ピザの中のハムに骨(スイス)《河田歯科医院》

さし歯にして13 年も経過すると、歯根破折のリスクは相当高まっています。

ピザの中のハムに骨(スイス)

日付、時間：2003年10月14日 18:21　　氏名：　AS 　　
所在都道府県：西ヨーロッパ　　　職　業：　その他　年　齢： 33歳　　　　性別： female　

ピザの中のハムに骨 質問：
　ここスイスでは銀歯、根っこの治療、歯垢を取る時は痛い等違った治療の仕方らしいのでいつも東京の歯医者を利用していますが、その誤差についていつも疑問がありました。事故に遭い、スイスの歯医者にもかかる事になってしまいました。
9月26日ピザの中のハムに骨が入っており、それを差し歯上１番（３年程前に１０年持ったプラスチックの差し歯を新しくした物）で噛んでしまい「ぴきっ」とプラスチック部分が割れてしまいました。翌日緊急でイラン人の歯医者（以前主人も見てもらった事のある、リラックス法を説明してから治療をするスイスではまれな優しい歯医者）に行き、セメントで取れた所を張り直し、弱いので噛み合わないように下の健康な歯を削ずる。

削られた歯は中に筋（象牙質?）が見え、触れると感じたり、常に違和感がありますがこんなものなんでしょうか？　レントゲンにより根っこ部分が怪しくなっているとの事で、日本から昔の写真を送ってもらい10月7日治療についての説明を受ける。昔の写真では良く分からず、打撲の衝撃でも根の先がおかしくなる事も有るとの事。
治療法A（15万円）根の部分の小手術（歯茎を切って）をして何があるか見てみる、Zyste? の可能性も。その後新しいクラウンでかぶせる。でもその後どの位で再発するかという保証はない。
B（30万円）ブリッチにする。
C（30万円）インプラント。イラン人の歯科医は自分の気持ち上インプラントはやっていないとの事で他の歯科医を紹介するとの事
自分で理解して納得のいく方法で治療するべきとイラン人の歯科医は言う。今週いっぱい歯医者は秋休みの為休業で、先週より色々とHPで勉強しています。
私としては体の中に金属を入れるインプラントはとても考えられず、ブリッジは健康な歯まで削る必要があるのでそれも避けたい。先生のページからでは根の治療さえしっかり出来ればかぶせ物の差し歯でも可能性がもてると考えられますが如何な物でしょう？
事故保険の結果を待ってでの治療になり、保険会社のいう治療法だと保険が利くのですが、前歯を使わないように片方の奥歯で噛んでいるせいでしょうか?
先週、上7番の銀歯（何年前に治療したかは不明）のかぶせている所がズキンと痛みそれ以来違和感があります。二次カリエスでしょうか？
事故のあった差し歯の歯茎も以前より腫れて来て、少し何か感じます。他の歯医者で少しでも早く治療を進めて貰った方が良いでしょうか？
お忙しい所申し訳御座いませんが①～④についてご意見をお聞かせ願います。

感想:
　今までクリアでなかった部分が大分クリアになりました。子供の頃に通っていた歯医者は待ち時間が1時間で治療が5分、1つの歯を治すのに相当な日数がかかりました。歯医者を変えてから、治療内容の説明を受けるようになり、納得のいける治療をして頂きましたが、それでも治療する本人は受身で、知らない事ばかりでした。もっと自分から自分の歯を管理するべきだとつくづく感じました。HP有り難う御座います。

　Zysteは歯根のう胞ですが、根管治療不備に起因する根尖病巣と同義語と考えて下さい。 13年ほど前に抜髄した様子ですので、根尖病巣があったとしても不思議ではありません。しかし、今回の違和感は事故による歯根破折の可能性が高いと思います。さし歯にして13 年も経過すると、相当脆くなっていますので歯根破折のリスクは相当高まっています。
　手術をしてもしヒビが見つかったとすれば抜歯になります。何も見つからなければ根管治療の不備を疑って、さし歯をはずして根管治療をしなくてはいけません。さし歯をはずすことは相当な労力な上に（日本では）あまりの低コスト（500円）のために敬遠されますが、最善を尽くすなら一旦除去すべきでしょう。その上でヒビが見つかれば抜歯、そうでなければ根管治療を試みるべき症例だと思います。早く治療に踏み切るに越したことはありませんが、余程腫れて痛まない限り他の医院に行くことは問題の解決を遅らせるだけで得策とは思えません。

