そのような疑いをもって診査すれば原因が判るかもしれません。
新たな問題(オーストラリア)

日付、時間:2004年1月6日 16:11  氏名:  HT  
所在都道府県: オーストラリア    職 業:  その他  年 齢: 45歳      性別: male 

初診時パノラマ
クラウン
|6根管治療不備と二次カリエス
クラウン
質問:
 オーストラリア在住のHTです。明けましておめでとうございます。 早いもので、昨年初めにお世話になってからもう1年になりますが、お変わりございませんで しょうか。おかげさまで、根管治療をしていただいた左上6番の歯は全く問題なく機能してい ます。また、右上7番の痛み、出血も2、3週間で完全におさまりました。と、ここまでは順 調だったのですが、困ったことに以下のような新たな問題が生じてきました。

(1)右上6番
昨年の3月ごろ、右上6番と7番のちょうど中間あたりの外側(唇側)歯茎が腫れてきました (X線写真を見ると6番の歯根は7番側に傾斜しているので、問題なのはほぼ間違いなく6番 の歯だと思います)。広範囲にわたる腫れではなく、直径2mm程度の半球状の盛り上がりで す。その後、この盛り上がりは2、3か月の周期で消失、再発を繰り返してきました(ここ1、 2か月は消失しています)。腫れている時でも、特に痛みや不快感はありません。

(2)左上7番
2か月ぐらい前に、歯茎外側に右上6番と同様な盛り上がりができました。この盛り上がりは 2、3週間で消失したのですが、今度は歯茎を押さえると痛むようになりました。ひどい痛み ではありませんが、この状態は現在も続いています。また、走ったりして体に加速度が加わる と瞬間的にズキンと痛むことがあります。6番側、8番側とも歯の付け根に食べ物のかすが詰 まりやすく、クラウンの下に虫歯があるような気がします。

(3)右下6番
2週間ぐらい前に、突然痛み出しました。物を噛むと相当痛く、何もしなくても疼痛があると いう状態が2、3日続きました。今は痛みはおさまっていますが、何となく歯が浮いたような 感じがします。

3本とも抜髄、補綴済みですが、充填材が奥まで入っておらず根尖病巣の兆候ありということ で、昨年の時点で既に黄信号だった歯のようですが、こうなってくると対応策はやはり根管治 療のやり直しということになるのでしょうか(右上6番は太いメタルコアが入っており、その 上クラウンが3、4、5番のブリッジとつながっているなど、問題が多そうですが…)。
お忙しいところ恐れ入りますが、上記の件につき、先生のご意見、アドバイスをいただければ 幸いです(もし根管治療が必要であれば、ぜひ今回も先生に治療していただきたいと思ってお ります)。

クラウン  1年前の記憶と、右上のレントゲンを基に回答させていただきます。
既に根管治療をされている歯が多く、あちらこちらに爆弾を抱えていらっしゃることはご自身 でも理解されていることと存じます。しかし、1年やそこらで痛みを起こすような根管治療の 歯はなかったと思います。あるとすれば左上の7番だけではないでしょうか。この歯に関して は根管治療が必要かもしれません。
 右の上下6番は歯根破折の可能性もありますが、それならばもう少し著明な症状が継続する ように思います。考えられるのはむし歯。それもむし歯が直接神経に作用するのではなく、 むし歯のクボミに汚れが貯留して歯肉が炎症を起こしているのではないかと…。対処方法とし てはクラウンの再製。
 そのような疑いをもって診査すれば原因が判るかもしれません。一度現地の歯科医に相談さ れてみてはいかがでしょうか。歯石除去とクラウン再製で対応できるのであればそちらで対処 された方が良いでしょう。破折が確認されたとすれば、ファーストチョイスは、割れた部分だ け抜歯するヘミセクション。根尖病巣だったら…日本まで帰ってきて 下さい。


