結果まで異なるのが医療の世界です。
エムドゲイン

日付、時間:2003年9月30日 17:25   氏名: k    
所在都道府県: 山口    職 業:  主婦  年 齢: 31歳      性別: female 

エムドゲイン 質問:
 歯周病、根管治療、矯正の質問です。
25歳の頃から、歯周病治療に通ってましたがいっこうに治らず、31歳になってあわてて歯周 病専門の先生に診てもらうことにしました。原因は、上の前歯が、下の前歯を隠してしまう かみあわせで犬歯より前が奥より高く、なおかつ、前歯が垂直にはえてるからと言う事でし た。歯周病を治せば矯正できるというので、エムドゲイン、骨移植を使った外科治療を行う ことにしました。歯周ポケットが4mm以上の歯に関して全部したほうがよいだろうと言わ れ(全体的に歯肉が下がってます)、18本もする予定になりました。
 レントゲン写真があればよいのですが、素人目からもかなり悪くなっており、左下1,2、 の間の歯肉はほとんどスキッパの状態で、上1の間と左上1,2の間もかなり下がってます。 半分ほど手術を終えたのですが、残りもエムドゲインでやってもらってよいのでしょうか。 水平に下がった歯肉はあまり再生できないかもしれないが、普通の外科手術よりもいいです よとおっしゃるのです。私も少しでも歯肉や骨が再生すればと承諾したんですが、先生のホ ームページを拝見させていただいて疑問に思うようになりました。

 それと、右下6番が、神経を取ったとき薬がうまく入ってなく,そのせいで膿があるといわ れ今根管治療に入りました。長くなれば6ヶ月、1年かかるといわれたのですが、先生によっ て違いがあるのでしょうか。それだけでなくその歯の6と7の間の6側が歯周病で7mmさがっ ており、そこは手術で再生するだろうと言われてるのですが、4本の神経の間に歯石だったか 膿だったか忘れましたが,それを取るのも(エムドゲイン手術時に)大変で抜歯の可能性もあ るとのことでした。長くなりましたが、毎日歯のことで悩んでます。わかりずらい説明だとは 思いますがアドバイスをいただけたら幸いです。

 9月10日先ほど質問した件で補足です。根管治療の右下6の歯なんですが、冠をとったら芯 棒が入っていて、その下に小さな病巣があるそうです。でもその棒が抜けないので、抜いたら 歯が割れてしまうので、まだ再発するかわからないしとりあえずそのままにしようと言われて ます。棒が入ってないほうは、病巣があるそうでそちらをとるそうです。その棒はその病巣は そのままにしておいて良いのでしょうか。

回答  どうもエムドゲイン最近の流行の ようです。歯周病学会の方でもどちらかといえばご推薦のようです。治療されている先生方 もおそらくその効果を信じていらっしゃるから勧められていると思います。私も何年か前に 半信半疑で使ってはみましたが、効果は皆無と言っても過言でがありませんでした。理論的 にも骨造成は見込めないと思っております。
 それともう一つの危惧は、この手の品は歯医者にとって保険外の高額医療にするための アイテムに過ぎないという現実です。本当に効果があって患者さんのためになるのであれば 即刻保険導入すべきですが、保険導入を望まない歯科医がほとんどのようです。フラップ オペというベーシックな術式は保険導入されていますが、現実問題経済的評価が低すぎて 見合わないことも微妙に影響しているものと思われます。残る部位についてはエムドゲイン の使用は止められても構わないとは思いますが、何らかの形で徹底した歯石除去だけは積極 的に行なう必要があります。

 とまぁ考え方が同じ歯医者でも随分違うのと同様、治療方針・技術など全く千差万別と考え るべきです。保険制度のせいか日本人はどうも医療が均一のように考えがちですが、調理する 人によって味が異なるのと同様、場合によってはそれ以上に結果まで異なるのが医療の世界で す。
 芯棒を取るか取らないかも判断は異なります。私も年に2〜3ケースは取らないことがありま す。しかし、一般的な判断基準とは倍ほど違いがあるだろうと認識しています。おそらく純粋 に治療すべきと判断されたのだろうとおもいますので、例えそこに障害を発見したとしても “治療すべき”状況は変わらないはずなんですが。

エムドゲイン


診断:
 すでに手術された部位については、それぞれ歯槽骨欠損1/3〜1/2程度で一般的には歯周外科 手術の適応とされている範疇かも知れません。私だったら、エムドゲインは無論のこと手術す ら遠い先の話しと診断しますが、もうすでに手術されたあとですのでその部位については手を 加えることなくメインテナンスに移行したいと思います。その他の部位の中では左上2番の近 心が歯槽骨欠損1/2近くまで進行していますが、そこ以外は歯石除去とメインテナンスで十分 現状維持が可能です。
 根管治療を行なっている右下6番の遠心根は、ポスト除去のリスク云々よりも根尖病巣もな く根管充もしっかりしているので治療の必要がないように思います。同歯の近心根には根尖 病巣があって根管治療が必要ですが、根の弯曲と閉鎖がありそうなので治療は難航するかも 知れません。歯槽膿漏の進行傾向は結構強そうですが、幸いにも若くので取り返しのつかない 程大きな骨欠損がないので、今からメインテナンスを継続すれば十分現状を維持できる部分 が多いと思います。