原因を究明しない限り治療を進めるのは中止すべきです。
まだ膿の袋があります

日付、時間:2003年12月23日 10:14  氏名:  H.N.  
所在都道府県: 東京    職 業:  その他  年 齢: 56歳      性別: male 

まだ膿の袋があります 質問:
 下顎5番が乳歯のままだったのですが、歯茎の外側に膿の袋ができました。歯医者は、乳 歯部分の骨吸収で乳歯の下側に隙間ができ、食べカスなど入るので化膿したとの事で、すぐ 抜歯いたしました。抜歯後は、鎮痛剤のみでそれ以外の投薬はありませんでした。
 抜歯跡からは膿がでており口が臭い状態約一週間続きましたが、歯茎の回復は順調だとの 事で抜歯後2週間目で4番と6番をブリッジに為に削りました。しかし、その3日後抜歯跡の4 番寄りに膿の袋ができ治療、パックされましたが、現在3週間目になりますが、パックの取 れた後にはまだ膿の袋があります。

 私は、以前、上顎の歯根端のう胞で歯を3本失ったことがあるので、膿胞が4番にかかって いる可能性を心配しております。医者は歯根端膿胞の心配はまったくないといっております が、上顎でむだな歯根端切除のつらい思いでもあるため、また、ブリッジを掛けた後ではそ れも無駄になることもあるのではと心配しております。 ご意見の程、よろしくお願い申し上げます

回答  抜歯跡の4番寄りにできた膿の袋が、何の原因であるかを究明しない限り治療を進めるのは 中止すべきです。通常、乳歯が原因でできた膿の袋であれば、投薬の有無に関わらず抜歯に より治癒するはずです。元々の原因が乳歯であったにしても4番を巻き込む可能性は十分あ りますし、4番の状況如何によっては独自に根尖病巣を作っている可能性もあります。
 隣の乳歯周辺に骨破壊があったために典型的な根尖病巣やのう胞の形をとらないで、膿の 出口が乳歯方向に進んだ可能性は十分考えられます。4番がすでに神経を取った歯であれば ほぼ確実と考えても良いでしょうし、例え神経を取ってない歯であってもその可能性を疑っ てみるべきでしょう。

 ブリッジなどの補綴物(ほてつぶつ)が入った歯であれば、安易に 歯根端切除を行なう傾向があります。しかしこれは絶対誤った術式で すので、例えどのような状況であったとしても正規の根管治療以外に救う道はありません。 かつて一度苦い経験があるのでよもや同じ過ちを繰り返すことはないと思いますが、的確な 根管治療を行なってくれる歯医者を是非確保しておくよう心がけてください。


返信:2003年12月23日 18:04
 ご丁寧にご回答ご説明いただき、ありがとうございます。私の心配が取り越し苦労ではな い事が良く分かりました。次回、診察の時、のう胞が原因がはっきりし、治癒するまではブ リッジを装着しないで欲しいとはっきり申し出てみます。

 因みに、4番は健康な永久歯で神経をとってはおりません。また、過去の経験から、歯根端 のう胞があると、歯をこんこんとたたいた時痛みがあるものと認識しているのですが、5番抜 歯後数日は4番をたたく事により痛みがありましたが、現在は痛くありません。抜歯跡後、2 週間目で4番と6番を削り、その3日後に抜歯跡にできた膿の袋なので、削った時に麻酔を使っ たりした事が影響して、また膿ができたのだろうと、この医師に説明されております。

 ブリッジの装着を延期し、その間に抜歯跡の膿の袋が視認できなくなれば、それは治癒した と考えてよろしいのでしょうか?
のう胞があったとして自然治癒はありえるのでしょうか?
お答えいただいた上で、更なる質問で恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。

回答:
 例えば抜歯したはずの乳歯の一部が残っていたとすれば、その残った部分が生体にとって 不愉快なモノであったならば、それを排除するために炎症を起こします。その残った部分が 排出可能な大きさであったならば、何れそれを排出してしまえば炎症は治まります。それが、 いわゆる自然治癒です。従って自然治癒の可能性は十分あります。“抜歯跡の膿の袋が視認 できなくなれば”次のステップに進んでも大丈夫だと思います。今は、どう転ぶかを見定め る時期と捕らえてください。


返信:2003年12月24日 7:53
 ありがとうございます。
歯だけはその治療プロセスの性質上、治療途中で他の医師に 診断を受けセカンドオピニオンを得ることが難しいものと考えます。その意味から、先生の ホームページの存在意義は大変大きく、歯の治療で疑問をもつ患者にとって、ある時は安心 をいただき、ある時は正しい治療を選択する為の勇気をいただけるすばらしい場であると思 います。通常業務に加えて、ホームページにこのような場を提供される先生の方針に感謝と 敬服の念を禁じ得ません。本当にありがとうござしました。