歯石除去を定期的に行なってくれる歯科医は非常に稀な存在です。
歯槽膿漏とブリッジ

日付、時間:2003年11月4日 6:29   氏名:  Y.K.  
所在都道府県: 東京    職 業:  医療関連  年 齢: 52歳      性別: female 

歯槽膿漏とブリッジ 質問:
 はじめまして。歯科治療しているにもかかわらず悪化し不安になりましたのでご相談申し 上げます。
図でいえば左上歯で3年前に6を歯槽膿漏で抜歯、5と7でブリッジしていたのに、3月に5 がゆれ抜歯。左4.7でブリッジしていたのに、今回7を駄目になっている半分を残して半 分抜歯しましょうといわれました。1本の歯を半分?
またすぐ、7の半分もブリッジで負担になり駄目になってしまうのではと不安になってしま ったのです。他にもここ3〜4ヶ月でゆれはじめている歯が右5。左下6.7。治療は5年前か ら休まず行っています。台湾の先生。歯科衛生士(無資格だがしっかりしている)が歯の説 明は彼女がしてくれる。この2人でやってらっしゃいます。友人の奨めで通ってます。
@このまま治療をこの歯科で継続した方が良いか。
A適切な歯科があったら教えていただきたい。
 以上、よろしくお願いいたします。

回答  52歳、歯槽膿漏による抜歯ということですので、残存する歯にも相応の動揺があるものと 思われます。動揺のある歯を連結する場合には通常の補綴設計をはるかに超えた多数歯の 連結が必要です。反対に多数歯を犠牲にしなくてはならないということですので、補綴処置 に踏み切ること自体に過剰なほどに慎重でなくてはいけないと思います。また、仮にブリッジ などの連結を行なった場合、片側脱離を常に覚悟しながら徹底した術後管理を必要とします。
 “脱離”という一見安易と思われる病名ですが、歯槽膿漏がある程度進行した状況では 抜歯要因の第一位にランクされるほど恐ろしい病名です。しかし、この事実は一般には認識 されていないのでこのような不幸な事態が全国で頻繁に繰り返されているものと思われます。

 気持ちが左上にばかり集中しているようですが、問題は今大丈夫と思っているそれ以外の 部位についても今後同じような不幸が訪れることを阻止することがより有効な対策だという ことを認識することです。歯の動揺は歯槽膿漏による歯槽骨破壊の結果です。この破壊され た骨を再生することはできませんが、現状を永遠に?保つことは可能です。骨破壊の原因は、 歯牙周辺の炎症ですが、この炎症を抑制するためには異物である歯石を徹底除去すると同時 に、二度と沈着しないように毎月歯石を取りつづける必要があります。このようなメインテ ナンス行なってくれる歯科医を探して最大限のケアに励むことこそが最善の対応策です。
 ブラッシング至上主義の現状において、歯石除去を定期的に行なってくれる歯科医は非常 に稀な存在ですので何軒か尋ねまわる必要があるかも知れません。申し訳ありませんが、お 勧めの歯科医というのはありません。


返信:
早速のご丁寧なお返事ありがとうございました。
@の質問のこの歯科医でこのまま継続してよいかの質問に対して片側離脱を覚悟して 術後 管理を徹底していただくということが結論でしょうか?
● 一度、河田先生に診察をしていただいても結果は同じでしょうか?
 毎月、ここではメンテナンスで歯石をとっていただいています。ここのところ具合が悪い ので月2回通院しております。ブラッシングは夜はなかなか徹底できません。遂、眠ってしま ったり、食後4時間もたって磨く状態です。具合が悪くなってしまうのは、体質もあるので しょうか。全身状態は病気知らずで入院をしたこともないし、あまり風邪もひきません。5年 で脱離4本で済んでいると受け止めたほうがよいのでしょうか。

● 新たな質問ですが片側脱離した場合は義歯はできれば避けたいのですが、イン プラントとはいかがだなものでしょうか?
今回、あまり他の歯に負担をかけるよりインプラントはと質問しましたら、主治医(今かか っている先生)は上顎は副鼻腔が近いので危険だから薦められないとのことでした(それも そうだなと思いましたが)。

● ファンギソン液で含嗽すると良いと知人にいわれましたが、気休めでしょうか?
追加でまたお聞きしたくなりました。よろしくお願いいたします。

回答:
 歯槽膿漏進行が著しい例では、5年で脱離4本が多いかどうかは判断出来ませんが、抜歯に なってしまう設計と管理体制には疑問を感じます。このまま同じ設計でよいのか。インプラ ントが万能とは思いませんが、植立可能な骨量があるとすれば考慮に値します。
 ブラッシングはそれ程大きなウエイトを占めているとは思いません。それよりも歯石除去。 それを行ってくれる歯医者が少ない中、貴重な存在ですので転院は難しいと思います。また、 ファンギソン液については、カンジダ菌が関与している例について表面的な歯肉炎症の改善 には絶大な効果を発揮しますが、歯槽膿漏の本質である歯槽骨破壊には歯石除去が有効です。
 以上のように歯槽膿漏というものに対する根本的な考え方が全く違いますので、私の治療 方針や結果もかなり違うとは思います。実際に診断すれば、現状把握や対処方法などの相談 としては有効な部分が多いとは思いますが、先々のメインテナンスということになると距離 の問題があって非常に困難なことだと思います。


返信:2003年11月5日 12:39
 敏速なお返事に感服します。私は以前、看護師をしておりましたが、医師の世界のように お互いに情報を交換して一人の患者に対して治療をするとう方法は出来ないのでしょうか?
歯医者さんの世界ではどちらにも大変失礼な話になってしまうのでしょうか?
私の主治医(歯科)の先生は台湾の方なので難しいかもしれませんが。河田先生のお知恵や 可能な部分をしていただいて、東京で後のメンテをするなんて甘い考えすぎるでしょうか?
藁にもすがる私のしつこいご相談で申し訳ございません。 さいさいですがよろしくお願いいたします。

回答:
 現実の問題として東京でメンテは結構な話しだと思いますよ。遠方からいらっしゃった 患者さんには極力その方向で治療を行なっています。歯科の場合も医療の連携はありますよ。 但しこれは、基本理念が同じで技術的にも互いに信頼できる関係で成り立つものだと思います。 私のように、一般の歯科界と全く基本理念の違う人間には、連携できる相手が存在しないと いうことです。私がいくら指示をだしたとしても、その意味や価値の分からない人がそのまま 指示通りしてくれることはないでしょう。とにかく最低限、毎月の歯石除去さえしてくれれば 相応の効果が得られるであろうと思います。


返信:2003年11月6日 6:27
 一日に何回も失礼いたしました。熟慮し、主治医に相談できるようであれば相談してみます。 そちらに伺うとなればよろしくお願いいたします。