日付、時間:2004年1月6日 1:08
氏名: K.S
所在都道府県: 和歌山
職 業: その他
年 齢: 26歳
性別: female
質問:
はじめまして。
3ヶ月ほど前に右の親知らずを上下1度に抜きました。抜歯の最中に上の前歯あたりで
「ピキッ」という音がしました。今のところ特に痛みや違和感があるわけではないので
すが、心配しています。というのも、5年ほど前に事故で上の左の中切歯が抜け落ち、
その隣の右の123が歯茎にめり込んでしまいました。抜けた歯は、抜けてから1時間
以上経っていたのと乾燥していたので、「ちゃんと付くかはわからないけれど、とりあ
えずやってみましょう」という感じで再植してもらいました。
歯茎にめりこんだ3本は元の位置に戻してもらい、4本とも抜髄して根管治療をしま
した。その後5年間は特に異常はないのですが、食事の時たまに再植した歯がかすかに
動くような感じがすることはあります(手で触ったら動きませんが)。こちらのHPを拝
見すると、再植した歯の寿命は5年、抜髄した歯は弱いとのことなので、親知らずを抜
いた際に前歯の歯根に何か影響があったのではないかと思います。来月から1年間ニュ
ージーランドに行く予定で、海外で前歯が抜けてしまうのではないかと心配です。
再植した歯があとどれくらいもつのか、レントゲンをとればわかるものですか?
もし1年以内に抜けてしまう可能性がある場合、出発前に何かできる予防策はありますか?
お忙しいと思いますが回答よろしくお願いします。
感想:
わかりやすいホームページでとても勉強になります。
親知らずを抜いた際に、何らかの外力が加わったことが直接の引き金であったとは思い
ますが、根本的な原因は移植(再植)歯の宿命だったと考えられます。最善の条件で歯牙
移植が行なわれた場合には10年はおろか20年でも30年でも機能する可能性があるとはいえ、
移植した歯には様々なリスクファクターが存在します。その中で再治療により改善が見込
まれるのは根管治療の不備です。これであれれば、再度適切な根管治療を行なえば、通常の
抜髄歯同様に改善する可能性があります。反対に医療人としてどうし様もないのが、乾燥な
どによる歯根吸収です。根管治療が適切に為されているにも関わらず起こる歯根吸収に対し
ては為す術もなく、残された余命を見守るしかありません。
己の根管治療の限界を知っている術者が、現在の状態をレントゲンで診れば或る程度の
予測はたちます。他の医師が診たならば、根管治療の状況が判らないので、それを確かめ
ることから始めなくてはなりません。とにかく、再植された歯科医に聞いてみるのが第一
の選択です。次にそれらを総合的に判断して、場合によってはより精密な根管治療のでき
る歯科医。といってもそう簡単には見つからないでしょう。最後に口腔外科もしくは矯正
の心得のある歯科医に相談してみるのが順番です。というのが、根本的な解決策のない
歯根吸収の場合、該当する歯を結紮することにより多少なりとも延命させることが可能だ
からです。
このように申し上げても、現実にはそのような歯医者を順列をつけて探し出すことは不
可能かも知れません。何軒かの歯医者を廻って、動揺の原因や移植歯の状態を適切に説明
して対処方法を提示してくれる歯科医を探すのが現実的な対応だと思います。