日付、時間:2003年11月19日 0:20
氏名: すぎやま
所在都道府県: 東京
職 業: その他
年 齢: 34歳
性別: female
質問:
ドイツより先生のHP拝見させていただきました。感動しました。
実はドイツに住んでいるのですがこちらで1年前に根端切除手術をされました。歯茎より膿
みが出ていたためです。こちらでもどんどん切るのが主流でそれでもダメだと抜歯です。或
いは最初から”抜歯”ところも多々あります。
そして先日歯医者に行ったところ3箇所さらに根端切除と言われました。しかし1年前に
口腔外科でやってもらった場所の隣りの歯茎が膨らんでいて膿んでるようなのです。その場
所は前に口腔外科が”危険だからさわりたくない”とか言ってました。おまけにあまりにも
治療するところが多く公的健康保険会社から”抜歯は払うけどあとは自己負担”と言われて
しまい。。日本でもほとんどが同じような治療方法だとHP拝見して知りました。
年末よりしばらく帰国するのですが、姫路まで行きますので先生、たくさんあるので1日掛
かりになってしまうかもしれないのですが、治療して頂けないでしょうか?
来年1月はすでに予約は一杯でしょうか?1月10日頃はどうでしょうか?
返信よろしくお願いします。或いは直接電話したほうがいいのでしょうか?
感想:
先生のHPを拝見できてよかったです。昨日まではあと3箇所どんどん根端切除だけされれ
ばよいと思ってたのです。
”危険だからさわりたくない”というのは気がかりですが、何とかしないといけないで
しょうね。おそらく金属ポストをはずして根管治療ということになると思います。1本だけ
だと一日で根管充填を行って仮歯を着けるところまで可能かもしれませんが、3本もあると
なると一日では無理です。また仮歯まで治療したとして、その後の治療をどうするかという
こともありますので、一度電話してください。пF0792-88-4682
1月10日頃は今の所、空いています。
ドイツの公的保険は、ケアに重点をおいた素晴らしい保険だと聞いています。要はこの
ような事態にならないように防御している反面、こうなってしまったものについては結構
冷たいようですね。日本も見習うべき制度だと思っています。
回答:
“マイクロスコープを使った切除手術”ということですので、日本のいいかげんな
手術と違って理論的には合法で、ある程度期待のもてる処置のようですね。血まみれの
手術野から行なう逆根充には信頼おける封鎖材がなく血液の混入は治療の限界を招きます。
一方、ポストをはずして行なう正根充は、歯根破折リスクを伴い、逆根充ほどではないに
しても治療の限界が存在します。問題は金属ポストの長さや太さですね。その辺の状況を
電話でお聞きしたいと思います。今日は祝日ですが、診療室にいますので、宜しければ
電話は今日でも構いませんよ。
それでこの歯医者も絶賛してた1年半前に行った口腔外科で全部手術をやろうかと思って
たのです。こちらの場合主人が大学勤務なので大学側は大学勤務者の配偶者は無条件で60%
負担してくれるからです。只この口腔外科も”成功率は60%だからね”と言ってま
した。でも歯をなるべく残したいです。
只前回切除した隣りの歯が膿んでいるようで触ると痛いですし、膿みのバックが出来ている
のが歯茎上部を見てわかります。そして先生のHPを拝見してまだ他にも治療方法があるん
だなと思った次第です。
治療計画を保険会社に歯医者側が出したら他の2つの歯医者に検査(つまりこの歯医
者の治療方法が的確かどうか調べるため)に行かされ2つ目の医者が”全部5本とも抜歯”
と書いたため公的健康保険会社が抜歯以外治療費を出さないということになりました。この
手続きのおかげで今年の2月にこの歯医者に行ってるのに結果が知らされたのはなんと7月
でした。
今のところ手元にレントゲン写真等がないので自分でもどこの歯なのかはっきりわかりま
せん。あと金属ポストの長さや太さもわかりません。只、全て15年前に日本で治療したと
ころがおかしくなってます(まだドイツに来てから2年しか経ってません)。
この口腔外科に一度検査に行こうと思ってます(明日予約とりにいきます)のでレントゲン
写真とれたらメールで送ります。それからでも遅くないといいのですが。。
そのほかの歯についての所見は:
上顎: 左2番3番:根端切除 左6番:抜歯
下顎: 左6番抜歯 右5番6番根端切除
レントゲン写真で先生の所見はどうでしょうか?
ドイツの根端切除手術はどうでしょうか?
