日付、時間:2003年9月16日 11:00
氏名: trio
所在都道府県: 東京
職 業: その他
年 齢: 28歳
性別: female
質問:
いつも拝見させていただいております。私は9年前、右中切歯1本 をSKタイプで差し
歯にしました。数年前から変色が見られるようになり、今年の5月に交換のため歯科医へ。
そこでは、根管治療( キャナルスを使用 )を行いました。そして現在は、メタルコアタイ
プのパラジウムの心棒を入れた状態になっています。
しかし、根管治療 後から、口腔内の違和感、また全身のかゆみ、湿疹、皮膚感触の異常、
倦怠感、微熱 等に悩まされました。結果ある病院で、化学物質過敏症 であったことが判明
しました。原因物質であるキャナルスを除去しない限り、症状は改善されることはないそう
です。しかし、原因物質であるキャナルスを除去するためには、心棒を外さなければなりま
せん。これはリスクの高い手術で、最悪の場合抜歯になるとのこと。
そこでご相談なのですが、心棒を外すリスクはどの程度のものか。また外す場合、心棒を
いれてもらった先生にお願いするのがいちばんリスクがないのか。ちなみにその医院には、
ルートZXのような機械はありません。外さなければ、抜歯のリスクはありません。でも体
に良くない事は確かなのです。不妊症、流産などの心配もしています。化学物質にアレルギ
ーを持っている場合、どのような選択をしたら良いのか、本当に悩んでいます。良きご意見、
アドバイスをお願いいたします。
キャナルスは、全国的にほとんどの歯科医院が使っている根管充填
材です。代替品もほとんどなく、実際にアレルギーがあるとすればそちらの方が厄介な話しで
す。金属ポストの除去は常に想定されるリスクですので必ず問題になりますが、それなりに細
心の注意を払って行ないますので実際に破折す可能性は想像以上に低いと思います。
9年前に根管治療、そして他にも根管治療したような歯があれば、それらにも同様の症状が
あるはずですので、その辺を整理して本当の原因を究明することを優先してください。治療の
可否はリスクの有無よりも、本当に何が原因であるかをもっと追求して必要と判断されれば破
折を覚悟してでも過去の清算を行なわなくてはいけません。大切なことは、そのような体質で
あれば虫歯や歯槽膿漏の進行も著しいはずですので、新たな疾患を作らないように一層のケア
を実践しなくてはいけません。
回答:
根に病巣が見られたためキャナルスということではなく、アレルギーのことは別にしてキャナ
ルスを使った正式な根管充填を当初より行なっていれば根尖病巣はできなかったはずです。
キャナルスだけということではありませんが、現状ではキャナルスとガッタパーチャーポイント
を使った根充填が最も信頼おける術式です。
いずれにしてもキャナルスがアレルギーの原因として疑われるのであれば、一度はずして何も
根管内に入れない状態でしばらく観察して症状が改善されたならば再度根管充填を行なうことに
なりますが、それ以前にアレルギーを起こし難い根管充填材を探しておく必要があります。
回答:
アレルギー検査は行いません。歯科界にはそのような常識が全く存在しないからです。また
根管充填材を開発する際も生体の親和性というものは軽視されているというよりはむしろ全く
眼中にないというのが実情です。
ついでに付け加えさせていただくと、その必要性を訴えて、炎症発生のメカニズムにアレル
ギー反応が大きく関与していると唱えている私は歯科界の異端児です。
回答:
そうですか。ガッタパーチャーは親和性が良いと学生時代から聞いていたので、半ば疑いなが
らも臨床上差ほど問題もなく、また開業医ゆえ調べる術もなく現在に至っておりました。最も、
ガッタパーチャー・キャナルスにに代わる親和性の良い材料は兼ねてより薬品メーカーとは協議
しておりますが、開発段階にすら至っておりません。近々再度開発依頼を強く要望しておきます
が、当面の問題として代替品は思い当たりません。
キャナルスN(昭和薬品:キャナルスとは別製品)は親和性には自信があるみたいですが、ど
こまで信用できるかは不明で、充填時に血液が混じると失敗します。ファイナペック(京セラ)
はアパタイトを原料としているので親和性が良さそうに聞こえますが、何処まで親和性を追及し
ているかは不明です。私は新しい根充剤の開発にかかわるようになってファイナペックの使用を
中止していますが、長年使用していて問題は一切感じませんでした。