日付、時間:2003年12月23日 14:56
氏名: S.I.
所在都道府県: 東京
職 業: 会社員
年 齢: 53歳
性別: male
質問:
初めて、質問をさせていただきます。
上の前歯:中切歯を根管治療しましたが、膿の袋が大きかったので、未だ膿が止まっていない
との歯科医の見解で、歯根切除か、抜歯しかないとのお話なのですが。
自覚症状はありません(少し歯茎が変な感じがすることがたまにありますが・・・)。
約数ヶ月をかけて根管治療をし、膿も出なくなったことを確認された後にクラウンをかぶせ
ました。この歯は、約25年前に、神経を取りクラウンをかぶせたものですが、数ヶ月前に前
歯の歯茎の裏がおおきなふくらみができて痛みもあり、現在の歯科医にかかったという経緯で
す。
前歯の美的矯正のために、左犬歯、側切歯(2本)を含めた4本合体のクラウンをしており
ます(今回のクラウンの治療費は、32万円でした)。できる限り、抜歯と歯根切除をしない
で治療をしたいと考えておりますので、適切なアドバイスをお願いいたします。
数ヵ月に及ぶ根管治療および根管充填が適切であったとすれば治癒の可能性もありますので、
自覚症状がないのであればもうしばらくそのまま経過を見られても良いかと思います。問題は
回復の見込みがないと判断されたあとですね。原因が根管治療以外に、歯根破折などが認めら
れた場合には抜歯するしか仕方ありません。そうでなかった場合、最終的には該当する歯の
クラウンをはずしてもう一度根管治療を行なうことになるでしょう。
根管充填に絶対の自信がある場合に限って、大きなのう胞摘出というか
根尖部に押し出された異物の除去を行なってみる価値があるかも
しれません。根尖部異物除去手術は歯根端切除術とよく似ています
が、根管充填が適切であることが大前提ですので、根尖部分には手をつけないところが大きな
違いです。しかし、現実にはこの区別がつかないために混同して行なわれることも多く、あと
あと問題を起こす可能性もありますので余程術前に歯根端切除術は行なわないことを確認して
おく必要があります。
回答:
根管治療と膿胞摘出を1日で実施できますが、“膿胞は、歯根の先端部には写っていなくて、
歯根の中間”というのが気がかりです。のう胞は、炎症を起こすべき原因の存在する部位を中
心に広がるものですから歯根の中間に原因が存在する可能性があります。その場合、歯根の亀
裂か穿孔があると考えられますので治療の対象にならないかも知れません。つまり抜歯。
それらがレントゲン的に明らかな場合であれば、とっくに診断がついているはずです。従っ
て私が診ても非常に疑わしいというところまでしか判らないと思います。
回答:
最高権威の大学教育で、最終治療は「歯根端切除」と教育をいますので、それに反論する歯科
医は少数です。姫路の患者さんが、インターネットで東京の或る歯科医に相談したところ、根管
治療を行なうべきと回答されて、さまよい続けた結果私の医院にたどり着いたという事例があり
ます。インターネットで質問を受け付けている東京の歯科医のなかに、私と同じ意見の先生が
いるはずですが、残念なことにその存在を知りません。ネットでその先生を探すのが最短コース
かもしれませんので、是非挑戦してみてください。
私としては、1ヶ月前よりも、「嚢胞」が小さくなって来ているということは、暫く様子を
見ることの方が適切ではないかと考えている次第です。また、根管に挿入されている、(金属
?の)ポストは、適切に治療されているようでした。経験が豊富な河田 歯科医のご助言をお願
いいたします。
回答:
根管治療が終わって、「嚢胞」が小さくなって来ているということであればそのまま経過を
みておくべきです。経過が悪ければ再度根管治療ということにはなりますが、
似たような失敗例もありますので余計な手術は絶対にするべきではあ
りません。
回答:
排膿が止ってないということは根管治療および該当する歯根に何らかの問題が残っている