　いざ抜歯になった場合の対処としては、インプラントがお勧めです。インプラントにもそれなりのリスクやデメリットもありますが、ブリッジにした時のリスクやデメリットとは比較になりません。スイスの根管治療の水準がどの程度か分かりませんが、例え日本の数倍信頼の置ける水準だとしても両隣在歯を将来同じ運命に落とし入れる可能性が高いからです。

　７番のズキンは二次カリエスによる歯髄炎か、すでに神経をとった歯であれば根尖病巣が原因と思われます。いずれにしても被せをはずして根管治療が必要そうな状況ですが、前歯の治療が一段落するまでは薬でごまかしておかないといけないでしょう。

返信:2003年10月15日 19:49
　早速のご返答有り難う御座います。
もし、ヒビが入っていたら抜歯との事で少しばかりショックでしたが、歯医者の休み明けの来週に電話して治療を進めてもらおうと考えています。保険会社の手続きを待っていたら速くても３週間後になってしまうので。。さし歯は１３年前にしたのですが、色が変わってきたり、ヒビが入ってきたので、３年前に作り直しました。作り直す際には、根官治療は基本的にはしないのでしょうか？
３年前に作り直した後に差し歯上の歯茎に小さい水泡が数個見られたのですが、痛くも無く、つぶそうとしてもつぶれなかったので、ほっといたのを記憶しています。知らない間にその水泡は無くなりましたが、先週より、歯茎から血が出たりしているので、これは歯ブラシの当て方に問題があるのでしょうか？
ひょっとしたら、そのせいで歯茎が少し赤くはれているのでしょうか？
昨日よりも差し歯の違和感が無くなったのでそう思いました。しかしながら、下の歯の削られた歯は、しみたり、違和感をまだ感じます。

　先週にズキっと痛みのあった、レンジでかぶせている奥歯は６番でした。これは今のところ歯磨き時に血が出たり、手で触ると違和感があるのですが、１２月に日本に行くのでその際に開けて治してもらうという方法も考えています。日本では保険が無いのですが、それでもスイスよりも安いと思います、が２週間ぐらいでは期間が短すぎるでしょうか？
　日本人の友人がスイスで歯科医に行った際、レンジでかぶせている歯の根管治療不足を３本指摘され、１本あたりの治療が２０万円する為にそのレントゲンを持って、日本の歯科医に問い合わせた所、別に異常ないとの事でした。スイスで歯科医を変えた所、他はまだ平気だが１本は根の掃除し直す必要があると言われた。余りにも治療代が高いので、歯の特別な保険に入ってから１年後の治療となりました。治療後翌日に顔の頬の部分が赤く湿疹が見られ、まぶたも腫れるようになったので、歯の治療せいではないかと連絡した所、強い抗生物質を数日のみ完治しました。治療の仕方はレンジのかぶせものがまだ使えるとの事で、銀歯の真中から穴をあけての掃除で、そのまま銀歯の真中に他の物でふさいでありました。スイスでの治療の方がいいのでしょうか？？？

　お忙しい所、大変申し訳有りませんが、何かご意見をいただければと存じます。夫婦共々、これをきっかけに歯の勉強をしております。信じがたい日本の現状も有りますが、今後の先生のご活躍を期待しております。

回答:
　根管治療が20万円はちょっと高すぎますね。アメリカあたりでも10万円です。それが日本だと数千円。３割負担だと2000円ほどです。これで治療の質が同じだったら文句なしに日本が最も優れていると言えますが、これだけ安く抑えられたら、少々質が悪いのは当たり前というのが大方の歯科医の言い分です。治療すれば儲けになる歯医者からみれば３本、儲けにならない歯医者からみれば未だ大丈夫ということだと思います。どちらの歯医者が良いのかはちょっと腹立たしいのでパスします。いずれにしてもそんな怪しげな根管治療など受けなくても済むようにケアに目覚めるべきだというのが私の意見です。
　さし歯を作り替えるときに根管治療を行なうかどうかはケースバイケースですので何ともいえません。しかし現実問題として日本では、めんどくさいのでパスするのが多いように思います。

　健康な所だと少々乱暴に磨いても何も起こりません。歯ブラシの使い方云々よりも、そこに炎症があるから歯磨きで痛みが出るだけだと思います。