日付、時間:2003年12月3日 16:14
氏名: E.Y
所在都道府県: 千葉
職 業: その他
年 齢: 40歳
性別: female
質問:
左上1の歯の根本にうみがたまってしまい、治療することになったのですが、歯科医から、
2つの方法から1つを選択するようにいわれています。
1つ目は、かぶせてある歯を削り取り、根気よく根の掃除をしていく、というものですが、
その際、歯が欠けてしまうかもしれず、また、再発する場合もあるとのこと。
2つ目は、1度、歯を抜き、その間に悪い部分を取り除き、また歯をもとに戻す方法で、こ
れだと1度で済むということです。歯は1度抜いても、15分以内にもどせば、付くという
のです。2つ目の方法は、知りませんでしたし、1度歯を抜くということに抵抗があり、決
めかねています。また、安全なのでしょうか。どうぞ、宜しくお願い致します。
“1度歯を抜く”という人為的な行為に戸惑いはあるかも知れませんが、事故で脱臼して
しまった歯の再植、親知らずを他の場所に移植する、或いは他人の歯を移植するなど一部では
日常茶飯事な治療方法ですのでさほど驚くものでもないでしょう。基本を知って行なうには
、また状況によっては非常に有効な処置方針です。でも今回の選択にはオミットした方が
よいでしょう。
“歯の根本にうみ”つまり根尖病巣ですね。根尖病巣の原因はあくまでも根管内に貯留した
汚物です。この根管内に貯留した汚物を完全に除去して二度と汚物が貯留しないように綿密な
閉鎖を行なうのが1つ目の根管治療です。まぁこの成功率が50%というのが日本の平均レベル
で非常にお寒い現状なのは困ったことです。その理由は、“根管内に貯留した汚物を完全に除
去して二度と汚物が貯留しないように綿密な閉鎖を行なう”という原則を歯医者が知らない
からです。
ではその原則を知らない歯医者が2つ目の方法を行なった場合はどうなるか。説明の通り
一旦抜いて炎症の結果である根尖部の掃除を行なって再植したとしても、肝心の根管内の
清掃、および根管内の汚物が再び生体に触れるのを防ぐ綿密な閉鎖を行なわないで再植しても
全く回復の見込みはありません。「先端の技術を駆使して、手術までしましたがお気の毒です
が回復しませんでした、ついては残念ですが抜歯しましょう」という結膜は明らかです。
稀に抜歯した歯の根尖部を綺麗に閉鎖される歯医者もいますので、成功率はゼロではない
ようですが、限りなくゼロに近い成功率です。ゼロと50%だと考える余地はないでしょう。
考えるなら、50%より高い成功率を誇る根管治療の名人を探す努力をした方がはるかに有効な
努力です。