最大限問題歯を延命させるための努力が必要です。
歯根の吸収

日付、時間:2003年7月16日 4:04   氏名:  kado  
所在都道府県: 東京    職 業:  その他  年 齢: 26歳      性別: female 

歯根の吸収 質問:
 捩れて生えていた上顎左側切歯を、6年前に審美歯科にてセラミックスクラウンを 被せました。先日親知らずが生えてきたので地元の歯科医院(矯正歯科がご専門です) へ行ったところ、その上顎左側切歯を小さく削るために神経の処置をした際の薬が強 すぎたのが原因で、歯根の吸収がかなり進んでいて歯根が半分くらいしかなくなって しまっているため、歯根の再治療は不可能で、5年ぐらいで脱落してしまうでしょう という診断を受けました(ちなみに、3年前に他の歯科医で定期検診を受けたときに は何も言われませんでした)。
 また、下顎左第2小臼歯は小学校高学年の時に抜歯しており、欠損しています(その ため下顎の中心線はずれており、奥歯のかみ合わせもずれており、奥歯が舌側にほんの 少し倒れているような気がします(スペースは埋まっています)。

 上顎左側切歯が脱落した後の処置法は二つあり、一つ目はインプラント、もう一つは ちょうど(?!)下顎刺左側も1本足りないので、矯正によって上顎左犬歯以降を前側 に移動させて側切歯が欠損した部分のスペースを埋める(この時、見える部分の歯の形 は変える)と言う方法が今のところは考えられますと言われました。ちなみに、上顎左 側切歯を除いた上顎左第1小臼歯から上顎右第2小臼歯までは健康歯です。そのためか、 ブリッジという選択肢はありませんでした。上顎左第2小臼歯はクラウンです。金額的 にも、時間的にも比較的自由度が高いと仮定した場合、どちらの方法がベターであるか、 アドバイスを戴けますようお願い致します。
 ちなみに、上顎左側切歯の処置をした際に、「薬が強すぎたのが原因」と先生はおっ しゃって下さいましたが、私の体質や免疫力などにも多少の問題があったのではないか と思うので、その点で私は、インプラントよりも、矯正で側切歯の部分に犬歯が来るよ うにした方がいいのではないかと思っております。また、先生は歯の形を変えるとおっ しゃっておりましたが、できるだけ6年前のように健康な天然歯を削ったりしたくない ので、見た目の問題だけであれば歯の形はそのままでもいいと思っております。ただそ の際に、犬歯はとても重要な歯であると聞いたことがあるので、2番の位置に持ってき てしまっても問題はないのかということが心配です。
 また、脱落してからではなく、脱落する前に側切歯を後ろにずらして行くようなかたち で矯正を始め、脱落する頃には犬歯の後ろに隠れているということはできるのでしょうか?
長くてまとまりのない文章になってしまいましたが、何卒ご返答をよろしくお願い申し 上げます。

感想:
お手軽な審美歯科に頼ってしまった自分の愚かさと、思いもよらない診断にとても意気消沈 しておりましたが、このホームページの充実した臨床例やQ&Aコーナーのおかげさまで、塞 ぎ込んでいた気持ちがだいぶ楽になりました。本当に感謝致しております。私の症例はかな りのレアケースかと思いますが、悪例として何かのお役に立てれば幸いです。

回答  保険でもブリッジは可能ですが、歯の損傷を考えればできるだけ避けたい選択肢です。 抜歯してからインプラントするにしても1年間は骨の回復を待って、更にインプラントを 植えてからも数か月(半年)待たなくてはいけません。かれこれ2年仕事になりそうです。 その間は、仮の部分入れ歯ということになります。
 一方矯正も、2〜3年、もしくはそれ以上の治療期間が必要になります。部分入れ歯も 審美的に問題ありますが、矯正装置が入って“歯抜け状態”というのもそれ以上に問題か も知れません。

 結論から言えば、インプラントの方をお勧めいたします。
成功率95%ですが、ダメだったとしても除去すれば元の状態。それからでも次の選択が 可能です。そして他の歯を傷めたり、歯槽膿漏を助長たりかみ合わせを狂わすこともあ りません。矯正の場合、そのようなリスクの上に、歯根吸収を起こす可能性もあります。
 最終的に抜歯になった場合はインプラントを考えるとして、それまでに、再度の根管 治療を含めて、最大限問題歯を延命させるための努力が必要です。