除去不可能な土台はいくらでも存在します。
銀歯が不適合

日付、時間:2003年12月2日 0:21   氏名:  S.S  
所在都道府県: 東京    職 業:  その他  年 齢: 29歳      性別: female 

銀歯が不適合 質問:
 いつもこちらのHPを閲覧しております。
現在、右上6番の大臼歯が抜髄済みで、銀のクラウンになっております。これは、5年前に治 療しました。だいぶ前から時々痛みを感じます。その時に歯茎を押すと、少し痛みがありま す。レントゲンでは、ほんの少しだけ影があるが、根の先が膿んでいる様な心配は無いので、 まだ少し様子をみましょう。と言われました。歯石除去の度に、レントゲンで経過を見ても らっていました(3ヶ月に一度ぐらい)。

 しかし、引越しの関係で転院をしましたが、転院先では、レントゲン云々の前に、銀歯が 不適合と言われました。作り直した方が良いが、作り直すならば、根の治療もした方が良い とのことです。ただ、転院先の先生がおっしゃるには、右上6番の大臼歯の土台がかなり 深く入っていて、これを取ることができない場合がある。その場合は、根の治療をせず に、銀歯だけを入れなおしになるとの事です。確かに、歯の一部分で噛むと痛かったり、違 う部分で噛むと痛く無かったりと、同じ歯なのに噛む場所によって痛かったりするので、こ れが不適合の原因かと思われます。来週治療に入りますが、入る前にもう少し詳しく聞いて みるつもりです。
転院先の先生は前の歯医者さんとは違って、色々と質問をしても面倒臭がらずに、親切に教 えてくれますし、初診でもかなり信頼できました。

土台が取れない場合は、根の治療はしないと言うことですが、
取れないというのはどう言う意味なのでしょうか?
取れない土台は実際にあるのでしょうか?
除去の際に、歯が割れてしまうとか、最悪は抜歯になるのでしょうか?
万が一この歯が、根っこが膿んでしまっている場合などは、治療はできないのでしょうか?
お忙しい中恐縮ですが、教えてください。

感想:
 いつも参考にさせて頂いてます。宜しくお願いします。
しかし、転院をしてみると、歯医者さん選びは難しいと思いました。今回はたまたま行った 歯医者さんが信頼できる歯医者さんで、運が良かったです。ちなみに、前の歯医者さんでは 「全く問題無い」と言った前歯の差し歯も、この歯医者さんは、「不適合で、炎症を起こし ている」と言われて、納得しております。

回答  “土台がかなり深く”ということはそれだけ残存する歯質が少ないということです。 神経を取った歯はもろくもなっていますので、除去にあたっては少なからず破折リスクや 穿孔リスクを伴います。従って無用な除去は絶対避けるべきです。
 一方、過去に神経を取った歯というのはかなりの高確率で根尖病巣を作ります。その 根尖病巣が明らかに確認された場合は多少の破折リスクを冒してでも除去して根管治療 を行なう必要があります。

 除去不可能な土台はいくらでも存在します。除去に際して割れてしまった場合には、 適切な対処方法がありませんので少なくともその根っこは抜歯になります。“万が一こ の歯が、根っこが膿んでしまっている場合”にはリスクを冒してでも除去しなければな りません。とにかく日本人は歯の神経を取ることに無頓着すぎます。神経を取ればこの ような事態になるのが当然であるという認識をもって、少なくとも今後は神経を取らなく ても済むようにケアに励まないと同じ過ちを何度でも繰り返します。
 “少し痛みがあります”という程度の痛みですので、歯石や補綴物不適合に伴う汚れの 貯留が原因で軽い炎症を起こしている可能性は十分あります。一方根尖病巣はというと、 確証を得るには少し足りない状況ですので、無理な除去を見送って当面の原因を除去して 推移を観察するという方針で良いと思います。