上顎右2番5番が良好状態です。
先生、日本へは12月28日から1月12日まで滞在します。年末年始のお休みも関係もあり
ますがもしよろしければ2回ほど先生に根管治療して頂きたいのです。抜歯と診断された2本
か右上4番。1月5日(月)からいつでも予約が空いてる時で構いません。JRレイルパスを
使うので何回でも新幹線(7日以内或いは14日間)利用可能ですの姫路まで行きます。もし
その週がすでに予約で一杯であるなら1週間日本滞在を伸ばしても構わないです。東京で根管
治療を徹底的にやってくれる先生を探す時間はないので是非先生にお願いしたいです。歯を残
したいです。
写真の原本は来週抜糸の時にもらえる予定ですが今日はチューブを抜きに(切開した歯茎の
場所に直径0.5mmほどのプラスティックチューブを昨日はさんで膿みが排出できるように)
行って、早く写真が欲しかったのとレントゲン写真用のパネルから直接撮った方がいいと思い、
デジカメで撮ってきました。何卒よろしくお願いします。
追加:
今日初めて主人から聞いたのですが上顎右4番すでに再度逆根充填済みです。主人も治療室に
一緒にいたのですが、先生と主人の間でやっていいかどうかドイツ語で会話してて(私は治療椅
子にいてすでに歯茎は開いた状態での話です)主人が”やってください”と頼んだそうです。
私は気づかなかったのです。主人は私が知っているものだと思ってたとか。
回答:
まぁ見事なものです。抜歯はされていないものの、まともに神経の残った歯は7〜8本。
その中にも右下7番のように抜髄しなくてはならないような歯もあります。治療が一番簡単
そうなのは左上3番。次いで右下5番・6番、それに左上6番の順です。左上2番もブリッ
ジをはずせば何とか治療できるでしょう。左下6番は金属ポスト除去時の破折リスクもさる
ことながら、病巣の形態からすでに根分岐部部分が破折しているかも知れません。これでも
根管治療+セパレーションしてやれば保存の可能性はあります。
問題はすでに手術した右上の3本です。特に4番と2番は金属ポストの除去にかなりの
手間とリスクがともないそうです。マイクロスコープを使った切除手術ということですが、
たちまち再手術というようでは50%も疑わしい状況です。おそらく技術的には相当優れて
いるようには感じますが、所詮誤った術式だなぁという感想です。逆根充に使っているの
はアマルガムのようですが、水銀の化合物を骨に直接接する生体内に使用する常識のなさ
は日本と全く同じレベルです。
誤解しないでくださいね。そのような治療が非常識だと言っているのは、この調子だと
世界中で私だけのようです。医療先進国のドイツだったら私の信念に近い発想があるのか
と多少は期待していましたが見事に裏切られました。歯科医療改革の道が遠ざかった様な
気がします。
さてどうしましょうか。1月は5日(月)から開けていますが、絶対大混雑状態です。
他の患者さんの合間をぬって治療していけば1日に2本くらいは治療できるかも知れない
けど全てをするのはちょっと無理っぽいですね。特に左右にまたがって治療したら噛む場
所もなくなるしとんでもない大工事になってしまいます。
右下はそれ程緊急でもなさそうだし、右上も一応手術していることなので左の上下を
優先して治療するのが現実的ですがどうでしょう。
まず1月は左上下よろしくお願いします。来年はあと2回位日本に帰れる予定ですので
(春にもう1度)また先生のところまで行きます。実はマイレージがあるので無料で3回は
日本へ往復可能です。大混雑状態で大変申しわけないのですが、1日1本でも構いません。
2日でも3日でも通います。明日、予約の電話をかけます。
最終的に、抜歯と診断された左下6番は臨床症状もあり、複数の問題が潜んでいるようで
した。まず近心根の根管治療は予定通り不十分であったために改めて根管治療を行いました。
遠心根の根管充填には問題がないようでしたので根管治療は行なっておりませんが、根分岐部
方向に向かって穿孔がありました。分岐部を中心に骨破壊が認められたのはこのせいだったよ
うです。穿孔部の閉鎖および根面の外科的清掃を行いましたが、これらの処置が完璧であった
とすれば病巣は治癒するものと思われます。逆に治癒が思わしくないようですと、これら3箇
所の何れかに問題が残ったということになります。レントゲン的に治癒が確認できるのは数ヵ
月後ですので、それまでは臨床症状の推移を注意深く観察しておいてください。