骨の位置から健康な歯肉の厚み約1〜2mmの位置に落ち着くでしょう。
切れてしまった歯肉

日付、時間:2003年10月14日 23:38   氏名:     
所在都道府県: 奈良    職 業:  その他  年 齢: 46歳      性別: female 

切れてしまった歯肉 質問:
 今、歯医者さんで、歯の治療中です。
歯周病治療のため、歯を数ブロックに分けて、虫歯と歯茎の下の歯石の除去をしてもらって います。4日前、下の前歯数本を麻酔をかけて、縁下歯石の除去をしてもらいました(虫歯は なかったので、歯石取りだけでした)。超音波スケラーで、削ってくださいました。先生は 治療の後、「縁下歯石はありませんでした」って言われ、私も、とても喜んで帰りました。
 ところが、その夜、歯を磨こうと、治療してもらった歯茎を見ると、なんと、前歯の裏の歯 と歯の隙間の歯肉が、大変な事になっていたんです。中切歯の間と、1と2の間(左右とも)が、 自分の歯肉の下を、逆vの字にきれいに切られていたのです(自分の歯肉の下2ミリほどを切っ てしまっていました)。ショックでした。 医院に電話しようにも、時間外で、まして、その 後は土、日、月と連休という状況でした。けれど、逆vの字の根元のところはまだ、自分の歯肉 と繫がっているし、このままにしておいても、そのまま、繫がるかもしれないと、 かすかの希望を持ち、診察日まで待とうと思いました。けれど、その次の日(土曜)の夜、食 事の途中から急に冷たい物がしみだし、その上、食べ物がきられた部分に溜まってるようで、 不快感がつのり、鏡で見てみました。またまた、ショックでした。vに切られてしまった部分が きれいに取れてしまい、無くなった歯肉の所に、食べ物のかすが、2箇所、ついていたのでした。 これ以後、水がとてもしみて、歯磨きの時のうがいも、かなりの苦痛となりました。食べかす も付き易く、とても、不便になりました。

 ところで、先生に質問なのですが、歯の裏側の歯肉が切られてしまい、結果的に歯と歯の間 の歯肉が裏の部分だけ、下がってしまった歯肉は、これから、回復するのでしょうか??
はっきり申し上げて、歯肉が盛り上がってきて、元の状態に回復する可能性はあるでしょうか ?????
治療してもらった歯医者さんに行って、この状態を説明すると、歯医者さんのほうで、何か改 善できる治療方法ってあるでしょうか??
すでに切れてしまった歯肉はなくなってしまい、結果的には、・・・切れた状態の写真も撮っ ていないという状況で、このことを、治療してくれた先生に説明しても、・・・信じてもらえ ると思えません。何せ、素人の私でも、歯の歯周治療で、こんな事がおきるなんて、考える事 もできなかったんですから。。。。
このことを、歯医者さんに言った方が言いのでしょうか??
と申し上げるのも、まだ、下の奥歯の歯茎の下の歯石をとってもらう治療を、次回、予約して います。けれど、こんな事があると、正直、歯の治療が怖くてなりません。他の歯医者さんに 変えてもいいのでしょうが、このあたりで、歯周治療の上手で、熱心な歯医者さんって、今、 通っている所しかないのです。ちなみに、今回、歯石を取ってくださったのは、その医院の院 長先生ではなく、院内の別の先生でした。今までは、丁寧に治療してくださっていただけに、 残念なのですが、・・・・やはり、その先生の顔を見るのも、怖いのです。けれど、このまま、 ほおっておいて、一般の歯医者さんに歯石とって貰うのも不安です。その医院の衛生士さんの 歯石取りの技術は高いと思うので、自分の歯のためには、このまま、定期的に通いたのですが ・・・・・・・

 切れて、下がってしまった歯肉を元に戻す方法があるのかどうかについてと、このことを、 治療してくれた歯医者さんに報告して、改善できるなら改善するような治療をしてもらった ほうがいいのかどうか、について、どうか教えてください。そして、自然に、歯肉が盛り上が ってきて、以前のように歯の間が歯肉でふさがれる事って、期待できるでしょうか?? 今後、歯肉の回復のために、私にできることがあれば、教えてください。

長くなってしまいましたが、どうか、先生のアドバイスをよろしくお願いします。この文章は、 けっして、歯医者さんを中傷しようと思って、書いたのではなく、傷ついてしまった歯肉を 回復できる方法があるのかどうかを、教えてもらいたくて、メールしました。 藁にもすが る思いで、質問しています。
お忙しいでしょうが、どうか、よろしくお願い申し上げます。

