抜髄はできるだけ回避すべき選択です。
奇妙な痛みと不快感(イギリス)

日付、時間:2003年7月1日 0:24 氏名: Y・N   
所在都道府県: 西ヨーロッパ    職 業:  主婦  年 齢: 36歳      性別: female 

奇妙な痛みと不快感 質問:
 海外にいるため、不安な中先生のホームページを読み、もしかしたら助言がいただけるか もと筆をとらせていただきました。治療後2ヵ月近く経つのですが、奇妙な痛みと不快感か ら解放されず困っています。現在イギリスに住んでいますが、あまりにも埒があかないのと、 精神的にもつらいので日本へ帰って治療することを検討しています。どうかお力添えのほど よろしくお願い致します。ちなみに今回治療した歯は4本ともすべて下の歯で、親知らずは 上下とも10年以上もまえに抜歯しています。

 まず最初に、昨年の10月に下右6番の歯の詰め物の端の部分がかけ、かけた部分は詰め 物だけで、虫歯等はないとのことで、新しく詰め物をしてもらいました。しかし、それ以降 その6番と7番の間にものすごく食べ物がよくはさまるようになりました(その2本の歯は ちょうど隣り合わせになっている所に両方銀の詰め物がしてありました)。
 今回は、前回と違う歯医者に、4月上旬に、定期検診で歯科を訪れました。(6ヵ月に1 回定期検診を受けるようにしています)そして、その食べ物が挟まることを伝えました。先 生は、7番の詰め物もかなり古いので(15年以上も前の詰め物だと思います)、7番と6 番を金のインレーにして、となり合わさっているところきれいに合わせれば物も挟まらない のでよいということで、その通りにすることにしました。
 同時に、10年前に入れた奇妙な形(舌側だけにかかる様な形)のブリッジがせりあがっ てきていて、とった方がいいとのことで、私も入れた当初から、舌にあたり気持ち悪かった ので合意しました。左5番めの歯がなく、左下6番と4番にブリッジがかけてありました。 (両方とも有髄です)今回はブリッジをとり、左奥6番には金のインレー、4番にはポーセ リンをかぶせることにしました(従って5番のところは今は小さなスペースがあります)。

 以上のことを4月の中旬に行い、仮止めをして5月1日にインレーを装着しました。そし てそのインレーを入れてからというもの、歯があちこち痛くなり(といっても鎮痛剤を飲む ような鋭い痛みではありませんでした)、2週間後に歯医者を訪れ、かみ合わせ等を治して もらい、インレーの高さも調整してもらいました。その時、私は寝ている時に歯ぎしりをし ているに違いないので、なかなか歯がアジャストしないということで、様子をみることにな りました。時々、冷たいものや熱いものが一瞬しみることもありましたが、インレーを入れ た後だからということと、どの歯が痛いか分からないということで、様子を見ることにしま した。
 その後、1週間たち、幾分痛みはましになったものの、相変わらず、特に鈍い痛みが特に 右の2本の歯の間に頻繁にあり、上の歯も左の歯も痛くなる時もあるということで、再び歯 医者をおとずれ、歯髄反応テスト(温)を行いましたが、どれもほんのわずかに感じるか感 じないかということで、また様子を見ることになりました。レントゲンも撮りましたが、ど こにも異常はないといわれました。しかし、その後も特に右側は痛みが続いたため、歯髄反 応テスト(冷)を行い、右6番が強く反応を示し、敏感になっているが、神経からインレー まではかなり遠い、浅くしかけずっていないし、虫歯による細菌感染もないから、もう少し 我慢すれば治るかもしれないし、今インレーをとって、神経を静めて、経過を見ることもで きるけど、また同じことを繰り返す可能性も有るからとまた様子を見るよう言われました。  その後、その6番は、時々しめつけられるような感じがするのと、ときどき無感覚のよう な気持ちの悪い状態になるか、鈍い痛みを持つかのどれかのパターンをいっており、その上 に当たる上の歯もものすごく痛くなることがあります。そして、疲れてくると、右の上の歯 が全部しびれたようになり、しゃべるのも困難になることがあるのです。いつ痛くなると聞 かれても、食事をした後や、しゃべったりして口を動かした後にひどくなるような気がしま すが、はっきり答えることはできません。日常生活において、熱いものがしみたり冷たいも のがしみるということもないと思います。夜は痛みで起きるということはありません。
 その状態が1週間続き耐えらなくなったので、歯内治療の専門家を紹介してもらい検査し たところ、6番はドライアイスには反応するが、電気診断を行っても反応ははない。マイク ロスコープでみると、すごくうすいひびが見えるので、歯の周りを削って、クラウンをつけ ようということになりました。
 仮のクラウンで様子をみるとのことですが、私としては、一日も早くこの状況から逃れた いので、抜髄をお願いしても、様子を見てからと、がんと聞き入れてもらえません。 この痛みは本当にひびからきているのでしょうか?
もう歯髄は死んでいるのに保存しているだけではないのでしょうか?
マイクロスコープでみたひびはどこまで深いものか分かるのでしょうか?(レントゲンに は全く写らないし、勿論肉眼では見えません)。
上の歯も痛いのですが、色々調べてもらっても(マイクロスコープは見ていません)異常が ないので、関連通とされていますが、上の歯にもひびがはいっているのでしょうか?
今まで、このような症状になったこともなく、全ての歯に神経があり、6が月に1度、検診 にも行き、クリーニングも行ってもらっているため、歯石が原因ということはないと思いま す。ひどい虫歯治療の経験もありません。長々とまとまりのない文章で大変恐縮ですが、ど うぞお力添えくださいますようお願いいたします。

回答  マイクロスコープは、虫歯や亀裂の存在は確認できても深さは確認できません。また、ある 程度の深さが推測できても神経との距離や歯髄の炎症は確認できません。虫歯や亀裂が神経と 明らかに接していても通常歯髄は炎症を起こしませんので、余程の亀裂や虫歯で無い限り、そ の存在は痛みの原因からオミットして考えるべきです。
 歯石だけでなく装着時のセメント残留も原因の一つですので、今一度歯石や残留セメントの 除去を試みる必要はあるように思います。この度の痛みは、インレー装着後ということですの で、一番に疑うのはやはりインレーでしょう。その場合クラウンを前提にするのではなく、ま ず完全に当たらないように咬合調整するか、一番きになる右下6番のインレーを除去して経過 を見るのが最善だと思います。

 症状が抜髄を必要とするような状況でないだけに、抜髄はできるだけ回避すべき選択です。 抜髄は何の解決にもならない可能性と、更なる障害を引き起こす可能性をもっています。