日付、時間:2003年7月8日 11:32
氏名: TM
所在都道府県: 埼玉
職 業: 主婦
年 齢: 33歳
性別: female
質問:
こんにちは。最近、歯の治療に不安を感じ、このサイトを見つけました。
痛みはなかったのですが、検診をと思い、今年の4月から歯科に通っています。左下6が
一度治療し銀の詰め物をした所が虫歯になっていると言われ、かなり進行しているとの事で
抜髄しました。
その後、左上7と5がやはり詰めてあるところが虫歯になっていて、こちらは神経を抜か
ずに済み、再び銀の詰め物(7はクラウン)をしました。現在、治療して20日ほど立ちます
が、5のほうが氷の入った飲み物がしみる感じがあります。水道水程度の温度ならあまりし
みる感じがありません。熱いものも大丈夫です。
2次カリエスで抜髄しなくて大丈夫な人は、氷水でもしみないのでしょうか。それともだん
だん氷水もしみなくなるのでしょうか。私のような微妙な温度がしみるのは、抜髄しなくて
も大丈夫ですか?
このサイトを見ると、一度痛みがなくなっても、神経が壊死して半年後にもっとひどい状態
になる、経過を見る期間は1ヶ月くらい、というようなことが書いてあり、今の状態を続けて
いいのか不安です。
それから、左下6の無髄歯は、痛いというわけではないのですが、浮くような違和感があり
ます。噛むのは大丈夫です。通っている所の先生は「神経を抜いた歯は、そういうことがよく
ある。疲れた時に、そうなる人もいる」と言います。でも私は10年以上前に右上2を抜髄して
いますが、こちらは一度も違和感を感じたことがなく、有髄歯とかわりません(歯の大きさ
も違いますが)。 これから子供を欲しいと考えており、妊娠中に痛みが出たら困るな、とも
思っています。お忙しいでしょうが、よろしくご指導ください。
感想:
こちらのサイトを見ると、非常に勉強になります。
程度の差はあれ、虫歯を削ってインレーなどを詰めた場合必ずしみます。その中でも
熱いモノがしみる場合にはかなりの確率で抜髄を覚悟しなくてはなりませんが、氷水だと
「それくらいは当たり前」という認識です。知覚過敏抑制の塗り薬を何回か塗って、その
まま様子をみて下さい。
それよりも“浮くような違和感”のある左下6の方に問題があります。当然完璧な治癒
が目標ですが、それ以上の治癒が不可能な状態なのか根管治療をやり直す余地があるのかを
診断してもらう必要があります。
回答:
知覚過敏Kは歯槽膿漏進行のシグナルです。左上3に限らず、歯槽膿漏進行抑制と虫歯発生の
抑制には毎月の歯石除去が最も効果的です。左上5は虫歯治療後の知覚過敏ですので、歯髄炎症
が治まらなければ最終的に抜髄ということになりますが、目安としては、もっと熱冷がしみるよ
うになったとか、眠れないほど痛いとかということで結構です。
左下6の無髄歯は、歯肉が腫れるという事態になってからでも根管治療さえしっかりすれば
治る可能性があります。しかし、抜髄してそのまま根尖病巣に発展させるような治療だとすれば、
転院するべきでしょうね。
その後、私にも説明があったのですが、根分岐部の下(歯根の間)に小さな黒い影があり、そ
れが原因なので、根治できる場所ではない、治療法はセパレーションしかない、というのです。
こちらのサイトの色々な質問や河田先生の回答を見ていると、その治療法は妥当かな、と思うの
ですが、問題は、その先生がセパレーションにとても消極的なことです。何でも、以前同じよう
な症状の患者の強い希望でセパレーション処置をしたが、2分割にするので強度が弱くなり、結
局その人は2年くらいで1つのクラウンがダメになり、ヘミセクションになった。なので、様子を
みて調子が悪くなったら抗生物質などで抑え、だましだまし今の歯の状態で保存していた方がい
い、というのです。
確かに、今はほとんど痛みも感じないのですが、このままにしておいて、炎症→抗生物質で抑
制を繰り返すのは歯周病にもよくないと思うのです。と言いますのも、最初、小さい黒い影は歯
槽膿漏が関係していると言われ、そんな所に膿漏があるということに驚いた(出血や歯茎の退縮、
歯肉が腫れたなどが今までないので)のですが、その後は膿漏のことは聞いてもうやむやな答え
しかもらえず、確かに膿漏がないわけではないが、別に年齢よりずっとひどい、という訳ではな
い、治療が必要な状態になったらきちんと言うから大丈夫、というような言い方をされ、不信感
を持ってしまいました。今すぐセパレーションにしなくては、とは思っていませんが、下に爆弾
を抱えているのも嫌です。でも、セパレーションにしても2年くらいしか持たないのなら、炎症
が頻繁に起こらない限りこのままのほうがいいのか、とも考えます。
河田先生は、どう思われますか?
セパレーション処置は、医師の技量でかなり持つ年数が変わりますか?
ちなみにその先生は年齢30前半と思われます。(歳とってりゃいいってもんでもないと思います
が)それから、説明の時に髄床底に穿孔やヒビがいっている、という話はなかった(説明を省い
たのかもしれませんが)のですが、穴がないのにその下に炎症が起きるのは何故ですか?膿漏が
原因ですか?
よろしくお願いします。
回答:
私の推測に間違いがなければ、日本の歯科医療レベルはその程度のモノです。
炎症発生のメカニズムが正しく理解されていないものだから、その場しのぎの言い訳や説明をし
て何とかごまかしながらしのいでいるのが現状でしょう。今回の場合も、「痛い」という訴えに
対してたまたま分岐部の病変らしいものが見つかったのでそれが原因とは言ったものの、本当の
原因であるかどうかが疑わしいので治療に積極的になれない。しぶしぶ治療したとしても的外れ
だったら治らないから最終的に本来の原因だった根尖病巣が確認できた時点で、「強度云々」と
いう理由をつけてヘミセクションしたという話のように思います。
根管治療は面倒だからやりたくない。やっても治癒率50%の腕だから自信がないというところ
でしょうか。最終的には、根管治療をしっかりしてくれる先生を探して治療をやり直すことが根
本的な解決になるはずですが、日本中何処に行ってもその程度のレベルがほとんどですのでちょ
っとしんどい話です。
歯槽膿漏のケアは勿論必要ですが、今回の痛みはあくまでも根管治療の不備だと思います。