感想:
 先生のご活躍を、応援しています。

回答  多分似たような例は私の医院でも往々にしてあると思います。歯石除去という言葉からは “お掃除”程度のイメージしか伝わってきませんが、麻酔をして異物を除去する…生体内に 突き刺さった爆弾のカケラを除去する際に便宜上メスを使って取ったかピンセットだけでほ じくりまわしてとったかの違いがあったとしても外科的処置であることに変わりはありませ ん。その際、健康な組織(歯肉)であれば剥がれ落ちることもなく治癒しますが、すでに 炎症を起こしてジクジクになった組織であれば剥がれ落ちてしまいます。

 回復の目安ですが、現在存在する骨の位置から健康な歯肉の厚み約1〜2mmの位置に落ち 着くでしょう。これは剥がれ落ちた不健康な歯肉があるなしに関わらず、また歯肉がもう少 し健康で剥がれ落ちなかったとしても同じ位置に落ち着きます。
 歯石除去後の痛みも、術前の不健康さに応じて異なります。歯石除去を単なるお掃除と考 えないで、外科的処置の一種だと考えていただければある程度の許容範囲が広がると思いま す。その範疇で納得できるかどうかがひとつの垣根だと思います。私の医院でも原則として、 麻酔を行なっても歯石除去は2週間毎というようにしています。その理由は、術後3日〜 1週間は歯磨きや食事にも若干の支障を来たすことが多いからです。それが治るか治らない うちに次のエリアを行なうことにためらいがあります。

 術後とても痛かったことは伝えるべきです。それなりの配慮があるはずです。だからと 言ってそれ以降の歯石除去を拒むものであっては自らの健康を放棄する結果になってしまい ます。処置を行う側も、今回のように恨まれることがあっても、それが患者さんのためだ と思うからこそ行なっています。恨まれることを嫌って抜歯になるまで何もしない歯科医 とどちらが良心的かを考えて行動してください。


返信:2003年10月16日 2:32
 お忙しい中、私の質問について考えてくださり、本当にありがとうございました。こう いう質問に、どう答えるか、先生が一生懸命考えてくださった様子が目に浮かびます。 メールで、親切に答えてくださり、心から感謝しております。
実際にどうなっていたかを先生に見てほしかった・・・。今、心からそう思います。私の 説明が足りなくって、・・・言葉で説明するのがどれだけ難しいかを痛感しています。 私の文章から、先生が考えられた私の歯肉の現状と、実際の私の現状とは、かなりの 開きがあります。

 縁下歯石を除去するまでの私の前歯の歯茎は、全く健康で、ポケットの深さも2程度だ ったのです。勿論、腫れてもいませんし、赤くもなく、じゅくじゅくもしていないし、炎 症のかけらもありませんでした。歯茎は健康で、引き締まっていました。治療後も、痛み が全くなかったので、気づくのが遅れてしまったのでした。実際の状況をもう少し補足す ると、・・・前歯(裏)の歯と歯肉の境目のラインって、まるで「VV」の字のようにな っています。  実際は「VV」の下はもう少し丸みがありますが・・・・この字の上が前歯の出ている 部分で、下が歯茎です(「VV」の中に前歯が2本、存在しています)。私の場合、その 中央の高くなってるところまで、歯肉が健康に引き締まった状態で存在していました。そ の「歯と歯の間を健康に塞いで存在している歯肉」の「頂点から数ミリ下を新しい頂点と して」歯のラインに沿ってなぞるようにして、(逆Vの字に)線がはいっている。「その 線というのが、メスで切ったライン」なのです。健康な歯茎の頂点から2〜3ミリ下を新し い頂点として、数ミリ下に「逆V」のラインがきれいについていたのでした。
このつたない説明で、理解していただけたでしょうか?

