原因不明の痛みは、“歯根破折”の可能性が案外高い。
歯の部分抜歯

日付、時間:Wed Aug 11 21:27:04 Japan 1999    氏名: E.M.   
所在都道府県:東京   職 業:会社員   年 齢:33歳      性別: female  

質問:
いつも興味深く拝見させていただいております。とくに質問コーナーや「あなたの街の 歯周外科医」を参考にさせていただき、ここで検索した医院へ通っています。
1年前から、疲れると右の上の奥歯の歯茎が腫れるのです。その1本前の歯は10年ほど前に抜歯。 ブリッジをし、例の奥歯はその支えになっていました。知らないうちに、その歯のみ歯周ポケットが深 くなり、いまは7だとか。。歯石を取り除く治療を続けているうち、先生に、「歯の根が縦に割れている 可能性がある。それでこの歯だけ歯周ポケットができたのだろう。根のひとつでも救えればいいが、 そうでなければ抜くしかない」といわれました。私としては、その前の歯をすでに抜いていることもあり、 できればこれ以上抜くことはしたくないのです。部分入れ歯も同様です。
このまま奥歯の歯石を除去する治療を続け、歯を残したいのですが、そういったことは可能でしょうか。 つたない説明ですみません。おわかりになるでしょうか?先生のお考えになる最善の治療を教えてい ただければ幸いです。

メールアドレス: sss-eri@magical.egg.or.jp   ホームページURL: http://

回答  歯周疾患のコントロールに自信があって、レントゲンで根尖病巣が認められないケースでは、 往々にして“歯根の破折”が原因となる可能性が非常に高いと思います。 “歯根破折”がレントゲンで確認できるケースは何も悩むことはないのですが、確認できない ケース(約30%?)は本当に悩みます。

 万策を尽くしたのに回復しない(すでに数ヵ月経過)→歯根破折を疑う→(確信の持てるまで経過を 見る)。ここでやっと ヘミセクション(場合によっては抜歯))の決断が 芽生えてきます。抜歯も覚悟の上で手術を始めると予想通り歯根の破折であることが多く、安堵の 胸をなでおろす結末(ヘミセクションを決断して良かった)となる症例を少なからず経験しております。

 患者さんにとっては大事な歯の存続に関わる一大事ですが、私達術者にとっても数ヶ月におよぶ 懸案です。最悪の場合、抜歯も考えられますが、そこまで万策を尽くしたあげくに提案された苦渋の 判断ですので、気持ちよくお任せされてはいかがでしょうか。 仮に、歯石の除去を続けられても“何らかの原因”が存在する限り改善は見込めませんし、返って 状況を悪くするのではないかと思われます。

 ヘミセクションの提案がでること自体、非常に恵まれた治療環境だと思います。


返信:
 遅くなりましたが、先日は私の質問(歯根破折が要因と思われる歯周病で ヘミクションを提案された)に、ご丁寧な返信をいただき、ありがとうございました。
ヘミセクションという言葉の意味がいまひとつつかめませんが、私がここで治療をしたのは3回ほど だったのです。 結局、担当医に「抜きたくない」と申し上げたところ「抜歯は必至だろう。抜く意志が固まったらもう 一度きなさい」といわれ、「根の1本が救えるかも」という前回の返答と微妙に変化していたのが 気になるところです。治療は一時中断です。 そのうえ今日は笑うと見えるところに銀を被されてしまい、ショックです。

やはり奥歯は抜くしかないのでしょうね。でもその前の歯もすでにないので、部分入れ歯という道を とるのが最善なのでしょうか。じっくり相談できる病院を見つけるのは、本当に難しいです。 先生のような方が近くにいらっしゃればいいのですが・・・。
この件について、私自身もう少し勉強してみます。今回は、ほんとうにありがとうございました。

回答:
 上顎7番ですね。歯根の形態からヘミセクションが不可能な場合、或いは行っても予後不良になる 可能性もありますので、半分抜歯を覚悟しなければならないかもしれません。
また、かりにヘミセクションがうまくいっても元通りのBridgeには保険の規則上不可能ですね。 今日入れた銀歯にしても保険規則上、定められた方法です。規則に従って治療すれば、患者さんに 不満や不信をもたれる現状の“保険療養規則”に怒りを感じます。

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