ポストを除去する技術にも大きな個人差があります。
差し歯の芯が奥深く

日付、時間:2003年7月1日 3:11 氏名: やん   
所在都道府県: 東京    職 業:  会社員  年 齢: 29歳      性別: male 

差し歯の芯が奥深く 質問:
 はじめて質問いたします、お忙しい所恐縮ですがどうか宜しくお願い致します。 私の上の前歯は、差し歯になっています。14年前に差し歯になったと思います。

1〜2年前に上の前歯の歯茎が腫れたことがありました。その時は薬を飲んで治りました。 また、同じ個所の前歯(中切歯)の上が膿んできました。転勤の関係で、前回とは別の歯 科医に見ていただいています。今回も、薬を飲んでいったん膿みが歯茎から出て、今は腫 れが引いています。痛みもほぼなく1週間がたっています。腫れているときも歯自体は思い っきり噛んでも特にいたくありませんでした。
 今回いっている歯医者さんは、「本来ならその差し歯のかぶせものをとってきれいにす べきだが、差し歯の芯が奥深くまで入っているので、かぶせものをとることができない。 今は腫れが引いているが、根本的な治療が必要。いったん歯を抜歯して外で歯の根元をき れいにして、すぐにその歯を元の位置にくっつける。」という治療をすると提示を受けて います。たぶん、「再植術」という治療法なのでしょうか。
 先生のHPにあまりお勧めはできないが「歯根端切除術」という治療法があると知りました。 「歯根端切除術」や「再植術」が必要な場合は、どのような場合なのでしょうか?
レントゲン写真より、そのような治療が必要かどうか判断がつくのでしょうか?

 なんとなく私には、歯科医さんの対応が、原因がはっきりわからないので、「とりあえず やってみよう」のように感じました。ただ、今の差歯の芯が奥深くまで入っていて、それを 除こうとするのは無理のようなことがレントゲン写真よりなんとなく分りました。
 通常は「根管治療」がダメなら「歯根端切除術」、「歯根端切除術」がダメなら「再植術」、 「再植術」がダメなら「抜歯」という治療順序なのでしょうか?
やはり、今腫れが引いているので様子をしばらくみていたのでは、どんどん悪化していくた め、早めに治療をした方がよいのでしょうか?
「再植術」の治療法は、成功率が7割くらいと聞きました。以上、よろしくお願い致します。

回答  何をもって成功というか、「再植術」当面の成功率は7割以上かもしれませんが、10年 生存率ともなると1割くらいかもしれません。他に全く選択肢がなければやむを得ない選択 です。
 原因が根管治療の不備ですので、解決策はあくまでも根管治療だけです。“「根管治療」 がダメなら「歯根端切除術」……”ではなく「根管治療」がダメなら再度「根管治療」しか ないと思います。但しその前にポスト除去時の破折リスクがありますので、即刻除去するか 破折リスクを先送りするかの選択にすべきです。適切な根管治療を行なわない限り治癒の 見込みはありませんが、周囲の歯に迷惑が及ばない範囲で我慢の限界まで使って、最後は 破折を覚悟で根管治療を行なうという道です。
 根管治療の腕同様、ポストを除去する技術にも大きな個人差がありますので、即刻除去す るかそれ以外の方法を選択するかはできるだけ多くの歯科医の意見を聞いた方が良いでしょ う。

 


返信:2003年7月2日 22:41
 ご返事ありがとうございます。7月1日に質問したものです。河田先生に相談する前は、 「歯根端切除術」か「再植術」の手術をするしか仕方ないと思っていました。今は、再 度踏みとどまっています。
 今日、通っている歯科医に言って来ました。ポスト除去は可能がどうか伺いました。 歯の根元の2〜3ミリのあたりまでポストが入っているため、次の理由で無理であるとの 回答でした。
1.破折リスクがある。
2.物理的に削る道具が届かない。

 そこで河田先生にお伺いしたいのですが、
質問1)
歯の根元の2〜3ミリのあたりまで入っているポストを除くことは、道具が届かない ・破折する等の理由で不可能なのでしょうか?除去できる可能性はあるのでしょうか?
今回、河田先生より提示して頂いた「周囲の歯に迷惑が及ばない範囲で我慢の限界まで使っ て、最後は破折を覚悟で根管治療を行なうという道」という方法をとろうと考えています。 ただ、今日行った先生は、次の腫れたらもう抜歯しかないかもしれないとおっしゃっています。 レントゲン写真は問題の歯の根元が黒くなっていました。 これが根尖病巣でしょうか。今の先生は「骨がとけている」個所と説明をしていました。 この「とけている個所」が大きくはならないかもしてないが、どんどん悪化していくので次 に腫れた時は、もう「歯根端切除術」「再植術」といった高等治療は無理であろうとおっし ゃっていました。

そこで河田先生にお伺いしたいのですが、
質問2)
「周囲の歯に迷惑が及ばない範囲で我慢の限界まで」というのは具体的 にどのような状態なのでしょうか。診て頂いているのでもなく、レントゲン写真があるわけで なく、河田先生も困る質問ですがよろしくお願いします。
以上、お手数ですがよろしくお願い致します。

回答:
 「歯根端切除術」を高等治療と考えるか抜歯前のセレモニーと捕ら えるかの違いです。世の中の大半は高等治療と考えているようです。ポストを除くことは、 物理的な問題もありますが、その考え方の違いにも大きく影響されます。私の場合、歯の根 元の2〜3ミリのあたりまで入っているポストをとることはありますが、新しいバーを数本 使って¥500の診療報酬ですので、本音はあまり関わりたくない状況ですね。
 レントゲンの影は根尖病巣でしょう。「次の腫れたらもう抜歯しかないかも」は防御線で あると同時に、担当医の本音でもあると思います。ですから、ポストを除去して根管治療を 試みようという意欲と技術のある歯科医を探すしかありません。もし探し当てることが出来 たら治療の時期などはその先生にお任せすれば良いでしょう。非常に困難な道ですので、 探しきれなかった場合は抜歯前のセレモニー?を選択することも考えておいた方がいいかも しれません。

 「周囲の歯に迷惑が及ばない範囲で我慢の限界まで」も担当する医師によって判断が異なる と思いますが、薬や切開によっても症状が改善しない場合もしくは頻繁に炎症を繰り返す場合。 それとレントゲン的に周囲の根っこに炎症が及びそうな場合です。