返信:2004年1月7日 18:18
 早速のご回答ありがとうございました。必ずしも3本とも根尖病巣があるとは限らないとお 聞きして、少し安心しました。
右の上下6番は今は無症状ですし、帰国するにしてもあと2、3ヶ月は先になりそうですので、 とりあえず様子を見ながら、こちらで信頼できそうな歯科医をさがす努力をしてみようと思い ます。過去にかかった歯科医では、ごく軽い虫歯の治療か抜歯しかしない(したがらない?) ので、診断はついても解決にはなりませんので(過去の経験からして、抜歯を拒否すれば専 門医の間をたらいまわしされ、時間(*注)と金を無駄にした上、「やっぱり抜くしかないで すね」か「$XXXXだせば治療はしてみますが、結果は保証できないし、うまくいっても7、8 年もてば上等です」となるのが関の山です)。
お手数をおかけして申し訳ありませんが、2点ほど追加質問をさせていただきたいと存じます。
  1. 左上7番は症状が持続しているだけでなく悪化の傾向にあり、私自身、最も深刻な問題だ と感じています。先生のHP( http://www.kkdental.com/qa/q2456.htm)に掲載されている1年前のパノラマX線写真でも、 すでに小さいながら根尖病巣の存在が指摘されており、このまま自然治癒、あるいはマイナー な治療でなおる可能性はほとんどないような気がします。そこで、現在も根尖病巣があり根管 治療が必要であると仮定して、治療は1日でも早く受けたほうがよいのでしょうか?それとも 月単位の遅れであれば、長期的な影響は特にないと考えてよいのでしょうか?
  2. 右下6番に関してですが、実は昨年9月にヨーロッパ出張した際に、4-5-6番三連結の クラウンが外れ、現地の歯科医にかかりました。虫歯の上にクラウンを被せても無意味なので、 虫歯がないことを再三確認した上で再装着してもらいました。にもかかわらず、3ヶ月も経た ないうちに6番の歯が痛み出し、再装着したクラウンも少しゆるくなってきているようです (強く押すとジュッと音がして唾液がしみだして来るような状態なので、遠からずまた外れて しまうのではないかと危惧しています)。6番の歯の痛みの原因はさておき、健康な歯に被っ たクラウンが外れ、再装着して3ヶ月程度でもうゆるくなる、ということがありえるのでしょ うか?(どうせ一見の旅行者ということで、だまされたのではないかという気がするのですが …。)
    (*注)予約を取る時点で、通常かなり先の日にちを指定されるので、2、3ヶ月はすぐ経っ てしまいます(痛みを訴えているのに、「抜髄の専門医」経由で「歯並びに関する専門医」に までたらいまわしされた苦い経験があります)。また私はこちらで根管治療を受けたことはあ りませんが、歯科医の話では、薬の詰め替えを何度も行うため治療開始から終了まで数ヶ月か かるとのことです。これだけの手間ひまと20−30万円相当の費用をかけて「うまくいって 7、8年の寿命」ではやり切れません。
回答:
 根尖病巣の治療にかんしては、月単位の遅れであれば問題はありません。日本に帰って来る 算段を考えて下さい。脱離に関してはあまり歯科医の責任を追及しないで下さい。やってみな ければ判らないことも多々ありますので。それよりも右下6番の痛みは、その脱離によるもの だと思われます。しっかりセメントが詰まっているうちは問題ないのですが、それがはずれて しまうと唾液などが貯留して腐ってしまいます。そうなると周囲の歯茎が炎症を起こして痛み が出るだけでなく、むし歯が急速に進行して数ヵ月のちには使い物にならなくなってしまいま す。或る意味では一刻を争う事態です。
 理想的には3本とも上手にはずしてそのまま再装着を試みるという方法ですが、必ずしも 上手くはずれるとはかぎりませんし、例え再装着したとしてもまたまた部分脱離してしまう 可能性もあります。6番と5番を切断して(切断面は研磨)6番だけクラウンの再製。もし くは3本とも再製するのが良いでしょう。金銭的な問題があるとするならば、切断除去後、 6番もそのまま再装着(隙間ができます)もしくはそのままはずしておいて日本でクラウン の再製を行なうようにして下さい。いずれにしてもそのまま放置は絶対禁物です。

 日本の歯医者もたいしたことないけど、オーストラリアの歯医者も結構悪ですね。世界的に あんまり信頼できそうにない人種のように思えてきました。


返信:2004年1月8日 9:25
 ありがとうございました。先生のご助言に沿ってできるだけ早く手を打ちたいと思います。


返信:2004年2月6日 11:15
 先日ご相談させていただいた歯の治療の件ですが、3月下旬から4月上旬にかけて帰国す ることを考えています。正味2週間程度の滞在になると思いますが、この期間に前回のよう な日程で集中的に治療をしていただくことは可能でしょうか?

