日付、時間:2003年9月22日 23:27
氏名: MK
所在都道府県: 西ヨーロッパ
職 業: その他
年 齢: 36歳
性別: female
質問:
はじめまして。おいそがしいところを恐縮ですが質問に答えていただければうれしく存じ
ます。私は現在アイルランドに在住しております。
4ヶ月ほど前、右上、第2大臼歯の内側が、スーパーボール大に腫れあがり、抗生物質を服用
しましたが3種類の抗生物質(歯科で処方されたもの)を服用したにもかかわらず腫れ、痛み
はひかず、結局抜歯しました。抜歯の際、右側上の犬歯も時間の問題だといわれましたが、そ
のまま治療を終えました。
この犬歯は差し歯なのですが、歯茎がやせ、歯の根元が4ミリくらい見えている状態です。
その後、その見えている歯の根元と第一小臼歯の間から膿が出るようになりました。第一小臼
歯の歯茎にちょっとしたおできのようなものができ、そこからも膿が出るようになりました。
夏に2週間ほど、日本に帰国した際、歯医者に行ったのですがお盆休みも重なったこともあっ
て、膿を取り除いてもらうことだけに終わりました。膿はそのご1、2週間でずにいたのです
が、最近、再び、同じところから(歯の間と、歯茎おできから)膿がでるようになりました。
現在は、アイルランドに戻ってきているのですが、歯医者さんはとても信頼できるようなもの
ではなく不安で一杯です。膿はほかっておいたら自然にひくものなのでしょうか?
歯医者にいって、膿だけでも取ってもらおうとおもうのですが、何かほかにしてもらったほ
うがよいのでしょうか?
4ヶ月まえに奥の歯を抜歯したときも、日本で膿を採ってもらったときも、この犬歯は「時間
の問題だな・・」というようなことを言われたのですが、歯の根もとの方が見えていながらも、
歯がぐらついたりしているようなことはないので、できるだけ抜歯するのを延期できたら・・
と思っています。なにか良いアドバイスがあればおしえていただけないでしょうか。どうぞよ
ろしくお願いいたします。
感想:
このウェッブサイトを見つけてからは、毎日のように拝見させて頂いております。先生の質問
に対する丁寧なアドヴァイスに感動するとともに、私も是非相談にのって頂きたいと思い、この
フォームを送らせていただくことにいたしました。治療、学術活動にさぞお忙しいと存じますが、
どうぞよろしくお願いいたします。
抗生物質が効かないから抜いたとか、とりあえず膿を出しただけとか、揃いも揃って対処療法
ばっかりで根本的な処置もしないで抜歯ですか。おそらくどちらの歯も根管治療の不備による
根尖病巣だと思います。最低限根管治療をしてみたけどダメだったというなら分かりますが、
根本的な医療を何もしないであきらめるなんて医者の資格を疑ってしまいます。
アイルランドの歯科医療レベルがどの程度のものか知りませんが、少なくとも何処か信頼でき
る所で根管治療を試みるべきだと思います。放っておいても体力の回復により腫れは引きますが
ちょっと我慢するが無理な場合も想定されます。自分で針か何かで膿を出すのも一つの手ですが、
それまでは一時凌ぎで抗生物質や切開・排膿でごまかしながらできるだけ早い時期に根管治療を
行なってくれる歯科医を探すべきでしょう。
感想:
いつもページを拝見して、日本にいたら迷わず、河田先生に治療して頂くのに・・・という
気持ちでいっぱいです。お忙しい中をいつも丁寧に回答されている先生の姿勢に大変感銘を受
けています。どうぞよろしくお願いいたします。
回答:
アイルランドの治療方法・治療レベルが不明ですので、どの程度の確率で治癒するかを予測
することができません。しかし根管治療に着手されたことは大きな進歩だと思います。治療後
4日目程度だと治療時の刺激による一時的な腫れや痛みはやむを得ないものでしょう。その痛
みが現象傾向にあるということですので、根管内の清掃がある程度的確に行なわれたものと推
測されます。その腫れや痛みが消失した時点で根管充填という段取りになると思います。症状
の消失は根管清掃の完成度に比例ますので、理想的には症状が完全に消失してからということ
になりますが、或る程度の症状が残った状態であっても根管充填を行って経過観察しておけば
そのまま治癒も望めます。その予後は根管治療や根管充填の完成度に比例しますので結果を予
測することはできません。とにかくこの方向で治療を進めるべきです。
一方、オーラル・サージェリー(歯根端切除術)となった場合の予後
は非常に悲観的ですので絶対行なうべきではありません。