的確な根管清掃と根管充填が行なわれさえすれば一日でも治療は終わります。
嚢胞が悪化

日付、時間:2003年11月4日 23:10   氏名:  MO  
所在都道府県: 埼玉    職 業:  主婦  年 齢: 29歳      性別: female 

嚢胞が悪化 質問:
 私は、今年の8月に側切歯(2)の嚢胞が悪化し右側の顔が腫れ上がりました。最初の時点では、 腫れはひどい状態ではなかった為、かかりつけの歯医者に行きましたが、次の日には改善されず に顔全体が腫れ、歯医者も休みだったので大学病院に行きました。大学病院では手術を勧められ ましたが、歯医者の意見では、手術はしなくても大丈夫と言うことで、自分としても手術は余り したくは無かったので歯医者の指示に従っています。
 その後、8月末に歯に薬を詰めるという事になりました。しかし、9月中旬頃に違和感を憶え、 薬を詰めた歯を開き、周りから骨化していた部分を溜まっていた膿と一緒に除去しました。9月 末頃には“最初の状態に戻った”と言われ、ここ1ヶ月は毎日膿を抜き消毒してもらっている状 態です。“年齢的に妊娠など考えると今の治療(根管治療)では完治に1〜2年以上がかかり妊 娠中に再発すると問題だ”との先生のお話で手術した方がイイかもと言う事になり始めています。 1度は“大学病院で手術した方が良かったのでは?”と不安を憶え私なりに調べ、このHPを拝見 し、最初の判断は間違いでは無かったと気づきましたが今の歯医者で完全な病巣の除去、根管治 療が行えるか技術的な部分で不安です。

    経緯が長くなってしまいましたが、お伺いしたいことは
  1. このまま歯医者に診てもらうべきか、根管治療専門でやっていただける様な医師に変えるべ きか(東京に根管治療専門の医師を見つけました)。
  2. 根管治療では、完治までに長い時間がかかると言う事ですが、妊娠などした時に再発した場 合どうすべきでしょうか(抗生剤など今用いられている薬剤が胎児に影響しないか)。
  3. 体質的に抵抗力が弱い状態で、菌も強いので治りも遅いと言われているのですが、その様な 体質や菌の種類によって治り安い治りにくいあるのでしょうか。
  4. 飛行機に乗ると膿包の内圧が上がって痛くなるので根管治療中は良くないと言われたのですが

感想:
 こちらのHPを拝見でき、とても勉強になりました。1つ1つ理解し、解決出来たことで現在 の治療が理解できました。

回答  まずは有効な根管治療が為されていないということのようですので、転院はするべきでしょ う。的確な根管清掃と根管充填(両方を合わせて一般には根管治療と言います)さえ行なわれ れば、一日でも治療は終わりますが、現在の日本(世界でも?)の常識では完治までに長い時 間を要することが多いようです。
 “菌も強い”というのは私からみれば言い訳であり、それは誤った理論に基づく誤った認識 です。でもそれが歯科界の常識ですのでどうしようもない現実かも知れません。もう一度念を おしておきますが、的確な根管清掃と根管充填が行なわれさえすれば一日でも治療は終わりま す。的確な根管清掃を行なわないでむやみに毒薬みたいな薬を長期間作用させているのが今の 歯科治療です!!
 専門家であればあるほど、的確な根管清掃を行なってくれる可能性は高いと思います。


返信:2003年11月11日 22:37
 11/4に質問をさせていただいた主婦です。先生の早い返答に対して、お礼の返事が遅くなっ て申し訳有りませんでした。
その後、主人と掲示板など拝見した上で色々相談した結果1度、姫路で先生に診て頂けたらと 言う結論に至りました。11/7に予約のお電話をし、11/21(金)に予約をさせて頂きました。 それについて、膿が出ていると何回か通院していただくと受付の方にお話をされたのですが、 21日に向けてどのような歯の状態(処置?)、体調で迎えたら良いでしょうか?
現在は、歯にはスポンジ状のをしていますが、ほぼ解放している状態で膿(先生は体液と)が 多少出ていて痛みはほぼ有りません。詰め物をして歯に蓋をしてしまうと膿が溜まり1日位し か痛くて我慢できない状態です。通院というと1週間に何度かそちらにお伺いするようでしょ うか?

感想:
 本当に早い返答を頂きましてありがとうございます。乱文で有ることをお許し下さい。

回答:
 原則は通院一日です。できるだけ睡眠をとって体調を整えておいてください。できれば 来院2日ほど前から、前の病院で頂いていた抗生物質があれば服用しておいてください。

初診時パノラマ 赤印がのう胞
43| 321|根管充填後


診断:
 右上5番から右上1番にまたがった見事なのう胞でした。よくぞココまで大きく成長した とばかり感心してばかりもおれません。原因がどの歯で何処まで関与しているか。それによ って対処すべき方針が異なるからです。幸いその成因過程を物語るのが犬歯です。レントゲ ン的には犬歯の根尖部はのう胞にどっぷり漬かっています。この歯は歯髄の生死に関係なく 根管治療が絶対必要な歯です。もし歯髄が腐っていれば、いくら周囲の歯の治療を行なって も絶対回復しません。治療の結果は±。つまり腐りきってはいないものの歯髄はすでに死ん でいる状態でした。
 更に4 1|は根管治療済みの歯ですが、何れも根管治療不十分。但しそこそこの 根管充填が為されていることから、のう胞成因に直接は関わっていないものと判断されま した。従ってのう胞の直接原因は前医の目算通り2|ということになりますので、 5|の根管治療は一応不要と判断いたしました。

 しかしこれらの4本は同時に根管治療を完成させないと、何れかに不手際があった場合 原因の特定が難しく治療判断を誤ってしまいます。ということで4321|の根管治療 →根管充填を行いました。1本だけでも根管治療時の刺激が数日間残りますので、4本同時 だとちょっと刺激が大き過ぎたかも知れません。
 それにしてものう胞内に挿入されたカルシペックス?の量には脱帽です。これがのう胞 治癒に結びつくと信じられていることに歯科界の暗雲を感じずにはいられません。将来的 にこのカルシペックス?は生体にとって異物と認識されて吸収されるとは思いますが、こ れだけの量が吸収されるには相当長期間かかるかも知れません。また、吸収が追いつかず 再び炎症が起こる可能性もありますが、その時にはのう胞共々外科的に除去するしかない でしょう。とにかく当分の間経過を見るしかないですね。


報告:2003年11月26日 23:34
 11/4,11/12と質問させていただいた主婦です。11/21は治療していただきありがとうござい ます。その後は多少の痛みと腫れはあるものの順調な経過だと思います。主人も感謝していま す。こんな事ならもっと早い時点で伺えていれば...と言う気持ちです。本当にありがとうご ざいます。