以下、問題の歯のその後の経過です。
 右下4−5−6番三連結のクラウンは、1ヶ月前に先生のアドバイスをいただいた直後に はずれました。6番の歯には大穴があき、その中に割れた歯の破片が散乱しているという悲 惨な状況でした。昨年9月にクラウンがはずれた際には、虫歯の形跡すらなかったのですが …。4、5番は露出部分には歯がなく(歯茎から露出している部分はすべてメタルポスト)、 特に問題はないようです。
 左上7番は軽度な歯茎の腫れが継続しているのですが、それに加え、2週間ぐらい前から クラウンがぐらぐらになってきました。こちらも、クラウンは7−8番連結なので、右下6 番と同じように下に大きな虫歯があり、8番だけで支えられているのではないかと思います。 こちらの歯科医の予約(来週)がとれましたので、7番のクラウンの切断、除去だけしても らおうと思います。右上6番は、その後ずっと無症状です。

回答:
 右下6および左上7番が使い物になるかどうかが最大の山場です。それらが何とか使える 状態であれば、期日内に治療が可能だと思います。帰国されたらとにかく早や目に一度来て 下さい。

6|近心頬側根に根尖病巣
クラウン
6|根管治療後
クラウン
|8口蓋側の穿孔による病巣
クラウン


診断:
 右下6番は、クラウン脱離による歯肉炎症。右上6番は、近心頬側根の根尖病巣。 左上8番は、あたかもレントゲン的には根尖病巣のように見えますが口蓋側にある穿孔に起因 する炎症の拡大だったようです。それぞれ三者三様の原因による炎症でした。

 原因と思われる根管以外についても問題がないかどうかを確認した上で、右上6番には 根管治療、左上8番については穿孔部分の閉鎖を行ないました。1年前に来院された時に、 問題がありそうな部分全てがそのまま問題を起こしてしまったような感じでしたね。それ ぞれの原因と状況が把握できたという点では十分納得できましたね。

 何しろほとんど全ての歯が抜髄済みでクラウンを被った状態ですので、今後とも次々と 問題も生じることと思いますが、かなりの部分に決着がついたように思います。


質問:2004年7月23日 14:43
 暑中お見舞い申し上げます。
3月には、大変お世話になりました。おかげさまで今回治療していただいた歯の経過は順 調なのですが、実は昨年治療していただいた左上6番の歯のクラウンが、数日前に支柱ご と外れてしまいました。 (支柱とクラウンは強固に付着しており、また支柱の3本の小さ な突起はそのまま残っています。)痛みや歯茎の腫れ等はありません。
 来週こちらの歯医者に行く予定ですが、再装着ですまない場合、どのように対応すれば よいのかアドバイスをいただけないでしょうか。本来、再装着可能かどうか確認してから ご相談させていただくのが筋なのですが、もし虫歯がある場合、過去の例からして即抜歯 となるのは確実なので、前もってお伺いさせていただいているしだいです(問題の左上6 番は、2年前の時点で既に抜歯を強く勧められました)。 以上、お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

回答:
 装着してからの期間、また3月時点のレントゲン、更に今回脱離してからの期間や経緯 からそう像してそのままの再装着が可能だと思います。そうでない場合の対策ですね。
 口蓋根のポストをもう少し深く掘ってコアから作り直せば比較的簡単に新しいクラウン ができるはずです。2年前の状況は、著しい歯冠崩壊に加えて根管治療もしなくてはなら ない状況だったために、面倒だから?抜歯という宣告だったと思います。面倒な根管治療 のない今回、それくらいの熱意を持って治療してくれる歯医者は少なくはないと思います。 根っこが割れてたりなんかすると話ば別ですが。


報告:2004年7月29日 10:21
アドバイスありがとうございました。 昨日こちらの歯医者に行ってきました。大きな問題はなさそうだということで、クラ ウンを再装着(約1万円!)してもらい、まずは一安心です。

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