原因が特定し難い歯肉炎もあります…
金属アレルギー?

日付、時間:Sun Aug 22 17:09:12 Japan 1999    氏名: t.o   
所在都道府県:大阪   職 業:会社員   年 齢:26歳      性別: female  

質問:
私の前歯2本はかぶせる処置をしている差し歯です。6年前に自費でしましたが、 最近、痛み、匂い、歯茎の腫れが気になり、同じ歯医者に行きました。
歯肉炎ということで、レントゲンも異常なし、しなおす必要なしと言われましたが、6年前の当初から、 歯茎の腫れ、匂い、いやな味は気になっていたので、別の歯医者に行ってみたところ、あけてみない とわからないといわれました。その先生のお薦めは、ポーセレンで、オールセラミックは個人的に 自信がないと言われました。
私としては、金属がいつも舌に触れているのがいやですし、歯茎の色も気になるので(今はポーセ レンです。1本7万円)オールセラミックにしたいのですが、どちらのほうが、歯と歯茎のためにいい のでしょうか?
<私は前歯の間とその両脇に隙間がありました。もともと歯が2本足りないそうです。3ヶ所の 隙間を合わせても、1本分もなく、2本の歯に小さな歯をくっつけた3本の歯を、2本の歯の土台 にかぶせました。健康歯の神経を抜いて、削ってかぶせてもらいました。私の場合、ずらしてか ぶせるので、普通より歯周ポケットが深くなってしまうのでしょうか?>

追加の質問なんですが、差し歯部分の腫れは、歯茎を切ったらいいと言われたのですが、 どうも不安です。本当に大丈夫なんでしょうか?

ご意見・ご感想:
すごく悩んでいるときに、このページと出会えました。河田先生の丁寧で 熱心な指導に感動しました。これからも期待しています。頑張ってください。

回答  隙間を埋めるための“隙(げき)”は確かにマイナス要因だと思います。しかし、根本的な要因は、 補綴物のマージン(さし歯と歯根との移行部分)の不適合だと思います。段差部分に貯留すた 汚物が、歯肉の炎症を引き起こしているのでしょうね。
緊急避難的には、補綴物のマージン部分を研磨して段差をなくしてやれば腫れや炎症は治まる はずです。ただしマージン部分の金属が露出して見た目は悪くなってしまいます。奥歯だとこの 方法で解決することが多いのですが、前歯だとそうはいかないかもしれません。

勿論、新たに適合の良い補綴物に作り変えることが最善の方法だと思います。新しい補綴物を 作るにあたって、歯肉を一部切除して歯肉形態を整えることは重要なことだとは思いますが、 現状のまま歯肉を切除するだけでは根本的な解決にはならないような気がします。

 オールセラミックかメタルボンド(金属裏装)かの選択はちょっと悩むところですが、最終的には メタルボンドに軍配があがりそうです。確かにオールセラミックは歯肉変色も無く審美的には優れて いますが、強度と肝心のマージン部分の適合に問題があります。


返信:
早速のご返答、ありがとうございました。こんなに早く、答えていただけるとは思っていなかったので、 とても驚きました。
明日、ブリーチングに行くつもりにしており、そちらでオールセラミックで作ってもらおうと決めかけて いましたが、今一度、考え直してみます。どのようなデメリットがあるのか、教えていただければ、 幸いです。

回答:
 メタルボンドとほぼ同時期に登場したポーセレンジャケット冠(オールセラミック)は、当初より 審美性(金属色を隠す必要がないので色調がより自然)、周囲組織への親和性に優れており 非常に魅力的な補綴物でした。それ以後30年以上にわたって新たな手法や素材が開発された にも関わらず未だに定着していないことが全てを物語っていると思います。

 最大の欠点は“もろさ”です。このもろさ故に、Bridgeや歯を固定する意味での連結がほとんど 不可能なために症例が限られてしまいます。“隙”程度の延長は可能でしょうが、それでも問題 が残ります。もろさをカバーするために補綴物の厚みを確保する必要もあります。ということは 歯質の削除量が多くなり、有髄歯には使いにくいことを意味します。
 また歯肉変色を起こさないという利点の反面、マージン部分の厚みを確保しなければならないので 適合が甘くなって“段差”が生じやすくなります。結果として、歯肉の炎症を招いてしまいます。

 中にはポーセレンジャケット冠に精通した先生もいらっしゃると思いますが、普段扱い慣れていない ジャケット冠を作っても納得のいく成果は期待しにくいように思います。


返信:
とてもわかりやすい回答、ありがとうございます。私でも、十分理解することができました。 先生には、本当に感謝しています。(遠くて通えないことが、残念でなりません。)
いろいろ考えたのですが、どうしても歯茎の色が気になるので、歯茎治療とオールセラミックに精通 されている先生がいらっしゃれば、教えていただけないでしょうか?(できれば大阪市内で。) あつかましいことを言ってすいません。(ちなみに、分院などは、ないのでしょうか?) <歯茎の治療もちちゃんとしていただけて、きれいな差し歯も作ってほしいと思っています。 両方を、安心して任せられる歯医者様に行きたいです。>

回答:
 申し訳ありません。“オールセラミックに精通されている先生”がこの日本中にいらっしゃるか どうか? 全く居ないと言い切るだけの自信がないので、あのような表現になりましたが心の中 では「居ない」と思っております。従って、お勧めできる先生はしりません。
 費用のことは別にして、審美歯科を目指す先生はセラミックに精通している可能性は高いと 思いますので、「審美歯科」を標榜されている医院が一つの目安かもしれません。また、歯肉 に関することであれば歯周病学会認定医の先生が 要望に答えてくれる可能性が高いように思います。

診断:
 直接拝見させていただいた結果、歯石やマージンの不適合はありませんでした。しかし、軽い 歯肉の炎症はあります。従ってそこには何かアレルゲンがあるはずです。そこで可能性が あるのはメタルボンドの金属しかないように思いました。

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