はずです。実際根管治療をしてみて、その時に何らかの異常を見つけ出すことはできるかも
しれませんが、私もレントゲンを見ただけではおそらく分からないと思います。また仮に
見つけ出したとしてもそれに対して適切な処置が可能かどうかも、実際治療してみないと
分かりません。経過によっては適切な根管治療を行なったのちの嚢胞摘出は考えられますが、
原因を特定できないままの歯根端切除は何らの改善をもたらさないものと思います。
回答:
とりあえず痛みを感じるような炎症を起こすほどではないけれども、何時爆発するかも知れ
ない小噴火を継続しいる活火山の如き存在です。成功率10%以下の歯根端切除は無意味である
ことは診断以前の話です。根管治療は、それよりも確率の高い治療方法ではありますが、100%
ではありません(90%)。
宜しければ、12日(木)の14時頃いらしてください。
報告:2004年2月13日 16:35
昨日(12日)は、丁寧な説明をどうもありがとうございます。
アドバイスしていただきましたように、23日(月)の某大学歯学部附属病院での、「歯根端
切除」および「歯根嚢胞摘出」は、本日(13日)の午後にキャンセルをいたしました。
今後は、暫く様子を見ながら、再度、「根管治療」を実施し直すがどうかを判断したいと考
えております。私としては、自然治癒にかすかなの望みを抱いております。都内に「根管治療」
に自信と信念をお持ちの歯科医が見つからなければ、最後には、河田 先生にお願いすることに
なるかも知れませんが。・・・
実体顕微鏡による、外科的歯内療法(「歯根端切除」手術を含む)ができる歯科医院にて、
診察をしましたが、手術(「歯根端切除」の)をするしか方法がない、ただし、手術をし
ても完全になおらない可能性もある(歯の穿孔、他の原因のために)という診断結果でし
た。さらに、歯根を取ると根が短くなるために歯が割れやすくなると
いうことでした。
根本原因は、歯根の根管充填が完全でないために発生していると思っておりますが、
「小噴火」の現在の状態は、治癒に向かっては、「停滞」と判断しております。かなり
大きい嚢胞であったために、歯根の先端から中の方へ嚢胞が拡がってきていると以前の
根管充填をされた歯科医の見解でした。私のような大きな嚢胞の場合には、自然治癒の
可能性の有無 および 治癒期間は、どのくらいの期間がかかるものなのでしょうか?
経験豊富な河田先生のアドバイスをお願いいたします。
回答:
レントゲン的治癒には2年くらいかかると思いますが、大きくても治る方向であれば
排膿などの症状もないはずです。今は膿みの出口が開いているので貯留して腫れることが
ないだけです。原因が根管治療の不備であれば根管治療のやりなおし、破折や穿孔だとす
れば再植(一旦抜いて手元で問題解決)。その二つしかないでしょう。あくまでも原因
を見つけ出して除去する以外に治る道はありません。歯根端切除が効を奏するのは偶然
以外の何物でもありません。
回答:
治療を行なう上で最大の障害は、保険外(確かそうでしたよね)の@|@<2B
ブリッジです。|1を除去するだけでも抵抗がある上に、もし抜歯になった場合
に両隣も除去してブリッジにするのか、時期を待ってインプラントにするのかという問題
を含んでいます。その辺の事情も考慮して治療を決断しなくてはなりません。もし仮に
問題の歯が治療中で仮歯状態であったならば、今年の2月時点で治療に踏み切ったと思い
ます。
根管治療が上手くいったとすれば、|1だけ一旦保険のさし歯にしておいて、病
巣の経過を確認してから次の補綴を考えれば良いでしょう。ダメだった場合は…、その時
の状況に応じて次の手立てを考えるという曖昧な状況になるでしょう。この治療予測を
踏まえて何時治療を決断するかはあなたの判断になってしまいます。レントゲン写真での
状況を知りたいのは山々ですが、その為だけに遠路来ていただくことについては非常に
心苦しく思います。