日付、時間:2003年11月18日 10:26
氏名: H.S
所在都道府県: 神奈川
職 業: 会社員
年 齢: 22歳
性別: female
質問:
初めてメール致します。私は前歯二本が差し歯ですが、今、悩んでいる事があり、メール
しました。
こちらにも良くある質問の様ですが、歯の根の所に膿が溜ってしまいました。それで差し歯
を被せて貰った審美の歯科に相談した所、歯根端切徐術を薦められました。芯がしっかり入
り過ぎている為、芯を抜く際に根っこが割れるたり折れたりするかも知れないリスクを考え
ると、手術をする方が断然、リスクは少ないし、手術の方が治る治らない(完治)と言う意
味では治る可能性はある、と言っていました。
こちらでの意見とだいぶ違っている様です。手術をするにしても、歯が弱くなるというリス
クはあるとは言ってはいましたが…
芯をはずす際のリスクと、手術のリスクと、どちらが可能性としては高いのでしょうか?
根が破損した場合、抜歯しか無くなるのですよね?
芯がどれだけしっかり付いてしまっているのかとか、芯をはずす際根っこが破損する可能性
等はレントゲンでは判断出来ないのでしょうか?
治療法をどちらにするかの判断は私に任せると言っていたのですが、そこの歯科で手術を
薦めるもう一つの理由として、手術は一回で終るのに対し、根っこの治療は一年、長くて二
年かかる、との事でした。確かそちらでは一日で終ると書いてあったと思うのですが…。
何故、そんなにも差があるのでしょうか?
一年位かかるというのは、薬を入れて消毒をして…というのを繰り返すそうです。
私の場合は手術をするしか無いのでしょうか…?
また、もう一つの手段として、私の場合はそこまで悪化していないし、症状も痛み等はな
く、歯茎にプツっとニキビの様な物が出来ているだけです。そのまま放っておいても悪化し
ない人も多いので、半年に一度、レントゲンを撮る定期検診をして、症状が悪化する様子が
無いようなら治療はとりあえずせず、検診だけは続け、悪化の様子が出て初めて治療を(ど
ちらの治療法を選択するか)考えるという手も有ると言われましたが、その手段については
どう思われますか?
半年に一度の検診で、もし症状が悪化した場合、治療にも響くのでは?
という不安は感じましたが、リスクを負わざるを得ない二つの治療法、しなくて良いものな
らもちろんしたくは無いので、私は今のところ今すぐの治療では無く検診をして様子を見る
という選択に一番ひかれています。ご意見よろしくお願いします。
金属ポストの大きさや太さは、治療方針を決定する上で非常に重要です。但し、決めるべき
方針は、即刻除去して根管治療を行なうかリスクを先送りするかの2通りだけです。全く?
改善の見込みがない歯根端切除術は選択の余地がありません。
症例にもよりますが、破折リスクは数%以内、手術の成功率も数%以内(失敗率が90%以上)
です。
「何故炎症が起こるか」が分かれば「どうすれば炎症が起こらないようにできるか」が
決定されます。医療の根本ともいえる炎症発生のメカニズムに対する解釈が異なれば、治療方
針や治療結果が異なります。この件についてはホームページの随所に触れていますので詳細は
割愛させていただきます。
症状が安定しているようであればリスクを先送りするのも選択の一つです。但し、周囲の歯
に気遣いながら、何時か必ず根本的な治療方法である“的確な根管治療”を行なう時期が来る
ことだけは覚悟しておかねばなりません。“的確な根管治療”さえ行なわれれば少々
病巣が大きくなっても関係なく治癒します。
後、この間のメールでは書き忘れましたが神経の治療、芯を立てる治療自体はそこのA歯科
でやったのでは無く4年前に別の歯科で行ったものです。それもA歯科が芯を取る治療を渋る原
因になりますか?
やはり別の歯科での治療を引き継ぐのは先生方にとってはやりづらいですか?
今通っている歯科で根管治療を受けるべきか…不安です。しかも根管治療に1、2年かかると言
うのは…やはり技術の差でしょうか。そんなに長期、通いたくありません。
あと、もうひとつ心配している事が有るのですが、今の差し歯はA歯科で作って貰ってから
1年ちょっとしか経っていない、オールセラミックの歯で保証期間内です。根管治療を別の歯
科でやるとした場合、差し歯は作り直す事になるんだと思うのですが、差し歯をA歯科で作り
直して貰えるのかどうか…。
すいません、これはこちらで質問する事でも無いんですね。直接聞いてみます。ただ、河田
先生の所だったらそういう場合、どういう対応をなさいますか?参考に聞かせて頂きたいです。
よろしくお願いします。
また、手があいているときにでも…。返信よろしくお願い致します。
回答:
基本的には技術と信念の違いが大きく関与しています。少なくとも、日本中何処の歯医者で
治療しても処置方針や結果が同じだという考え方は改めてください。タダでさえ面倒で採算の
合わない根管治療は敬遠されがちです。ましてや金属ポスト、さらに他医院の後始末。そこに
もってきて、根管治療の技術に自身がなければ敬遠する要素は山積みです。
「手術までして最善を尽くしたけどダメでした」というあとくされを絶つ理由が欲しいのが
おそらく実態でしょう。但し担当医の弁護もしておきますが、歯根端切除で治ると信じている
からの提案のはずです。歯根端切除の成功率が数%に満たないという実態をほとんどの歯医者
が知りません。情報は、患者のみならず、我々歯科医にもクローズドされています。
責任問題から言えば、保障期間内でもあることですので1年前に治療した歯科医に相談すべき
です。私の医院ですと根管治療をして治癒した場合、上部構造は保険内の補綴物で回復していま
す。これはおそらくとんでもなくお人よしの対処だと自覚していますが、内面では保険外で他の
歯医者が儲けた後始末ですので腹立たしい感情があるのも事実です。
回答:
ホームページに寄せられる質問を見ている限り根管治療に1年くらいかかるのは普通の事
のようにも思えてきます。最も、的確な治療であれば、せいぜい2〜3回ですので、数ヵ月
もかかるようだとそれ以上繰り返してもムダだと思います。
仮歯を入れるかどうかは、その歯や周辺の状況によって異なるでしょうし、それ以上に
担当する歯科医の良心によるところが大きいでしょう。保険診療の場合、その手の仮歯は
保険適応外ですので、タダでも仮歯を作るか、保険外扱いでだと作るかは医院毎に異なり
ます。