尖った金属で強く擦れば一部は取れると思いますが…
選択肢は2つだけ(アメリカ)

日付、時間:2003年7月23日 3:42   氏名:  MM  
所在都道府県: アメリカ    職 業:  主婦  年 齢: 38歳      性別: female 

選択肢は2つだけ 質問:
 こんにちは。はじめてメールさせていただきます。私はアメリカ在住ですが、歯端根切除 手術で悩んでおり、このページに辿り着きました。
 定期チェックアップの際、上顎左前歯2番の歯の根部分に黒い陰が写り、感染との診断で した。私の治療の選択肢は2つだけで、一つめがApicoという手術(これが歯端根切除手術の こと、と理解していてよろしいでしょうか?)で、二つめがインプラント、でした。

 問題の2番の歯は、25年ほども前に転んで折れ、ずっと差し歯のクラウンでした。当時 の神経治療が不完全のために感染したという診断ですが、土台の棒が長く太すぎるため、外 しての神経治療のやり直しは無理、と言われました。無理に外しても、歯は保全できないた め、選択肢は2つのみ、だそうです。
 Apicoについては、一般に成功率50〜75パーセントだが、私のケースはもっと低い確率 になるだうということで、せいぜい五分五分だそうです。将来の再感染のリスクとその場合は 即インプラント、という説明も受けました。また、成功した場合でも、歯の根が短くなること で、歯自体が弱くはなる、とも言われました。再発せずに、何年持つのかほんの数ヶ月なの か、手術自体が成功しても予見不可能で、常にレントゲンを撮り続けて注意しなければいけ ないそうです。最初に相談した補綴科のドクターは、歯の保全という立場からまずApicoが先 だが、将来のリスクのないインプラントを勧める、と言っていました。医院内の複数のドクタ ーに意見を聞きましたが、難しい選択だと言われました。自分ならまずApicoを選ぶと、いう ドクターもいました。

 2年ほど前に、やはり同じ25年前に折れて差し歯のクラウンだった隣の左1番の歯は、歯 の根が自然に短くなって穴が開いてしまい、選択肢なくインプラントにした経緯があります。 特別の理由はなく折れたことのトラウマが原因だろう、という診断でしたが、今回、2番に Apicoの治療を選択した場合は歯の根が短くなる、と説明されてもおり、前回のことを思い出 すと不安です。
やはり私のケースでは、Apicoは、根本的な解決にはなりにくいのでしょうか。失敗または再 感染の場合は状況が悪化すると言われていて、その場合の、1番のインプラントに及ぼす悪影 響も心配です。しかし反面、取りうる手段を尽くす前に抜歯してインプラントにすることの抵 抗感もあります。手術が成功したとしても短い歯になってしまうことだし、無理に自分の歯を 残すことに固執することに、重要性があるかどうかもわかりません。私の場合、インプラント こそが、根本的な解決策なのでしょうか。

近い将来帰国して日本で生活することになるため、日本でのインプラントのケアなどについて も気になります。6年ほどのアメリカ暮らしで、当地ではインプラントが普及してごくふつう に行われている治療だという認識はあるのですが、日本でも同様なのでしょうか。

 Apicoもリスクの高い割に高額の手術で、インプラントはさらにたいへん高額の治療で自分 自身の歯を抜歯しなければならないことなので、じっくり考えて決断したいと思い、メールさ せていただきました。ご多忙のところ申し訳ございませんが、先生のご意見をいただければ幸 いです。

感想:
 過去の質問のコーナーで、こちらのドクター達に会う前にいろいろ勉強させていただきま した。予備知識をもって臨むことで、精神的にずいぶん楽になりました。アメリカで歯科に かかるのは、言葉と文化の違いのため、日本でのそれ以上に不安なので、先生のページはと ても心強く、頼りになりました。ありがとうございました。

回答  歯端根切除の成功率は10%以下で絶対に 避けるべき治療方法です。根本的な解決は的確な根管治療しかありません。確かに深く挿入 された金属ポストを除去するのに多大な労力を要する上に破折リスクも伴います。歯根が破 折すればその場で抜歯ということになります。アメリカでの費用は知りませんが、日本では 金属ポストの除去は¥500ですので歯医者としては絶対に関わりたくない処置です。でも実際 に除去した場合の破折リスクは私の場合1%程度だと思います。

 最終的に抜歯となった場合はインプラントという点は一緒ですが、私の提案する選択肢も2 つ。今すぐ金属ポストを除去して根管治療を行なうか、隣の歯に迷惑を及ぼさない範囲で今の まま使うだけ使って最終的に金属ポストを除去して根管治療を行なうかという選択です。何れ にしても、金属ポストを除去して根管治療を行なってくれる歯科医を見つけ出す労力が必要で す。

apicoectomy=歯根端切除術