 先生のおっしゃるように、歯茎の下を掃除するなら、歯を覆っている歯茎のラインをさ わるはずなのに、そこではなく、、「健康な歯茎の上をまるで、鉛筆で線を引くように」 、、、言い換えれば、「歯肉のラインから全く、はずれた所に」絵を描くように、メスで 曲線を入れている。。。そんな感じでした。治療すべき歯茎の位置と合っているのは、 「VV」の底辺の頂点だけって現状です。私の想像からすると、・・・治療者は、前歯の 裏が見にくかったので、よく見ないで、自分のカンだけで、歯茎をなぞったのではないか ・・・と想像しました。
 そんな状況ですので、、・・・痛くもないし、血も出ない・・・だから、夜になり、歯 の裏を見るまで、気が付かない、という状態でした。「歯の裏、3箇所」連続して、そんな 状態になっており、・・・一番ダメージが大きかったのが、中央の歯の間でした。なにせ、 歯茎の頂点から3ミリ下を頂点として、カーブを描いて、歯茎の上を切ってしまっていたの ですから(切り取られた歯茎の形は、まるでブーメランの形のようです)。気が付いてか らも、歯磨きをしていましたから、その掻きだすような歯ブラシの使い方で余計に早く落 ちてしまったのでしょうが、・・・歯茎の数ミリ下で、ちょん切られてからも、私の歯茎、 1日半は、しっかり、そのまま、付いていたのです。

 こんな事、長々と先生に説明しても、先生の大切なお時間を取ってしまうだけなのです が・・・・先生に、正確に伝えられないまま、現状を分かってもらえないまま、そして誤 解されたまま・・・ほおっておくというのは、どうしてもできないので、・・理解してい ただけたかどうかは、別にしても、私の自己満足の世界で、下手な説明をさせて頂きまし た。どうせ、こうなるのなら、せめて、先生の想像されていたような、重度の歯周病だっ たら、どんなにか、気が楽だっただろうと思うのです。失う物があっても、それ以上に得 る物もあったはずなのですから。。。。。

<<私の質問に、丁寧に1つづつ答えてくださり、本当に、先生の温かいお人柄に感謝して います。>>
 今の私の例の歯肉は、もうすでに、新しい位置で、・・・まるで、今までからその位置に あったかのような顔をして、納まっています。例の3箇所だけ、今までなかった歯の隙間が しっかりできてしまっていますが・・・。どうも、切って低くなってしまった裏の歯茎の 位置に、高いままだった前面の歯茎も「右にならえ」をしたようです。(ショックは大き いですが)済んでしまった事は、誰を責めても元に戻らないし、この現状を受け入れると いうか、慣れていくしかないと思っています。(本人も気が付いていないでしょうが、) 治療してくれた先生も、わざとやった事じゃないし、人間なら、失敗する事もあります。 けれど、こういうおざなりな真剣みのない先生に、同じ治療をしてもらって、もし、今回 と同じ失敗をされる事があれば、・・・先生を恨む前に、自分を許せないと思います( 失敗から学ばない自分に対して、です)。
 それと、先生の側から見ると、今回のような時、「先生を恨む」という表現がありまし たが、私の個人的感情からすると、恨むというより、ショックで胸が痛い、そして、絶望 感、喪失感・・・そして、そこから抜け出すために、何とか治す方法を見つけたいという 強い思いでした。自分の体を、麻酔して、痛みも何も感じない状態で、先生に任すという のは、・・・先生達が感じる以上に、患者側からすると、「勇気と、専門家に対する信頼 感」がないと、とても、できない事なのです。そして、それが今回のような、想像もでき ない失敗をされると、絶望感とショックで打ちのめされます。

<<先生のホームページ、この半年間、いつも、楽しみにして見ていました。>>
 歯について、分かりやすく説明されていて、歯石の除去がどんなに大切かを、身にし みて、感じるようになっています。まだ、未成年の子供達にも、なるべく毎月、歯石取り に行くように薦めています。勿論、友人達に対しても、薦めています。今回、こんな事が あっても、歯石取りだけは、継続して続けたいと思っています。自分の歯で、一生、食べ たいですもの(^^)
 今夜は、神戸まで、さだまさしの「いつも君の味方」コンサートに行ってきました。 「誰か一人でも、自分の味方でいてくれると思うと、ほんのちょっとの勇気でも出る。 それを、何回も続けると、継続して、頑張れる」というお話がありました。先生の味方 はいっぱいいらっしゃると思いますが、どうか、これからも、迷える患者達の為に、元 気で、頑張ってください。私も、コンサートで、泣いたり、笑ったり・・・いっぱい元 気と、優しさと、勇気を貰ってきました。
 こうして、親切な先生に、同じ時代に出会えた事を感謝しています。本当に、親切なア ドバイスと、そして、こんな言いにくい質問に対して、ホームページ公開以外の方法を使 っても回答をよせてやろうと思ってくださった温かさに感謝しています。ありがとうござ いました。  では、おやすみなさい>>>>