した上での話ですが、姫路にいらっしゃった 限り、7番の抜髄になると思います。その前にもうしばらく様子をみて、抜髄しかないと いうに足りる経過観察をしてからにしてください。
 ちなみに、上顎洞に近接した歯では歯髄壊死の可能性もありますし、反対に根尖病巣が あったとしてもレントゲンでは確認できないケースは少なくありません。最終的には、診断 を確定するためにも、また最終的な補綴処置を考慮しても7番の抜髄は必要な処置だと思い ます。